ご飯炊き用の土鍋とオーブンで甘酒作り

 麹作りシーズンに入って、白米麹、玄米麹、麦麹、そして豆麹。本日は雑穀麹の仕込み。元気な良い子たちが生まれ続け、元気に育っています!
 麹というものは地味でおとなしいものと思われるでしょうが、なかなかどーして。けっこう我がままで主張が強いのです。ホント、まるで赤ちゃんみたい。
 米麹などは、できあがったものは匂いなどさほど強くないです。でもね、いざ麹に生まれ変わろうとする途上って、すごく酒臭い呼気を放つんですよ。たった7合か8合の米でも、家中がまるで二日酔いのため息みたいに酒臭くなるの。ちょうど麹の赤ちゃん自体が熱を持ち始める頃に。
 その呼吸のエネルギーに寝苦しくなって、気になって、手をかける。手をかけざるを得ないわけよ。声ではなく、気で主張しゃーがっているわけだから。空気全部が麹の呼吸になっちゃっているわけよ。赤ちゃんのホンギャ〜ホンギャ〜っていう泣き声も家中に響き渡るでしょ。特にお母さんの耳にだけは大きく響く。赤ちゃんの泣き声が空気を振動させると、いてもたってもいられなくなる。おーよちよち。まあ、あれと同じ。

 さて。麹が出来上がると、味噌作りだの甘酒作りだの。甘酒作りは保温が必要なので、ちょいと手がかかります。昔は湯たんぽと共に布団の中に入れて保温しました。が、今はご飯炊き用の土鍋とオーブンで簡単に作っています。
 土鍋は蓄熱性の高い分厚いものを使います。麹ともち米のお粥を混ぜ合わせたものを土鍋に入れて、オーブンで100度で10分加熱。土鍋は熱伝導が緩やかなので、中は6〜70度どまり。10分経ったら加熱ストップ。そのまま1〜2時間放置。思い出した頃にまたオーブンのスイッチを入れて100度で10分加熱。これを家にいるときの日中に何度か繰り返します。午前中から始めると、(思い出してはスイッチを入れる・・を何度か繰り返すと)、夜にはすばらしい甘味の甘酒が勝手に出来上がっています。ラク〜。ご飯炊き用の土鍋の熱伝導と蓄熱性を大いにフル活用。湯たんぽを入れて布団を被せていた昔が嘘のようです。写真は黒米の甘酒。白米だけのものよりコクがあります。美味しいですよ。お試しください。(黒米は玄米で炊きあがりにくいので、黒米だけ先に別に炊いてから、もち米に加えます)。ご飯炊き用の土鍋がない場合は鍋物用の平たいもので代用してもOKです。
 え?オーブンがない場合は?…・。(し〜ん)。や、やはり…湯たんぽと布団でしょうかねえ。

酸っぱくなっちゃった漬物でシュークルート料理

 生温かかった11月、白菜やキャベツやかぶなどの漬物を酸っぱくしちゃっていませんか?わたしゃあ干し大根は中をヘチマにしてしまうは(白くスカスカにした!)、白菜の漬物は酸っぱくしてしまうはで…。

 そのままでは食べたくないな〜と思うほど酸っぱくした漬物は、ザワークラフト(乳酸発酵キャベツ)と同様の料理に転用できます。酸っぱい漬物と肉、好みの秋野菜を加えて、ほんのり酸味のある美味しいスープに作り変えましょう。
 まず、漬物は刻んで水に浸し、適度に塩気や酸味を抜いて絞ります。(あまり塩気や酸味を抜きすぎては、せっかくの美味しさも抜けてしまいますから、ほどほどに)。
玉葱とにんにくを薄切りにします。好みの秋野菜(きのこや人参など)も適当なサイズに切り分けておきます。肉は塩肉(前回のブログ記載のもの)やベイコン、ソーセージなどを使いますが、例えばチキンぶつ切りやポークスライスなどでも構いません。ちょっと脂や筋や皮や骨などが混じっている部位の肉のほうが美味しくできあがります。チキン手羽などでもいいですね。
 鍋に油を熱し、玉葱とにんにくを炒め、肉を入れて油を回し、刻んだ漬物や野菜を加えて、さらに炒めます。そこに、ひたひた以上のブイヨン(無ければ水)とローリエを加え、最初は強火にかけます。煮えがたつと、肉から灰色のアクが浮き上がってくるのですくって取り除きます。蓋を少しずらせて被せ、弱火でコトコト1時間ほど(肉がやわらかくなるまで)煮ます。塩コショウで味を整えます。(塩肉やベイコンを使う場合、塩気が出てきますし、漬物からも塩味がでてくるので、味付けは最後に味見をした後でね)。肉を多く使う場合は水分換算に白ワイン(または日本酒などでもよい)を入れるとさらに美味しい。

