グロッキーの続編

 ブログを久々に更新している途中で、ラッパの豆腐屋クンが来てしまったので投げ出して、尻切れトンボになってしまった。(そうだよ、私は生徒諸君や元・生徒の君たちよりも、美味しい豆腐を買うことのほうが大事なのだよ。これは教室の皆も承知の事実で、豆腐屋が来たら、たとえ教室中でも皆を投げ出して豆腐を買いに走るのです)。

 丸一日、店をサボったお陰で、夜には元気復活。(酒を飲んだせいという話もある)。ご飯もちゃんと食べたし。久々にゆっくりした。と、思っていたら、潤ちゃん店長から電話。「明日の早朝入店許可の書類を出しておきましょうか?」(余計なお世話です)。水曜セールの料理を(極当然のよーに)作っておくれ…とな。ははははは!
 まかせろ。いくらでも作ってやるぜ。私は今、家で酒飲んでいるから、アンタはさっさと買出しに行っておくれ。材料さえそろえておいてくれれば、朝だろうが夜中だろうが、なんぼ〜でも作ってやるけんねーだっ。くそ!
 秋野菜の煮物を作る。得意技だ。野菜を残して、ごぼうやれんこんやナスの和野菜の
ピザも作ろうと思っている。海苔とチーズをたっぷりトッピングしてね。和野菜はラタトーユ仕立てにする。ピザソースもたっぷり作っておいたし、直系30cmいじょうもあるピザ皮も焼いておいた。(サボっているわりには、やはり潤のことが心配で、実はこそこそ家で仕事していたという話もある)。

 店の致命的持て余しスペースはガラスのショーケースなのです。作りたてホヤホヤの熱い料理を並べることができない。貧相な常温の陳列台(このスペースは狭い)とオープン冷蔵スペースしか役に立たない。店のどの料理も冷めるのが遅い和惣菜。揚げ物やパンなどのスカスカ空気を含むものならすぐに冷めるのだが、煮物はなかなか冷めないのです。結局、一番目立つガラスケースの中には、まともなものが並ばない。並べたとしても、なんともはや…残り物的ムードしかかもし出さない。その上、パッキングしたものと違って、表面は乾くし、ライトで焼けて退色してしまう。サラダ類の冷製を思いついて並べてみたのだが、店はこれも売れ残す。(売れる前にモノが退色してしまう)。やむなき方策でサンドイッチを思いついた。ガラスケースの中でライト焼けしたサラダをサンドイッチの中にはさみこむ。惣菜は玄米弁当や雑穀弁当にさっさと転用して使いまわしてしまう。ともかく、ガラスケースの冷蔵庫の中には長時間、料理をディスプレーしておくことはできない。致命傷だ。
 自分が催事で商売やるときも、ガラスケースだけは絶対に使わなかったのです。非常に不合理だから。客が自分でピックアップできない陳列商品には、ピックアップ要員の人材を張り付けておかなければいけない。平積みや山積みができないガラスケースのスペースから、その分の人件費を捻出するのは難しい。ガラスケースに並べるものは高額なチョコレート製品や生ケーキだけで、単価の低いものを並べては絶対に失敗する。
 で、立川の店のガラスケースの中には…。おからだの切り干し大根だのひじきの煮物だのが、並んでいるわけよ。私の目からは奇異な光景にしか見えないのだけれど。大衆的な家庭惣菜をガラスケースに陳列して、んで、なんぼや?ゴディバのチョコなら分かるけれどね。生寿司類でも分かる。しかし…。切り干し大根、おから、ひじき。これからは大根の煮物も並ぶであろう。嗚呼、絶望的だ。そして、その料理を作っているのが、私だ!笑える。
 あまりにも恥ずかしいので、店には絶対に顔を出さないようにして厨房に閉じこもっているわけよ。直視できないのですもの。売り子役は人任せ。最近は料理も人任せにして、私はパンや焼き菓子に逃げ込もうと思っている。今は焼き菓子をガラスケースの中に並べることを考えている。和惣菜と焼き菓子の異常な同居をいかに蛮行するかを。その上、ガラスケースの中で持て余された和惣菜をピタパンのサンドイッチやピザに作りかえる野望までも企んでいるのだよ。ともかく、経営の窮乏状態を意地でも救ってあげなくては。夕方になったら安売り、それでも売り残したら、ただで配る、捨てる、という悪循環を生産的な視点で切り替えなければいけない。別に、古くて腐らせてダメにしているというわけではないのだから。陳列のダメージで商品価値を失ったものに付加価値をつけて再利用するアイディアが店の人たちにはないのです。作る厨房現場の実務的苦労や忙しさを知らないからね。だから、こここそが、厨房の人間の知恵の絞りどころなのです。(ここが面白くて、わざと苦労しているという話もある)。厨房ペアの昌弘は、今では一丁前に料理を作れるようになった。定番惣菜は任すことができそうだ。(問題は肝心要の潤が全然まだダメなことくらい)。

