胡麻入りのボシュカル

 本日、一度目のブログで写真をのせられずに、ごめんなさい。

 薄日がちょっと射したすきに、あわてて胡麻入りボシュカルを撮りました。(明日の教室のためのサンプルパン)。

 クープで遊んで、いろいろな形にしてみた。一人で遊んでどーする?切れ目の入れ方で面白い形になって実に楽しい。(本来はこんなに遊ばずに、切れ目1本か2本くらいの穴あきの丸い揚げパンみたいなんだけど…。本来はマジメに作るべきものだと思う)。

 私はこの中央アジアのエスニック揚げパンを現在のヨーロッパやアメリカのドーナツの原型だと推測しているのだが…。ちゃいますやろか?
 ボシュカルも祝い事のときの揚げパンみたいなんだけど、ヨーロッパの揚げパンも祝日用のものでしょう。似通ったところはあるよね。アメリカンドーナツ…の場合は・・と、ああ、あれは、日常食?祝い事の意味は見出せず、肥満のための食事みたいな感じなのかなあ。ナントカとかいうアメリカンドーナツ流行っているらしいねえ。行列できるなんて、すごいなあ。うちのパンにも行列できないかな。できるわけねーよ。

 今回のパンもミキシング後に、即分割、成形に入り、一次発酵と同時に薄く伸ばしながらの成形。切れ目を入れたら常温で30分ほど放置(二次発酵)。油で揚げておしまい。簡単です。夏はこんな感じがいいねえ…。行列、できないかな?ゴマだけではなく、全粒粉、雑穀などもまぜることができますよ、この生地ならば。

 蓮根掘り報告。わたしゃアホや!本日、ハスの根をさぐったら、まだ全部細すぎるのよね。やっと気づいた。まだ葉があるうちって、根は太っていないのよね。これからの季節に根っこ(蓮根)が肥大していくみたいなのよ。で、自家製蓮根はあきらめたのです。来春まで自分の蓮根は収穫できないことを悟った。しょうがないから、お店で買うことにしました。しょぼーん。

明日はお教室です

 天気が悪くて写真撮影ができない日々が続いています。上写真は、この前も掲載した写真ですけれど…ボシュカル。中央アジアのエスニックな揚げパン(ドーナツか?)です。

 明日は、黒ゴマたっぷりの胡麻入りボシュカルです。(形は同じですが、生地は写真とは違います。胡麻入りはポチポチ黒い生地です)。胡麻ドーナツは香ばしくて美味しいものです。
 ゴマがたっぷりと入ったパンは、若い人たちに人気がありますねえ。しかし、お、おばさんは、いえ、わたくしは、ゴマって歯の間にはさまるから、嫌いになっちゃったんですけどね。でも、お、
おいしいですよねえ。(なんだか、無理に合わせているんじゃないの?)
 粒ゴマを10%ほど入れる生地は、ちょっと水分多めにして発酵中にゴマが生地水分を吸水するのに対処します。
 このドーナツは薄くて細いほうが味わいがあります。ですから、生地を捏ねあげたらすぐに分割・丸め・麺棒のしを繰り返して、薄く丸く伸ばしていくほうが、っぽいカンジに仕上がりますし美味しいのです。(もちろん、好みで分厚いふわふわドーナツにしても構いませんが…)。発酵が終了したら、パイカッターで生地に切れ込みを入れて穴にします。穴は一つでも二つでも三つでも…というところが楽しいでしょ。早い話、自分の好き勝手でいいわけよ。(毎度おなじみの当教室のパターンね)。
 生地に加える少量の油脂もバターではなくごま油。捏ねている最中から香ばしいですよ〜。これ、このまま焼くとフガスになっちゃうし、ゆでてから焼くとベーグルのような味わいになります。だから、無理に油で揚げなくてもいいわけよ。自分の好き勝手で構わないのよねーっ。
(こーいうことだから、生徒が集まらないのだ)。

 ということで、明日も勝手に作ってちょんまげ教室を行います。

 なお、ウィンドウズメールが討ち死にしたせいで、「教室の月便り」が送付できなくなっております。(もう、vistaには、まともに対処する気にすらならない)。
 9月の教室も毎週土曜日です。9月26日(水)は回数調整のせいでお休みの予定でしたが、体験出席の方がみえるそうなので臨時教室行います。もし、都合良かったら、来てください。