 只今、我が家は麹屋状態で、なんとなく24時間営業(?)(コンビニか?)。白米麹、玄米麹、豆麹が次から次へと出来上がり、この後は雑穀麹作りを開始します。
 昨日の教室は豆味噌作り。メチャ楽しかった。味噌料理に味噌汁にきのこの炊き込みご飯。きのこの炊き込みご飯をちょいとべたつかせてしまったけれど、みんな喜んでくれた。調子に乗って、この塩肉のシュークルートも出したかったけど、「豆味噌」の脈絡がぶっ飛んでしまってはずっこけるので出さないでおきました。でも、とーぜん、酒は飲みましたよ、当たり前でしょ。山梨の浄土真宗のお寺さんをやっている僧侶ご夫婦が作って送ってくださった自家製ワイン。(手作りビールも送っていただいたけど、飲んじゃった)。熱燗の日本酒も飲みたかったけど、用意が無くて残念でした。味噌料理には、やはり熱燗だよなあ…。おっとっと、さあ、もう一杯とか言いながら。

パンチェッタつーのかい?

 11月も終盤になってから、やっと晩秋の気配、そして冬到来の気配。いやはや、今年の11月は11月と思えないほど、ずーっと温かかったと思いません?オナガの鳴き声が聞こえたので大根を干したら、その後から何となくまた温かくなって、干し大根は大失敗。中はスポンジのようにスカスカになって白くなるし(まるで、へちま!)外側は黒かびのようなものが生えてきた。オナガの嘘つきめ〜。私は毎年、オナガの声が聞こえたら寒くなる、つまり冬支度の水屋仕事の開始だあ〜と、長年の経験から決めていたのだけれど、今年はハズレでした。なんだかいつまでもやけに温かいのをてっきり我が身の更年期障害のほてりかと思っていた。しかし、私の体の更年期障害なのではなく、日本全国的に、国民的に!温かいのではないか…、と気づいたのは大根干しを失敗してからです。アホにもほどがある。

 パンチェッタとかハイカラな言葉で言うのかい?わたしゃ塩肉(プチサレ)と呼んでいるのだがね。塩・スパイスをすり込んだ肉を干すのです。寒空の下に。
 肉は赤色に鮮やかさを増します。写真は骨付きの豚肉ブロック。りんこう庵の干物のひとつです。干物は魚だけじゃございませんよ。肉も干します、寒くなれば…の話ですけどね。(もし、温かければ、干し肉は冷蔵庫の中で干しましょう)。
 塩肉にすることで、肉が熟成し、旨味が増します。干すと表面が乾き、保存性も高まります。プチサレにしたあとは、後は普通に焼くなり煮るなり燻すなり。(生ハムではないので、必ず加熱してから食べましょう)。ビーフを干せばビーフジャーキーです。ビーフは干すと豚肉とは違って真っ黒になります。ビーフは焼くと硬くなるので、焼く前に麺棒で叩いて、繊維を壊し、柔らかくしてから焼くといいのです。