 あ、やばい。夜中から書き始めたブログ、気がつけば朝の4時になっている。少しでも寝なければ。朝は6時起きだ。今から寝れば2時間は寝れる。

お疲れモードで、ついにグロッキー

 年甲斐もなくムチャクチャな仕事の仕方をし続けたせいか、昨日あたりからかなりなお疲れモードに豹変。2ヶ月間、一日もまともに休んでいないもんな…。疲れて当たり前か。最近の大型店って無休なんだよね。いぜんは月に2回くらい休館日があったんだけれどねえ。
 あ〜モーダメだあ〜…。と、本日はサボリを決め込んだ。「もし、行けたとしても午後からでしょう」などと言葉を濁して。(すでに午後ですよ。でも、体は出たがっていないみたいです)。長い間(5,6日間か?)パソコンすらも開いていずに、メールチェックもサボりまくっていたので、パソコンを開くのが恐ろしい。
 チョー久々に自分のために自分の食べるものを作ろうと思って冷蔵庫を開けると、ありとあらゆる食材が腐りまくっていて、野菜室の野菜などはドロドロに溶けていた!ああ、まともな人間生活とは思えない。冷蔵庫の中を見るのすら、恐ろしくなってしまった。ゴミ袋一杯のゴミを産出し、新しい食材を買出しに行く。(どうせ、作りもしなければ、食べもしないくせに)。でも、嬉々として3,4品の自分用の料理を作った。本当に久々の自分のための料理。業務の量と比べると、まるでままごと遊びみたい。店での料理疲れを自宅の家庭料理で癒す。

 あ、ラッパの豆腐屋さんが来た!久々に買いに行こう。

店長不在のキョーフの数日開始

 この店の「危機!」というときに、沖縄に行ってしまうアホンダラ店長の潤。今頃は空港に向かっているはず。うっつ、うっつ、ビエ〜ン。
 ゆうべは夜中の1時半過ぎまで作戦会議。(しかし、お互い、体力だけはよくあるよなー。頭はないけれど)。朝の6時前からパン焼きをやっていた私は、潤ちゃんが来る前に1時間半ほどうたた寝をしてしまった。寝起きの顔で作戦会議も何もあったものじゃないけれど。(潤ちゃんも不休状態で疲れているのか、腹を出し、へその周りをポリポリ掻いていた)。→こういう緊張感のないことだから売り上げが伸びないのかもしれないが。

 問題はお握りだ。作ったお握りの半分近くを売れ残して無駄にしているという。なぜ、作るお握りの量を減らさないのか!?売れないものは、さっさと変換すべきだ。利幅の低いお握りを減らし、玄米弁当でもやってみないか?秋を感じ始めたので、そろそろ穀物に対する食欲も湧いてくるころだ。
 和惣菜など基本のき、土台のど。そのような基礎調理を全部私に任せて、私の素晴らしい(悪魔的な?)才能を別途フル活用していないことに問題があるのだ。未だに、ダシ汁ひとつまともに引けず、定番基礎の和惣菜の6,7品すらまともに作れない店の現状をすぐにでも打破してほしい。なんで私が人件費不要の調理員になっていなければいけないのか!?私をただの調理員として当てにしてカウントいるうちは、貴方の店に進展はない!!と、寝起きの私は、へそを掻いている店長に力説したのであった。

 疲れているわりには二人とも、やけにギンギンとなって打開策を検討。車移動の潤のために酒を飲まずにお茶のヤケ飲み。「そんなにお茶を飲んだら眠られなくなるよ」アンタに言われんでも、そのくらいのこと知っとるわい。緑茶のおかげで昨夜も徹夜同然。んでもって、店長不在の店をよろしくと頼まれているのだ。厨房に寝袋でも持ち込もうか?
 今月一杯は潤に基礎の定番料理を教え込み、その後、私はメインディッシュとデリカのパン作りに専念すると断言。絶対に今月中に店の定番和惣菜くらい覚えろ!コンニャロメ!私は調理員専属オバチャンなのではなく、あくまでも企画者なのだ。今のままでは私の才能は開花しない。沖縄の物販品はガラスの冷蔵ショーケースにでも並べ、オープンケースの中をデリカのパン系のもので埋め尽くしてしまいたい。デリカ商品を出揃わせるために、一日でも二日でもいいから時間が欲しい。なのに、何で〜貴方が留守して、私が売れないお握りと惣菜の店をやっていなきゃなんないんだよー!?逆じゃないのよ、逆。もずくみたいなヘソ毛を掻いている場合じゃないんだよ。

ちょ〜ご無沙汰でござんす

 すんません、忙殺されておりやんした。苦戦の店舗で、ドタバタ続き。鈴乃屋の鈴木社長から、ついに、…ついに、お怒りが入った。「お前はルミネネに泊り込みで仕事に入っているのか!?全然、連絡が取れない!」…。
 違います。泊り込んではおりやせんが、全部、時間も体力も使い果たしてしまっているいのです。電話も不通(いないから留守電ですね)。パソコンすらもずーっと開かないまま。ケータイーにいたっては嫌いで解約して何年にもなる。連絡なんて、通じるわけないのですよ。伝書鳩でも放たなければ連絡取れないよ。鈴木さん、ごめんなさい。そー、お怒りにならないでくださいまし。ルミネで住み込みではたいているわけじゃーございませんから。(住み込みできたら、よほどラクなんですけどね)。(…アホか?わしゃ〜?)・・。