ぎっくり腰の救急痛み止め方策

  雨続きで写真が撮れない。

 もはや末世かと思われるようなぎっくり腰の激痛が、今夜あたりから和らいできた。
 今朝は脂汗と、うめき声で、やっとの思いでベッドから降りた(落ちた?)が、早朝から昼までわけあって大掃除をしなければいけなかった。
 苦肉の策で消炎作用のある鎮痛剤(解熱剤・痛み止め)を飲んでみた。正解だった。目が点になるような激痛は回避できた。歌舞伎役者のような動きだったが、何とか大掃除完遂。無理を通せば通りが引っ込む。がはははは!やったね。

(ただし、この大掃除は、打ち合わせ予定の担当者の深刻な緊急事情で、急に延期になり、報われぬ大掃除となったのだがね。まあ、昨年末の年末掃除をサボったので、ちょうどよい掃除となったから、よかったですけどね。担当者のお母様が倒れられて、急きょ、遠方の郷里へ向かわなければいけなくなった。回復されるといいが。ご無事を祈るのみです。わけあって、とある器具がスタジオに入れられず、我が家での撮影になるような話だったので、ぎっくり腰にめげずに、ビンテージものの汚れ落としに余念がなかった私です)。

 痛み止めを飲んで、しこしこ動いているうちに、骨のゆがみが矯正されたのかなあ?なんだか痛みが快方に向かってきた。ぎっくり腰って、じーっと動かないポーズを取っているのが一番つらいのよね。じーっと座っていても苦痛、じーっと寝ていても苦痛。ゆるゆると、自分のペースで動いているのが一番ラクなのよね。動くためには痛みが邪魔よ。もーこの際、痛み止め飲んじゃえとか思って。じーっと安静にしていたくはないからねえ。で…。

 効いた。ぎっくり腰の激痛時でも、どうしてもやらなければいけない仕事ってあるじゃないですか。そのときは、痛み止めですよ。生理痛じゃあるまいし、まさか効くまいと思って飲んだんだけどね…。がはははは!効いたよ。

 二日間の激痛との戦いが、嘘のように過ぎ去ろうとしている。明日こそは鉄火味噌を作ろう。夏蓮根は高いので、うちのハスの根を一節だけ、ちょうだいしよう。自分で育てているハスの根を食べるのは、ちょっと抵抗があるが、やむをえない。(経済事情である)。ごめんなちゃい、私のハスちゃん。1個だけ、ちょうだいね。ママ、ビンボなの。

 明日は蓮根掘りだ。そして鉄火味噌作りだ。そして、ぎっくり腰の完治だ。

夏野菜の保存

  真夜中。

 田舎の母から電話で耳寄りな情報。で、これは私もまだ試してはいないのですが。

 キュウリやナスなどの夏野菜が、そろそろ裏なりで余剰する季節です。余剰野菜を塩漬けに保存して、秋や冬に味噌漬けや粕漬けにする方もおられると思います。(私も大した量ではありませんが、漬物用に塩漬け保存しています)。

 母が申すには…。

 野菜を塩漬けする時に、塩だけではなく海の砂も混ぜて「砂塩」にして野菜を漬け込むと、色が退色せずきれいなままで、なおかつ、その砂塩は翌年も使いまわしがきくので、塩も無駄にならない…とのこと。
 ダイビングだの何だのと、海の好きな我が娘に頼みこみ、今度、きれいな海から砂を持ってきてもらいように頼みこみました。(とーぜん、ぜひ、試してみたい)。

 さらに、その上、母が申すには…・。

 塩漬け野菜を塩抜きする際に。まずは半日くらい水で塩抜きしたら、その野菜に重石をかけて、余分な水を抜いた後、(そのあとですよ)、水ではなく「おから」にうずめて塩抜きすると、水っぽくならずに美味しいとのこと。
 むむ・・おからで塩抜きか…。おからなら、豆腐づくりで山ほど出てしまい、冷凍庫に所在なさげに蓄積されておるわい。