 寒い季節はいろいろな調理法で料理を作れるのが、ホント嬉しいのですが、(早い話、教室で行うアイテム捻出に困窮しないだけの個人的事情なんだけど)、温かいと調理が限られてくる。東京まで南国化してしまっては、(そして私の体までもが更年期障害でほてって南国化しては)、困るのです!!誰か地球温暖化を止めてください。しかし、考古学的には、地球の歴史的には、この干しは氷河期にも向かっている。(今度の地球の氷河期には私もあなたも、すでにとーっくに、この世にいないから大丈夫です)。熱くなるだけ熱くなったら、次は冷えるというのが道理です。氷河期を生き延びた原始の人間たちはエライなあ…。ガスも電気もないところで、それでも極寒の中で生き延びたイキモノ。そして滅んだイキモノ。自然淘汰。私たちは生き延びたイキモノを祖先に持つ、その子孫です。祖先らは極寒の食糧困窮の中で、乏しい食べ物を保存して大切に食べたんだろうなあ…。生き延びるって凄いことだ。

 たかが塩肉で、なんでわたしゃ地球の氷河期のことにまで言及しているのか?アホにもほどがある。
 ともかく、冬になったり、氷河期になったら、塩肉で干し肉が作れますよ〜と言いたいだけなのです。ウチの教室の生徒たちも私のアホで苦労してますよ。

柿酢

 りんこう庵の水屋暮らしは只今「麹屋」真っ最中。さまざまの米や大豆にコウジカビを生やしています。
 白米麹が出来上がったら、もち米や黒米で甘酒を仕込む。甘酒を放ったらかしておくと、ぷくぷくと発酵してきてどぶろくになっちゃう。これは我が家の生業のパン教室のせい。生活圏に生息する野生酵母どもが、甘酒の中にまで落下して住み着いて生活を始める。酵母が生活すると糖分は極当然の話ではあるがアルコール化して酒になっちゃうわけであーる。
 甘酒の蓋がドッピューンと吹き飛び、ビンの口から酒臭い甘酒がブーッ!と吹き上げドボドボドボ〜…。(汚い表現で恐縮ですが、わたしゃこれをどぶろくのゲロ吹きと呼んでいるのでございます)。このゲロ吹きがおさまると、ドブロクはまさしく「酒」になる。酒税法を遵守するなら、国税局を敬うなら、己が手で麹作りも甘酒作りも自然発酵種のパン作りもできないのです。でも、これをやらなきゃ教室できなくなっちゃって、わたしゃあ飢え死にか、ホームレスの身になるわけです。(今ですら、その一歩手前なんだから)。できちゃったどぶろく、なっちゃった日本酒。国税局の皆様、大変ごめんなさいでございます。すんませんねえ。
 気温が高いと、どぶろくや酒は乳酸発酵して酸っぱくなるのです。もし、酸味がついたら、今度はあえて酢にしてしまえばいいのです。ただし、そのままでは雑菌に犯される恐れがあるので、酢酸菌を種付けするわけです。
 ああ…前振りが長かった。酢にするための酢酸菌の種付けは今が旬の柿を利用します。柿を(皮をむかず)そのまま容器に入れて暖かい場所に穂位置しておくだけ。何日か経つと柿はジュクジュクに熟れて身溶けして、酒と酢を混ぜたような匂いの透明な汁を滲ませます。舐めるとメチャクチャ酸っぱい汁。これが柿酢です。この柿酢を少々(大量には使わない、酢酸菌の種として使うんですから)酒に混ぜ込んで、温かい場所に放置しておくと、酒は酢酸発酵して酢になります。円やかな味わいの手作り酢のできあがり。長期保存する場合は75度に低温加熱して菌を殺します。生酢として保存したい場合は残渣(モロミ)を清潔な布で漉してから冷蔵庫で保存します。ちゃんと酢になったか否かをチェックする方法はちょっと加熱してみて、ツンと鼻を刺すような酸臭があるかどうかで調べます。酢酸発酵(酢)は鼻を刺すような刺激的な匂いです。ツンとこなければ、まだ乳酸発酵程度でとどまっているのでしょう。
 米さえあれば、甘い甘酒ができる。甘酒は酒になる。酒は酢になる。米だけで三種類もの調味料ができちゃうんですよおおおおお〜。お米って、エライと思いません?!?わたしなんざあ、私以外のなにものにもなれずに困っているというのに。マア、酒を飲めばトラくらいにはなれるんだけどね。