 企画だのプルデュースだのというより、ほとんど「専属調理員係」で、この1ヶ月間近くが過ぎました。教えると言うよりは、作るの専門。これではクライアントにとっては本末転倒、かなりヤバイと感じたのですが、後の祭り。ともかく、なんとか教え込まなければ。

 最近になり、やっと潤ちゃん店長が厨房のほうに入って調理を把握しようとしています。やっと、です。(でも、少し、ほっとして、気分的にはラクになった)。
 それまでは、業務調理を急に再開したので、(私は業務を10年以上もサボっていたのだよ)まるで格闘技の試合の後のような毎日。目は覚めるが、起き上がれない。ああ、筋肉痛!」。(懐かしい痛み)。

 思い通りには伸びない売り上げに、あの手この手で方策を練る(その程度では改善される状況にはないのですが…・)。あの手この手をこうじるために、店の品揃えが安定しない。ますます、店の人たちが、調理マニュアルを把握しにくくなる…。
 嗚呼、悪循環!(こういうことをまさしく苦戦というのです)。

 店を立ち上げるのは本当に大変です。開店してまだ1ヵ月も経っていないというのに、店長の潤は沖縄出張で明日から数日間留守にする。これも、かなりヤバイね〜。正直言って、まだまだ留守になどしてはいけない時期なのですよ。ヤバイ。ずーっと前から入っていた予定なので、必ず行かなければいけない…とのこと。今、留守していて大丈夫なの?(あまり大丈夫とは思えない私)。

 ということで、かなり切迫した状況になってきた店舗です。追い詰められているといっていい状況なんですよ。逃げてはいけない。今逃げたらつぶれちゃうよ!今、頑張らなければいけないんだよ。その切迫状況をビミュ〜に外す店長。ヤバイ。今、何かを言わなければいけない。何かを行動しなくてはいけない。
 でも、私自身すらもが逃げ脱しそうになるわけよ。やっぱ〜この人もダメか〜、もーいいか〜とか。投げ出しそうになるわけよ…・。これが一番ヤバイこと。そう思った瞬間に、その人のことをだめにしちゃうからね。ダメにしちゃいけないよなあー。手一杯、目一杯の夏が過ぎて秋になったようです。かなり疲れ果てている。私も潤も。

 やっと業務店舗用のレシピとマニュアルを出せました。毎度のことながら、2週間以上かかるのですよ。店は生きている人間と同じで、ふたつと同じものはない。その店舗専用のマニュアルとレシピを生み出すために、ゆうに2週間はかかる。それから本格的に教え込み始めるわけよ。で、この段階の、ここのところで、「教えられる人」がいなくなるというのは、私にとって、かなりきついわけよー。でも、いなくなるのよね、潤ちゃんは〜。

 本日、やっと二ヶ月ぶりくらいで、やっとやっと昼間の時間が確保できました。
早朝からパン焼きと入店、午後3時くらいに店を上がることが、やっとやっとできました。
 久々に掃除機をかけたり、便所掃除をしました。うれし〜。掃除するのが、こんなにも嬉しいことだとは知らんかったぜー。無心に掃除機をかけ回る。

 店では少しずつウチの(自然発酵種の酵母)パンを始めました。(いっきに全てを出したかったけれど、その時間的余裕は無く)。サンドイッチとかのデリカものです。ホンマに、少しずつです。限界に上乗せするような限界なのですが、このくらいのことをドタバタアタフタやらなければ、ホンマにダメになってしまう。今、頑張らなければ。

 私が勝手にデリカをはじめたら、潤も「弁当も」とか言って、弁当まで作るはめになってしまった!痛し痒し。今までよりも、もっと大変な時間と手間になってしまったのです!ははははは!(でも、楽しい!)
 ますます時間が無くなる私。こんなことをしていていいのか?ダメなんだろうな〜。でも、しょうがないよな〜。自業自得だもんな〜。

 鈴木社長は、今のことは何の無駄にもならないから、どんなに苦しくても、先のために頑張れ、と言う。実は、私も、内心そう思っている。(48才のオバサンでも、先はあるのだよ)。電話を切る間際に「おい、風邪ひくなよ」とか、ほんの少しだけ優しい言葉をかけてくれるわけよ。グシュ…・。泣いて、すがりつきそうになる。(連絡が取れないと怒っているわりには、少しくらいは心配しているようだ)。(でも…、あのなー。なら、もっと優しくしておくれよ)。
 なんとか、明日からの潤ちゃん店長不在の数日間をやりすごそうと考えている最中です。鈴木さんは鈴木さんなりに、先の展開の置石を進めていてくれている様子です。