 砂で塩漬け、おからで塩抜き…か。我が母ながら、なかなかの猛者である。ぎっくり腰などと、泣きごとを言っている場合ではない。年寄りに負けてはいられない。
 しかし、教えてくれるのが、いま一つ遅いんだよね。もうすぐ秋じゃん。余剰きゅうりなど、もうとーっくに塩漬けしちゃっているよ。これからナスでやってみるべえか?(でも、私、ナスの漬物はさほど好きではない。キュウリが好きなのよ。今さら教えてもらっても、今年はもう間に合わないかも)。

 野菜が豊富な地域にお住まいの方。これから塩漬け保存の方。だまされたと思って、ちょいと我が母のいうことを試してはみませんか。(本当に、だまされていたりして。あとから、バーカとか、アッカンベーとか、まさか信じたの?とか、笑われたりして。あ、大丈夫、そこまで意地悪ばーさんではない人ですから。)

 よっしゃ!来年から砂で塩漬け、おからで塩抜きだ!

やはり、重症だ

  朝、一発のくしゃみと共に2年半ぶりで再発させてしまったぎっくり腰。大したことないと思っていたが、大したことあるみたい。
 外を歩いて気づいた。しゃがんだら立ち上がれない。重いものが持てない。首を回すだけで、鶏が卵を産んだときのような顔になる(=表現が不適切だな。目が点になると言うべきだ)。原稿書きが30分と続かない。30分書いては20分休みを繰り返している。2週間以上続いている頭痛も全然抜けない。こんなだらしないことで、来月中までに2冊を書きおろせるのか。ヤベーヤベー。
 この夏の心身疲れの蓄積がどーっと出てしまったようだ。お祓いでもしたい気分。今年の夏は暑く辛かった。北海道に逃げ帰りたくなるほど暑かった。

 だからというわけではないのだが。

 もし、来月、パンの本の企画が通ったら、来春には本とパン種を携えて、念願の実演試食大会キャラバンの旅に出たいと夢見ている。いうなれば、どさ周りライブだ。
 小麦や大豆の産地を回りたい。最低限の素材だけで、自然発酵で作るパンや味噌を味わってもらいたい。日本で小麦や大豆の産地と言えば、やはり北海道しかないかな?

 ずーっと試食会を催したいと思っていたんだ。味噌もパンも、食べてもらえば分かってもらえる。どうせやるなら、東京でのありきたりなことはやりたくない。現場でやりたい。野性的にやりたい。自然の中でやりたい。しつらえられた道具の中ではなく。体一つと素材一つでやりたい。

 どこか、スポンサーも探さなければ。何かやるとなると、先立つものが要るし、オルグする組織力も、情報発信力必要だ。日本の小麦畑と大豆畑を応援してくれるような理解ある会社を探したい。探さなければ。

 長年の夢だったんだ。いつか、絶対に試食会をやって、生産者たちに、地場の人たちに、素材から生まれた自然発酵のものを食べてもらうぞ〜というのが。パン種や豆味噌種麹が配れるかもしれない。うちの種モノは全て自然からの恵みだ。金なんていうチャチなもので、売りたくはない。麦や豆を育てている人たちに分かってもらって、使ってもらいたい。

 でも、なにより先に本の企画を通さなきゃなあ。そして書きあげてしまわなくっちゃ。ぎっくり腰なんか起こしていてはダメだ!メゲていないで、書けよ。夢を杖にして、さっさと書かんかいっ!このアホンダラけめ〜がっ。

 ああ、腰、イテー。頭、イテー。サイテー。

くしゃみ一発ぎっくり腰

  やってしまった…。まただ。

 朝起きがけの午前5時半。威勢良く大くしゃみを放ったとたん「ギクッ」。腰の骨のどこかが歪んだ。軽いぎっくり腰をついに勃発させたようだ。
 味噌の切り返しだの、たまり醤油絞りだの、みりん仕込みだのと、おもたいものばかり持ち続け、夕べはかなりお疲れモードだった。夕方、聖書を読みながら横たわったら最後、なかなか起き上がれなくなり、へたりきってしまった。
 歯ブラシ1本を持ちあげたとたん、ぎっくり腰を起こした年配生徒を馬鹿にして、ゲタゲタ大笑いした天罰が当たってしまったのだろうか。(ぎっくり腰を笑う者はぎっくり腰に泣く…・。)