シュトレーン

 師走も近づいてきました。アセ〜ッ…るんだよなあー何か。まあ、そんな焦燥感はおくびにも出さずに、この季節恒例のシュトレーン作り。今年の配合はぐっとお菓子っぽくしてみました。(毎年、微妙に変化させています)。

10本分(g)
中種600、小麦粉1200、砂糖300、塩小さじ7、卵黄8個、粉乳大さじ10、アーモンド粉200、無塩バター600、洋酒漬けドライフルーツ・ナッツ1600g

 パウンドケーキ作り同様にバター、砂糖をクリーミングして卵を混ぜ加えてから、粉やパン種を入れて捏ね、一日寝かせて発酵させてから焼きます。焼きあがったら、表面に溶かしバターを塗り、粉砂糖をまぶします。この粉砂糖がどうも気に入らなくて、今年は和三盆糖をまぶしちゃった。
 冬の水屋はすでに大忙しです。玄米麹、白米麹、豆麹の麹作り。その麹で味噌やみりんやどぶろくや漬物。やっと寒くなってきたので、沢庵も漬けました。塩肉仕込み、冬は漬け込みではなく、パンチェッタみたいに干します。(干す場合、気温が高い季節は冷蔵庫の中で干します)。骨付きの豚肉を干すと、肉はきれいな赤みが増します。ビーフブロックを干して、薄切りにしてさらに干すとビーフジャーキー。タイ風の味付け(ナンプラー)にして焼いてからいただきます。教室を再開したので、毎度毎度「はじめまして!」の方たちとの出会い。なんとなく張り切って、我が水屋のご自慢品をそそくさと仕込んでいます。同時に本の企画も再開。なんとか内部テーマを決めて、エンジンをかけるところです。表に出さないテーマは「いのちがいっぱい」。食べ物や動植物や人間のみならず、風にもお日様にもお月様にも机にもミキサーにも鍋にも…いのちをいたいほど感じるときがある。どの章の共通項も、そんな「いのち」。やっと書けそうな気がしてきた。いえ、書けると確信した。ということで、コンテンツを組み立て次第、毎度お馴染みの籠城執筆活動に突入いたしやんす。今回は意地でも料理本仕立てになんかしない。絶対にエッセー本にするんだ。破綻経済の渦中での本書きなので、凄絶な状態になることミエミエ。教室やっちゃー本を書き、また教室やっちゃ〜本を書き。台所とパソコンを行ったり来たりする雪隠詰めライフの再開です。

ホッチコージ土鍋、ますます進化!

 ホッチコウジさんから、以前にいただいた土鍋に改良の手を加えた鍋をいただきました。今回の鍋は持ち手の付け根も工夫されていて、吹いた汁が持ち手を伝わってこぼれずに、実に使い勝手がいい!地肌もさらに薄手になり、熱伝導が素直で料理しやすいことこの上なし。ご飯は以前の鍋よりも焦げ付きがありません。
 コージクンも女房の幸子ちゃんも「この土鍋はご飯が美味しく炊けない」と言っていたのですが、土鍋の厚さで火加減を変えることをしていないのでは?と感じました。ともかく、最高に美味しく炊けるのに…。鍋のせいではなく、炊く人のせい?と感じ、あわてて「土鍋でのご飯炊きマニュアル」をメール送付。なんでもかんでも鍋のせいにされたんじゃ、土鍋がかわいそう。土という自然素材を料理道具にする場合、熱伝導と蓄熱性をその土鍋そのものに添わせなければいけないのです。料理本のハウツーなどを鵜呑みにしてはあきまへんのやでえ。だから、手作り土鍋での料理は楽しくて美味しいのであ〜る。もう、こう、こうなりゃ、土鍋だってイキモノよ!土鍋には1個1個別々の人格…じゃなかった、個性があるのです。
 コージクンと喧々諤々と企画している「オーブン土鍋」。これはコージクンが熱周りを四方八方ついに上の蓋にまで回すデザインを考案。パンも焼けて飯も炊けて料理もできるオーブン土鍋の試作に、いよいよ突入するそうです。