 もう少しだけ、頑張って苦労してみます。

秋雨だというのに、ハスの二番花が咲きました

 秋を感じさせる冷たい雨が降り続いた本日。うちの季節はずれのハスの二番花が咲きました。(しんちゃんに言ったら笑われるか、呆れられるのだろうなあ…。普通は7月とか8月とかの真夏に咲くのにね)。自家製肥料に問題があったのでしょう。なにせ、肥料まで手作りしたんだから。(でも、ともかく咲いてくれているのだから、いいじゃん)。

 本日は早朝より店に闖入し、早くからドタバタ仕込み。毎度のことながら、メチャ忙しかった。その間、昔、一緒に仕事を手伝ってくれた渚ちゃんが息子のリキ君を連れて店に来てくれたようだ。残念ながら会えなかった。ハスの花のカードの裏にメッセージが書かれたものが、鬼のような顔で料理している厨房の私に渡された。リキ、大きくなっているだろうなあ。ひと目見たかったけど後の祭りです。渚、ごめんごめん。こりずにまた来てね。厨房の場所を聞いて、キッチンまで来てね。昔と変わらない鬼の弘子が料理と格闘技をやってるけんね〜。ともかく、すごいから。調理台で使ったボウルやらへらやらを洗い場のシンクの中に百発百中の命中率で、パコ〜ンと飛ばして投げ入れるんだぜ。ほとんどバスケットボール選手のナイスシュートです。これは一見の価値あり。(ところが、昨日はこのバスケットボール部室的キッチンで大問題が起きたんだよ。他で催事をやっている某オヤジが、無断で勝手に厨房に入ってきて、平然と入れ歯をシンクの中で粗い、お口をうがいして、ぐちゅぐちゅぺっぺした。あまりにも突然のことだったので、私も文句すら言えずにボーゼンとして立ちすくんでしまったのです。もちろん、平静気分になってから、ルミネに苦情を伝えたけれど)。ボウルだの鍋だのが厨房の空中を飛び交う恐ろしい現場です。渚ちゃん、ぜひ見に来てください!

 とはいうものの、明日の午後は我が家にまたガスオーブンの工事が入ってしまいます。ともかく、パンを焼いて品を揃えるためには、自分のパン作りの状況を第一に整えなおすしかないのです。この1ヶ月間以上も、何も全くパン生地や種を世話していない。天罰覿面で、パン種は弱っているし、オーブンはまた不調。サイテ〜!
 明日、この最低な状況を打破します!そして、いよいよ始めるのだ!私たち新川店のブランシェリーのデリカ部門を。あれもやろうね、これもやろうねと、私+パン教室出身の生徒たちは大喜び。何だか急に元気が出てきたスタッフ陣営。のどかモードアホンダラ店長の潤のケツをペンペンすべく、大ハッスルでした。すると、不思議なことに本日のお客の入りはなかなかで、死にそうにながら作りまくった惣菜のディスプレーもどんどん空になる。死んでるヒマなんてなかったね。潤ちゃんも、昨日よりは元気があった。よかった。アホはアホなりに一緒に頑張ろうという気持ちはあるのだ。(ただし、パン作りなど、覚える気もやる気も見受けられないけれど。僕はパック詰めで頑張ります!とか、救いようの無い無意味なエールを叫んでいたけれど。…。困ったもんだよな)。っまあ、いいか〜。なんとかなるさー。

 惣菜を盛り付ける器類の不足も判明した。パンを飾り付ける籠も必要。サンドイッチを包装する資材も早急に取り寄せなければ。ホイロ問題もいぜんとして解決していない。
 でも、いける、いける、私たちはもっともっと頑張れる!たくさんの可能性がある。やれるだけやってみる、私は何でも作りだせる。何でも食べ物なら作れる。潤や昌弘や純子やみかが、私を信頼して付いてきてくれることだけが、今の私の喜びと幸せと報酬です。これほど素晴らしい報酬はないね。うちの店舗まわりの店の人たちとも仲良くなった。ご近所様は大切です。店って、一人だけの努力ではできないからね。人間が一人では生きられないように、店も一店舗だけでは難しい。やはり、ご近所付き合いは大切です。オープンして、2週間。やっと、少しは全体的な事情が飲み込めた。

 今、自分が何を起こして何を開始すべきなのかをやっと認識できました。「ご飯とおかず」なんていう店は初体験。元々はお菓子やパンや喫茶店をやっていただけだから。未経験なのですよ、こんなこと。

 でも、今は幅広い「プロ」になれそうな予感。私はお菓子やパンやカフェだけではなく、ちゃんと惣菜やデリカの店でも、ゼロから立ち上げて、懸命にやっていける才覚があると(うぬぼれかな)思い始めるようになりました。幸せなんですよねえ…なぜか。お金にはならないけれど、もっとそれ以上のことを学んで必死に学習している最中というか。これって、すごく幸せなんですよねえ…。自分でも、よく分からない気持ちだけれど、アホとは想うんですけれど。パソコンすら開く時間が無い。メールチェックも数日に一度。会いたい人にも会えない。それどころか、お金になる仕事すら断ったり遅らせてもらっている。でも、何だか今はこれでもいいような気持ちがするのですよ。自分でも、分からないのですが。今は、こうすべき、というような天からの声を感じるというか。

