鰹節のしっぽ・その2

(米麹づくりの第二日目をご覧になりたい方は「出麹、出遅れています」のタイトルをクリックなさってください)。

 おせちづくりの置き土産、鰹節のしっぽ。

 以前にも書きましたが、削り器で削りにくくなったはしっこを昆布と共に一日水につけて冷蔵庫で保存し、浸水で柔らかくなった外側の部分を包丁でそぎ切りにして煮出して使っています。

 台所で撮ったので、ピンボケ画像ですが、状況は察しがつきますでしょう?

 柔らかくなった部分は、簡単に鉛筆を削るように、削り落すことができます(右側の破片)。中の浸水がゆき届かない部分は、包丁などではそぎ切りにできないほど硬いので、外側から順番に削り落していきます(左側3個のしっぽ)。

 欲張って硬い部分まで包丁当ててはダメだよ。刃こぼれの原因にもなるし、誤って手を切る恐れもあります。簡単に削れる部分だけですよ。注意して気をつけて削ってね。

 浸水した鰹節のしっぽが2,3個あると、1週間近くも厚削りの濃い味出し汁を楽しむことができるわ。

 外側削って硬い部分だけになったら、また新しい昆布水に浸けて冷蔵庫へ。翌日には、外側が柔らかくなっているので、また包丁でそぎ切りにして出し汁に。硬い部分は、また、昆布水の中へ。これの繰り返しです。最後は芯まで柔らかくなるので、包丁で切って使い切っておしまい。

 ダシの引き方は、昆布がゆらゆらしてきたら(70〜80度くらいの温度になったら)昆布を引き上げ、鰹節を弱火でコトコト。煮だす時間は数分から10分以内かな。香りと出し汁の色で判断して火を止めます。

 火を止める間際に、削りたての薄削りの鰹節も少し足して香りをつけるわ。(浸水鰹節、味はよいのですが、煮だすことで香りは少し飛んじゃうので)。

 この邪道とも言える「浸水鰹節・包丁そぎ切りの煮出しだし汁」は、私が若いころ(当然、鰹節削り器は持っていなかった)思いついた本節だし引き。

 本節をポリ袋に入れて、そこの水を適当に入れて、口を輪ゴムで縛って冷蔵庫へ。翌日には外側は柔らかくなっていたわ。外側だけを包丁で削って、硬い部分は、またポリ袋に戻して水を入れておく…を繰り返したものよ。

 今こそ、しっぽだけの浸水ですけどね。当時は、鰹節丸ごと1本よ!道具がなかろうが、ビンボだろうが、ものともせず…。おそろしや〜若気の至り。若くても「花ガツオって、あまり美味しくないなあ・・。本枯れ節の丸ごとの鰹節のほうが、断然ウマいなあ」と、本能的に感じていたんだろうね。

 娘が幼かったころの話だから、私は23,4歳くらいだったろうね。

 今、私がやっていることのいろいろな土台は、若くて金もなく、母子家庭で娘を抱え、親の助けもない時代の産物。あるものだけで工夫して、なんとか思い通りのものを生み出そうとしていたわ。ポリ袋と包丁と水くらいならあったからさ〜。

 ちなみに、この鰹節のそぎ切りを甘辛く煮つけて食べてみたことがあるんですけど…。

 パサパサのモゴモゴで、不味くて食えたもんじゃなかったね。ともかく、ひどい口当たりだった。これだけはやめておく方が無難だよ。

 ダシに使った昆布と干しシイタケは、大いに再利用の使い回し料理ができるけれどね。

 一粒で二度美味しいのは、昆布と椎茸だけ。鰹節は二番だしを引いたら、諦めて捨てる方が得策。(うちのペットのニワトリさんやニャンコやワンコは喜んで食っていたわよ。あの方々、カリカリエサは食べたがらなかったわ)。

 ホンモノのダシは味覚の財産だよ。その人となりの血や肉や心になっている。生きるエネルギーと言ってもいいかもしれない。

 昔、うちの娘は日本から離れると、必ず2,3週間目くらいに「ダシ」味のホームシックにかかっていたわ。

 「鰹節の匂いがプーンとする大根の煮物が食べたい」とか。「ダシのきいたひじきの煮物と切干大根の煮物が死ぬほど食べたい」とか。

 ションベン臭いガキが言うこととは思えないほど、ちょーオヤジ臭い食い意地を発露させていたわよ。そこに必ず、ダシがでてくるのよねえ…。

 肉や乳製品では出せない奥深い心の味が、日本のダシなんでしょうね。

 大切にしたい大事な食材です。
 

出麹、出遅れています

 昨日の仕込みから20時間以上経過した友麹法の白米麹。

 出麹(コウジカビが生え始める意味)が、少々出遅れ気味です。

 ゆうべ、寒かったからかな?

 鍋をポリ袋ですっぽり覆って、保湿にだけは注意しました。(昨日、今日ともに湿度は30%台で、かなり乾燥していますから。低湿度の場合は、保湿が大事です。)

 まだ、ご飯の方に白いコウジカビは生えてきていません。

 こんなときは、保湿を鍋のまま続けて、カビの出芽を気長に待ちます。明日には出麹を見ることができると思います。本日は、ストーブの前に置き、保温にも気をつけています。ご飯はまだ、冷えびえとしています。出麹さえあれば、あとはしめたもの。

 出麹のあとは自熱を発するので、それ以降は飯台に薄く広げ、熱を冷ますようにするだけです。

 ということで、「友麹法での白米麹づくり・二日目」は、出麹まで、あと1日ほど、このまま待つ作業です。

 お正月休みも今日で終わりという方も多いのではないでしょうか。どうぞ最終日の正月休みをごゆるりとお楽しみくださいまし。

 今朝は朝一番で娘が出没。夜中に車で、長野の雪山から東京へ戻ってきたそうです。睡眠不足とお疲れモードで、モーローとした顔の娘さん。年末年始のお休みは、雪山でスノボー三昧のお方なのでございます。

 朝ごはんに、おせちをちょーだいと持ち帰りましたわよ。夕方に来るのかと思い、すき焼きの用意もしていたのだけれど。

 明日から仕事なので、今日は家でやらなければいけないことが、いーっぱいあるからお持ち帰り〜ですって。

 年末はジムの忘年会が4回もあって、飲むのに忙しく、こちらには来られなかったらしいよ。呑むのが忙しいって…どこの娘じゃ?親の顔が見たいわいっ。

 おせちと牛肉を持った娘さん。「では、よいお年を〜。来年も、どうぞよろしく〜」と、礼儀正しく挨拶して早々に立川まで帰っていきました。

 つ、つ、つーて、あーた、ちょいと、お嬢ちゃん、だ、大丈夫かよ?来年は、もうすでに、今年になったんですけど…。

 おせちを食べるまでは新年明けやらぬ、去年のままの出遅れ娘を見送った朝でした。