 昨日はアスペクトの副編集長のコムラさんや編集者女史と西荻で飲んで食ってしゃべった。久々に西荻で飲めて、やけに楽しかった。コムラのトーチャンは以前ウチに来たときはオシゴトモードの格好していて、何となく故・小渕首相みたいな風貌だった。以来、コムラ氏のことを陰で「小渕」と呼んでいたのだが、昨日は休日だったせいかジーパンにGジャン姿で、別人のように若々しく見えて「小渕」ではなかった。拙著の企画の打ち合わせのはずだったのが、私が一人で勝手にハッスルして全然関係ない話ばかりをペラペラと…。ヌーボーワイン空けて、日本酒のアチチチチの超熱燗を何本も何本も空けて、最後は酔い覚ましの冷たいビールをじゃばじゃば飲んだ。いヤ〜実によく飲んだ夜だった。しかし、全く二日酔いしていずに、本日快調。絶好調なのです。我ながら恐ろしい。

クモ嫌いの方ごめんなさい!ウチの明美ちゃんを激写

 久々に画像のせたと思ったら、ろくなもの撮っていないな!と呆れられそうです。

 庭の紅葉と皐月の木にまたいで、立派な女郎蜘蛛が巣を張りました。名前は明美さんです。(勝手に命名するなという話もある)。早々に自分の体の数倍もあるでかいカマキリをゲット。明美はバックからマウントをとり、カマキリの健太郎(ともかく、勝手に名前を決めるな!)の体液をちゅくちゅく吸い始めました。健太郎はカマで空を切り、生きながらにして明美に食われ続けました。
 本日見ると、健太郎は体液のみならず、肉体の外側のほとんども食い尽くされていました。しかし、明美の細いウエストも細長い手足も全く太っていずに、明美のサイズはそのままでした。あの大きな健太郎の肉体は一体何に昇華したのでしょうか?明美は食べるという行為にそのものに、健太郎の肉体カロリーの全てを使い果たしてしまったのでしょうか?
 しかし、明美はいずれ、庭にくる野鳥のエサにされるのであろう。あんな目立つ場所に堂々とマイホームを建築してしまい、その上、ご本人もまるで工事現場の注意マークの黄色と黒の縞模様。目立つことこの上ないのです。もっと、木陰の目立たない場所に巣を張らなきゃ…。バカだなあ〜。
 と、思っている私のほうが、もっとバカですな。ともかく、いつ野鳥に食われてしまうのか気が気ではない。イライラしてきた。いっそのこと、さっさと食われてしまえ。仕事がてにつかない。さもなければ、引越ししておくれ。

(無題)

昨日の冷たい晩秋の時雨に、ちょ〜センチメンタルになっていた昨日なのですが、本日はそのサボリのバチがあたってパタパタ落ち着かない一日でした。だいたいにして、冷たい雨だからといって、自宅屋内の仕事を丸一日サボるバカがどこにいる?え、はい、サボっていたのですよ。サンディーなんかのCDを一日ず〜っとかけっぱなしでね。とっかえ、ひっかえ。うじ〜っとか。
 (拙著読者の)浄土真宗・寺の僧侶の方が手作りしたビルだのワインだのが送られてきた本日。ぼやぼやなどしていられない。私も頑張らなければ。きっと、きのうの冷たい雨の中で、宅急便を出してくださったんだろうなあ…。ぐしゅ。ありがたい。密造の酒だけではなく、寺味噌もうまい。感謝。でも、私はいったい何をやっているのだろうか?
 ベルギーの修道院のビールは好きだけど、日本の寺の僧侶が作ったビールというものをご相伴にあずかるのは初めてだ。大事に冷蔵庫にしまっておいて、いつか、心して揉むのだ。(もったいなくて、すぐに一人で飲めない)。
 シュトレーン生地を仕込み、送られてきたばかりのもち米をうるかして餅つきの準備。昨日は玉葱を大なべ一杯3時間も炒めてオニオンペーストを作って、オニオングラタンスープの準備。仕事らしい仕事は何もやっていない。いいのか、こんなことで?いいのだ、これで、いいのだ。寒い。もうすぐ、寒い冬の季節なのだから。