 人間、金と銭勘定のためだけに動くと、幸せでもないし、人格的な成長もないよね。自分の命を生かすためのものはゼニではないのですから。頑張ってやっていれば、経済なんて後から勝手についてくるものです。金にならなくても、頑張って幸せな仕事をやっていれば、食いっぱぐれてたり、つぶれたりして、死ぬようなことはないのです。かならず、何かが報われる。たとえ、それが今ではなくても。たとえ、それが金ではなくても。そのようなものにだけ立ち向かって向かって生きていくべきだと思います。イヤなものは、ネガティブなものは、排除すべきでしょう。

 人間は肉体的な負荷では死なずに強くなれる。でも、ネガティブな精神的ストレスを与えられる場合は、死に向かい自殺を考え、そして、弱くなり、腐る。
 新川店の私たち。腐ることなく、生きる方向へ驀進します。素人集団、アホ丸出しの私と店長の潤。この約2名のアホを除いては、心強い若きスタッフが(呆れ果てつつも)ついています。いよいよ、呆れられて見棄てられたら、私と潤のふたりでもやっていけるような内容にしなければ。(呆れられて当然のことをやりまくっているけれど)。やっていける自信と覚悟はあるからね。

作戦第二弾を開始します

 思い通りに売り上げが伸びない「たくや」。ったくや〜ねんでえー。もうこのさい「たくや」じゃなくて「なにや」にするべーということになった。
 弘子ちゃんの持ち駒、第二弾を開始する!ともかく、ディスプレーが下手。私は厨房で料理を作ることだけで手一杯なので、店のディスプレーまで手出しするヒマがないわけよ。でも、放っておくと、商品の料理はガラスのショーケースの中で「残り物」的様相を呈している。
 作りたての熱い料理は、先ず常温ケースに並べる。冷めたらガラスのショーケースにディスプレーする。減ってきたらパック詰めして、オープンのショーケースに並べる。教えたとおりの手順を一応みんなやるようにやっとなってくれた。(やっとだよ、やっと!そのくらいのこと、私に言われなくても思いついておくれよ〜よ言いたい)。

 ところが、この一番大事なオープンショーケース。開店前夜、店長の潤ちゃんから電話があり「どうやら、漬物やさんが使うやしくて、僕たちは使えないそうです」という信じられない話がきた。そして私は最大級にぶち切れた!最初と話が違うではないか!潤よ、おまえさん、一体何を騙されたのだ?ふざけんなよ!頭に来た私はスペースデザインのオトコに怒りの電話をかけた。最終決定図面をわたされたときは確かにオープンケースも我々のスペースになっていたのだ。「てめー、ふざけた嘘の図面を出しやがったな!どうしてくれるんだ!責任を取れ!今までの私の企画がメチャクソになってしまうではないか!!なんで、嘘のふざけたことをしやがるんだ!」怒鳴り散らしたら「い、い、いえ、騙したわけではなく、メビウスが…あの・・すみません。僕も仕事なので、しょうがなく…あの。ごめんなさい」。オロオロ。「バカヤロー!てめーらとなんか、二度と仕事をしたくない。二度とくるな!」と大爆発。
 となりの漬物やさん。その私の怒り具合を見て、漬物や自らが自主的に場所を空け渡してくれる申し出となった。(まあ、それでも私たちの怒りは収まらなかったのだが)。

 まあ、このようにして、すったもんだで何とか手に入れたショーケースのスペース。有効活用しなければ漬物やさんにも申し訳がたたないわけです。それなのに、ああ、それなのに。弱気の店長は沖縄物産商品をコソコソと並べているのですよ。「あほ!」

 オープンケーススペースは人通りの少ないレッドゾーン。勝負のしがいのある未開発スペースなのだ。
 私はそこをサラダとサンドイッチを並べるブランシェリーのデリカコーナーにすることに決めていたのだ。おフランスの惣菜屋さんみたいにしたかったのだ。「おーい、潤ちゃん。あの沖縄物産モノを引っ込めておくれよー」。
 私はいよいよ、我らが教室の自然発酵種の酵母パンを開始するのだ!自家製パンによるデリカのサンドイッチコーナーだ。サラダと和の弁当も並べる。焼きたてのクロワッサンも籠にもって並べたい。
 常温ケースはできたての熱い料理とお握り。ガラスケースは惣菜。そして、オープンケースは、どういうわけか、デリカとサンドイッチとパンなのだ!どーだ、文句あっか?ないない、ないよ、でも、なにやなの?…。いいじゃん、別にどうだって。売れるものは何でも並べて試してみようよ、ね、いいでしょ!?「あ、は、はい」。あくんまでも、従順な店長でございます。
 ところが、厨房にはオーブンはあるのだが、ホイロがない。発酵が思い通りに進まない。思い悩んでいたら、純子が大発見。「先生、オープンケースの裏から、すぐい熱気が出てきて温度があるんですよ」!!やった〜。そこをホイロスペースにするべー。これぞまさしく、資源の有効活用だ。電力を有効に無駄なく活用しよう。
 ところが、我らがアホンダラ店長。その「大切なホイロスペース」に沖縄特産のゴーや茶だのジュースだののストックダンボール箱を山積みにしている。「あほ」。さっさとどこかへ引っ込めておくれ。邪魔だ。オープンケースの裏は大事な「ホイロ」スペースなのだ!そこ以外に、保温場所はないのだ!いいか、一番勝負の難しいオープンケーススペースは、商品企画の鬼の林弘子に全てまかせろ。私がブランシェリーのデリカにしてみせる。和洋混在でいいのだ。特に地下一階にはサラダバーもパン屋もワンドイッチコーナーも無いのだ。他店にないものを並べるしかないのだ。沖縄物産店は全然売れていない状態の店がすでに一店あるのだ。沖縄一色の店が。
 売れない物産販売はその店に委ねておくがいい。私たちは地下1階にないものを始めるのだよ、いいか、分かるか、オマヌケな潤ちゃんよ。「はい」。よしよし、いい子だ。弘子ちゃんの言うことをちゃーんと聞けよ。今のままでは、あんたはつぶれるよ。