山の芋

 里の芋に対して山の芋。自然薯などの種類です。足が強く(粘りが強く)、味も濃い。晩秋から冬にかけての野趣ある山菜です。今年も徳島の森本さんが送ってくださいました。感謝!
 生ですりおろして山かけご飯や蕎麦に使うのも美味しいのですが、加熱調理しても,モチモチふんわり最高です。一番簡単なのは、すりおろしたものを味噌汁やお吸い物に一さじずつ落として、ふわっと浮くまで加熱する椀種。まるでお餅みたいに弾力ある具になります。もっと簡単なのは油をしいたフライパンで両面焼き上げてしまうもの。焼餅みたいになります。醤油と海苔でもOKですが、柚子味噌なども合います。
 柚子味噌
豆味噌150g、麦味噌150g、砂糖100g、みりん大さじ1、柚子150g、醤油大さじ1
 柚子の皮はみじん切り。鍋に味噌、砂糖、みりん、柚子の絞り汁、柚子の皮、醤油を入れて木べらでかき混ぜながら中火で数分加熱してツヤよく練り上げるだけ。
 この柚子味噌はふろふき大根、里芋の衣かつぎなどに添えても合います。

 すりおろした山の芋に白身魚のすり身と卵白を混ぜ込んで蒸すと、自家製はんぺんの出来上がり。(これはちょっと手がかかりますが)。
  
 写真の手前が油焼きの山の芋・柚子味噌添えです。その後ろの怪獣みたいなのが山の芋。私の田舎の北海道にも同類のものがあります。地方名称は「ねまり芋」。粘りがつよいから(たぶん)ねまり芋と訛って呼ばれているのだと思います。京野菜でも売られていますね。(なかなかのお値段です)。

 生でよし、煮てよし、炊き上げてよし、揚げてよし、蒸してよし。とても料理の創作意欲をそそってくれる面白い材料です。今が旬。店頭で見かけたら入手して、あれこれ試作なさってみては。
 今週の料理教室にもこの「山の芋」料理を登場させる予定です。

秋の玄米麹味噌作り

 新米の玄米をたくさんいただいたので、4日間かけて玄米麹作り。大豆3キロを蒸して、玄米味噌を仕込みました。本格的な味噌仕込みはこれからで、今回のはウオーミングアップ。まだ、新物の大豆が出ていませんからね。本格的な味噌作りは12月に入ってからになります。たぶん、今月の下旬ころ、北海道から大豆が到着すると思います。教室での味噌作りは、新物大豆が到着してからです。
 玄米はフードプロセッサーにかけて1分ほど回して表皮に傷をつけると、吸水も蒸しあがりも良く、コウジカビが問題なく繁殖します。白米麹よりも玄米麹のほうが甘味もコクも出るので、白米麹(市販品)1袋200gを友種にして、蒸した玄米1,2キロを麹にします。(蒸した玄米に市販麹を混ぜ込むだけです。3,4日もすると麹菌が繁殖し、玄米全体が麹になります)。最近は赤子の手をひねるよりも簡単に麹作りと味噌作りができるようになりました。年のせいかな、長年作り続けていると、百発百中のカンみたいなものが染み付いて、何の苦労もなくなってしまった。すったもんだの試行錯誤でヒーヒーいいながら作っていた若い頃が懐かしいです。
 最近、メールをやり取りしている拙著読者の方から「お豆さんコトコト、優しい音と、お豆の炊ける良い香りが伝わってきそうですよ」と、私の味噌便りに風流な返信がきたのではありますが…。実はエンケン(遠藤賢司)の四畳半ロックのCDをガンガンかけながら味噌仕込みをしていたのでございます。昔、プロの麹屋さんから「麹は赤ちゃんをあやすように、静かにゆっくり作ります」と聞かされました。味噌屋さんとか麹屋さんたちは、よくそういいますね。しかし、どうも、ウチの麹菌どもはロックだろうがブルースだろうが、騒々しい音楽が好きみたいなので、騒いでいるほうが麹のできがよろしいようです。
 今年の11月はやけに温かいので、作りなれていない方は来月の寒の時期を待つほうが賢明かもしれません。気も早く仕込んだ漬物も酸っぱくなってしまったし、地球温暖化というグローバルな問題が、我が家の狭い台所にもダイレクトに侵入しています。