 このようなわけで、開店二週間目。ついに、私の本領発揮をおっぱじめることにしたのです。それにつけても、あの裏側のスペースの山積みダンボール箱。潤ちゃん、さっさとよけておくれよ。邪魔で邪魔でしょうがないんだから。しかし、よくもまあ、あんなに大量のお茶だのジュースだのをよく持ち込んだものですなあ。呆れ果ててものも言えなかったです。オープンケースを使ってもいいと話しが急に一転二転してしまったので、潤もあせって運び込んでしまったのでしょう。かわいそうといえばかわいそうなんだけど、話が違うことになぜに強く抵抗しなかったのだ?なぜに闘わなかったのだ?なぜ、言うことを聞いてスペースを前夜に諦めるなんていうことをしてしまったのだ?
 潤はメビウスの言いなりになった自分の責任で弘子先生には本当に申し訳ないことをしてしまったと謝っていたけど、別におまえさんが悪いわけではないのだよ。ともかく、変な話には弱気になってはだめだよ。「すみません。許してください。全部、ぼくが悪かったのです」。いやだ。私は絶対に許さない。スペースデザインの花井をぶんなぐりそうになったら、花井君もびびって、ずっと平謝りだったので、怒りは晴れないままだ。そのぶんの怨みもこめて、オープンスペースを花開かせるのだ。当面、ますますクソ忙しくなる。ルンルン!

忙殺!

 立川ルミネ店の「たくや」をオープンさせて10日間たちました。もう〜波乱続きですね。料理なんてレベル以前の問題。(初期の企画に反して、私はずーっと、開店前日から店の厨房に入り、一日も休まず店の料理の全てを無料報酬で作りっぱなし。開店から夜の閉店前まで。)
 料理始動以前に、まずは、ご飯をまともに炊けない。米を研いだ人が責任を持って水加減をして炊飯スイッチを作動させればよいのだけれど、いかんせん、どたばた舞台。研いだ人と水加減をする人と炊きあがったご飯を調理する人が別々になってしまう。ともかく、まともなご飯を炊けない状態。本日、私はついにぶちきれてしまった。「なんで、飯すらもまともにたけないんだよ。ご飯炊けないのなら、お握りも海苔巻きも止めてしまえ!これ以上、ご飯炊きに失敗したら、私はもう来ないよ!」と、怒鳴りつけてしまった。好き好んでタダ働きしているわけではない。なんとかしようとして、自分の仕事を投げ捨ててまでやっているのに、ご飯すらまともに炊けていない。店頭に並べる料理は全て私がブランティアで作っている。その間にも、ほかの会社から料理コーディネートや交尾以来の仕事養成が入ってくる。教室の問い合わせも複数入っている。そのどれもを断りながら、タダ働きに一日を楽しく費やしているのです。

 自分個人で請け負った店舗立ち上げの仕事なら、一ヶ月間に企画だけで5,60万は取る。その後、私の体を現場で使うのなら、料理講師料として一日最低でも10万は請求しているのです。ただし、自分の生徒と以前世話になった仕事関係者の要請だけは無料でやっている。潤は生徒でもなかったし、昔の仕事関係者でもないけれど、あまりにもイイヤツなので、情にほだされてやっているのよ。放っておけないのよね。つまり、私自身のせいなんだけどさあ〜…。それにしても、もっと、しっかり体制を組み立てて堅固なものにしないと、本当にヤバイよ。私だって、鈴乃家のこと、イイヅカのこと、教室のこと、原稿の締め切り、取材の撮影、すでにたくさん仕事がはいってきていて、それを先送りにしてもらいながらタダ働きをこの1ヶ月以上ずーっと毎日休み無く続けているんだからね。潤ちゃんのこと、好きなのよ。どんなに、きついことを言っても、叱っても、私を100%信頼して、好いてついて来てくれているのが分かるから。

 そういう人間を見捨てられないのよね…。もう、これからも、二人で、ずーっと一緒に仕事していこうか…・、なんて、潤も言うし、私も、ふとそう思ってしまうのです。「バカヤロ〜!」とか怒鳴り散らしても、ストレスを与えられないケースは初めてです。ともかく、新川潤店長、乳離れしない。たぶん、ずーっとしないかもしれない。私も、それでも、いいような気がしている。潤と仕事をやりながら、片手間に従来的に自分で企画をたまに請け負って、立ち上げ企画をお小遣い稼ぎにしながら、本の原稿を書いていたら、それなりに、自分なりの充実した仕事が組み立てれるし、それなりに幸せです。ずーっと一緒にいて、一緒に仕事を作り出していきたいと心の中で(たぶん、私だけではなく、潤ちゃんのほうがもっとかも)、そう思っています。でも、マア、この先、どのように転じていくのかは分からないけれどね。でも、楽しい。何だか分からないけれど、幸せなんです。不思議な気分。まだまだ、いくらでも頑張れます。時間は慰安のところ、潤の仕事に全て使われている。でも、それでもいいような気持ちになっている。なんとか、今よりベターにしてあげたいです。

やっとハスの一番花が咲きました

 普通は7月の暑い盛りに策ハスの花。でも、ウチのハスはかなりオクテなんですよね。去年も8月の中旬過ぎに咲いたけど…今年はもっと遅れて、9月5日の本日になってから、やっと一番花が咲きました。明日の朝には花開くと思った私は、昨夜は夜の9時に睡眠薬を飲んで前後不覚に眠り、朝の5時に目覚めました。ハスの花はすでにうっすらと開きかけていました。二番花の蕾も控えています。
 今年のハスは植え替えをしたせいか、それとも肥料が足りなかったせいか、葉の背丈が低くて小ぶりです。去年は私の背丈以上に高く伸びた葉も今年は私の背丈より低いです。おかげさまで花の写真が撮りやすかった。去年は台を持ち出して、そこに登って足場をぐらぐらさせながら撮影したものです。(何度も落っこちそうになり、かなり危険な撮影でした。やぶ蚊にはボコボコに刺されるし。)

 しかし、9月になってから咲くとは…・。この調子でどんどん遅れていったら、本格的に「秋咲きのハス」になってしまいます。

 さて、本日も10時の開店に向けて店へ出陣いたします。

開店4日目、店長は少々お疲れモード

 本日で、立川ルミネ店「たくや」は開店4日目を迎えました。無事に迎えましたと報告したいところだけれど、…店に午前中に入った私は、またまた「ガーン!」。

 毎朝、7時半の早出で出てくる店長の新川、何をカン違いしたのか生米同然のボリボリ硬い米を炊いてしまい、従業員はそれでお握りを作って売り出してしまっていた。昌弘が「先生、今日のご飯、すごく固いんですけど…」と、私に開店一番に報告したのだけれど、私はあまり気にせずに放っておいたのです。多少、水加減を誤算したのだろう程度の感覚で。
 ところが、後から、その「硬いご飯」を一口食べてみてのけぞった!硬いなんていう生やさしいしいものではない。生米同然なのだ!よく、これでお握りが握れたなあ〜、うちのこたちは天才だ〜と、ミョーに感心してしまうほど、マジ、ホンマに硬い(というか、生)なのだ…。慌ててショーケースの「展示物」を回収するように指示する私。冷やさせが滲み出してくる。
 時間は昼に近いころにやっと気づいたのです。すでに「生米お握り」を売ってしまっていた。売ってしまったものは取り返しが付かない…・。やばい。
 厨房から店に走る私。惣菜のショーウインドウは、なんとなく貧相。そして、お握りは生米お握り。血の気が引いてくる。
 惣菜を盛り付けた器は、「残り物」然とした量の惣菜しか盛られていない。店の冷蔵庫に中にはストックの惣菜を入れておいたというのに。たぶん、店頭に並べたものを売り払ってから、次のものを盛ろうと考えていたのだろう。どこからどう見ても、「残り物のおかず」だ。
 先日にオープンショーケースのほうを「沖縄物産展」的品揃えにした店長に、物産展にしてはダメ、デッドスペースになってしまう、惣菜やご飯の詰め合わせパックを並べてと、指示したせいもある。惣菜やご飯の詰め合わせパック作りに時間を取られ、肝心要の惣菜ショーケースの中が、今度はおざなりになっていたようだ。惣菜のパック詰めをオープンケースに並べたとたん、脚の流れはちゃんとオープンケースのほうまで流れていった。そして、ちゃんと立ち止まって手にとってくれる。しかし、惣菜ケースの前を今度は素通りするようになっていたのです。これでは本末転倒!

 私は厨房での仕込みがメチャクチャ忙しい。店のほうにまで頻繁に目や手が回らない。目を離すと、店がとんでもない落ち度になっている。一日、厨房と店を何往復しているのだろうか。ほとんど運動会です。

 店のディスプレーを手直しして、走って厨房に戻り料理して、それを持って店へ走り、店の盛り付けを手直しして、また厨房へ走っていき料理する日々が続いています。
 今まで、けらけらと天真爛漫にどこか明るかった店長の潤ちゃんも、本日は心なしか顔色が悪く元気がないのです。かなり、今までの疲れがたまっているようです。この一ヶ月間、ほとんど一緒でしたが、彼は不眠不休に近い時間を過ごしてきたのです。私は彼の異常なまでのハードスケジュールをリアルに実感してきました。ハードに見せないのどかさと芯の強さがあるのだけれど、でも、やはりにんげん、疲れの限界はありますよねえ。昌弘が「新川社長、今日はどよよ〜んと何だか暗くなっているんですけど」と私に垂れ込む。潤ちゃんは私の前ではいつもニコニコ笑顔なんだけれど、昌弘の前ではサービス笑顔は見せないみたいだね。かわいそう。少し休ませてあげたいです。

 午後3時、やっとお昼ご飯を食べさせてさげる時間ができて店まで迎えに行ったのです。素直についてきたけれど、やっぱりどこか元気がない。中年女の意地とスケベ心で、ぎゅっと手を握ってみたのです。つないだ手を元気に振って厨房まで引っ張っていったのです。途中、潤ちゃんも一度だけ、ぎゅっと強く手を握り返してきました。でも、すごく恥ずかしそうでした。厨房の前で握っていた手を彼のほうからすっと離しました。
 お手ー手〜つないでーのみちを〜ゆーけえ〜ばー・・という懐かしい歌みたいに、店から厨房まで、二人でおててをつないで元気に歩いたのです。(ほかの店の人たち、さぞかしあきれたことでしょうね。ははははは!)
 お店を立ち上げて始めるということは、本当に本当に、大変なことです。とても、辛くて苦しいこともたくさんあります。でも、やるとなったら、あきらめてはいけない、小さな失敗でめげてもいけないし、そして、それに疲れた自分を自分で休ませてなぐさめてあげなくてはいけないのです。他の誰が代わってくれる苦しさではないですし、他の誰が慰めてくれるわけでもないからです。
 本当は、おててつないで〜ではなく、本当は、ぎゅーっと抱きしめてあげたかったのですがね。でも、そんなことをしたら、ルミネから追い出されるかもしれん。

 

9月1日・立川ルミネ店にごはんと惣菜の店「たくや」をオープン

 いやはや怒涛の日々でありましたが、何とか店をオープンさせることができました。私に始まって全員が「お握りと惣菜の店」など、初体験のズブの素人。試行錯誤の1ヶ月間を乗り越えて(踏み倒して?)初日の開店時間には、ちゃーんとお握りも海苔巻きも惣菜も並びました。
 新川潤の店なのですが、なんとなく私の料理教室に潤ちゃんとマサヒロが加わって「立川ルミネ校」実践習得コースの開講といった厨房事情です。店長の新川潤だけが、落第生のまま開店。無謀なことこの上ないです。初日開店の1時間前。「さあ、みんな、お握りを作るよ!」と、掛け声をかけてみんなでお握りを握り始めた。が、店長だけが、ポカ〜ンと上の空で、お握り型を持ったまま「あれ?ご飯を詰めるんだったっけ?」。…。ガ〜ン!誰が何の店を始めるのかすら認識していない風情の店長であったのです。(もちろん、私も潤ちゃんもかなり緊張していたけれど、私はお握りの作り方を忘れてはいなかったよ)。私が苦労して教え込んだものを初日のオープン直前に全て忘れてしまった店長でございました。
 開店前と初日はほとんど不眠不休。8月30日、新川潤の物置小屋と化した私の家へ潤ちゃんが荷物を取りに来る。夕方に来ると言っていたのに、来たのは夜遅く寝入りばなを起こされた。夜中に夜逃げ同然の怪しげな荷物を車に積み込む潤。翌日の31日は開店前日の仕込み。早朝から夜まで、ずーっと料理を作りっぱなし。家に戻っても緊張と疲れすぎで眠れぬまま朝を迎えて、7時過ぎから店の厨房に入ってオープン準備。秒読みでオープン。なんとか間に合った。店には新川店長がメインに立ち、舞台裏の厨房では私が怒鳴りまくりながら初日料理でした。足が棒になるくらい動き回って、夜遅くやっと眠りに付いた私。しかし、早朝、新川店長の電話で起こされる。2日は疲労の極地で、不機嫌になってしまいました。で、本日、三日目。これから店へ行きます。昨日のうちに、全部仕込みを済ませておいたので、本日は重役出勤。10時前にぼちぼち出かけます。潤と純子だけ早出です。店長は私以上にハードスケジュールで疲れているはず。少し休ませてあげたいけれど、私ですらまだ休めないので無理ですね。もう少しの辛抱だと思います。
 9月一杯付きっ切りで業務の方のやり方をマサヒロに教え込み、料理を任せられるようになったら、少しずつ距離を置いていこうと思っています。調理そのものを私に全部任せているうちは本当の意味での開店ではありませんから。実務を任せる相手は私ではなく、自分の従業員であることを認知してもらわなければいけない。ある程度距離を置いて、ポイント、ポイントで密着して引っぱっていくようにしなければいけません。