 気合いを入れて重労働になってしまう鉄火味噌作りは、しばし延期にします。今、無理すると本格的に悪化させてしまう。作りたいけれど我慢しよう。悔しいなあ、今日はせっかく涼しくなったというのに。

 ユーラシア大陸・エスニックパンの旅も、しばし小休止。調子こいてやっていたけど、晶文社の方の本の原稿を棚上げにしっぱなしだった。これはいけない。上梓が決定しているものから優先的に書くべきだ。企画が通るか否か未だわからぬものに入れ込みすぎてはいけない。実にバランスとは大事なものである。

 ぎっくり腰。

 おかげ様で、重労働を避けなければいけないはめになってしまった。まじめに原稿を書こう。だいたいにして、チョロチョロドタバタしすぎなのだ。

みりんも仕込み終えたし…

 本日二度目の投稿。(あたしもヒマねえ〜)。

 午前10時、店が開くのを待って、米焼酎を買いに行く。が、しかし、我が財政事情を恐る恐る覗いてみると…。ぎょっ!ぐ、グワーン!

 あまりの大金に、めまいと立ちくらみと吐き気が襲ってきた。震撼すら感じた。

 卒倒しそうになる心身をかろうじて自分自身で支えながら、急きょ、予定変更。純正米焼酎など、到底買えるわけがないだろっ。やむなく、何が何だかわけのわからない(アル中みたいな、どでかい焼酎ビンのやつ)を購入。妥協とは辛いものである。

 もち米と米麹を合わせて2k、焼酎は倍量近くの3600ml〜4ℓを投入。午前中のうちに、やっつけ勝負だった(ほとんど負けている)。あとは半年ほど寝かせておくと、春になったら、かなりの量のみりんが搾れる。ないよりマシだ。私は健康食品も純正本格派なんかも嫌いだ。ハイブリットでいくぜ。

 晶文社の編集から高級そうな旨そうな、佃煮の詰め合わせセットが届いた。がまんできずに、ご飯と一緒に試食。うまかった。
 猛暑の間、眠っていた食欲が目覚めた。今年は人間並みに夏バテしたなああああ。珍しいこともあるもんだなあ〜。

 で、佃煮の箱に張り付いている手紙に、はっと気付いた。「原稿、よろしく」。げろ。

 ががががーん!…。だ、だって、
まだ、書いてないもーん。暑かったから。

 それは太陽のせい。

 い、いま、書きあげて提出しておかないと、予定の春には本、出ないじゃん。ががががが、うーうーあ、ああああ。(うーあっていいね)。(話をそらしたい)。

 明日こそ、鉄火味噌作るんだ。毎年春に作るけれど、今年の春は作らなかったからね。今、干し梅干しも作っている。そして、乾パンも作るんだ。亥年は大地震が来る年だそうです。来るかな〜?非常食の防災食品作りもいいもんだ。原稿、どうしよう。今年の秋には東京にも大地震が来るかも…っていう予測もあるかもよ。

 地震来てもいいかなーって思っている。それは、地震のせい。今年の夏も暑かったねえー。明日は少し涼しくなるみたいよ。地震、来ないかな〜。

みりん仕込み

 まだ、暑いと言うのにみりん仕込み。

 去年は、夏を越させてしまったモチゴメにカビを生やしてしまった。泣く泣く何キロも廃棄しなければならなかった。もったいなかった。

 今年は夏を越させないうちに使い切ってしまおう。ということで、変な時期にみりん仕込みなのです。(米を大量に蒸さなければいけないので、この時期はなかなか辛いものがある…が、やむをえず…。)

 みりん作りの作業そのものは簡単です。白米で麹を作る。もち米を蒸す。(同量くらい)。それを混ぜ合わせておく。米焼酎を買ってきて、どぼどぼと、ひたひたまで米に注ぎ込み、半年以上寝かせておく。半年目〜8ヶ月目くらいに、もろみからみりんを搾り取る。みりんの搾りかすは味噌と混ぜ合わせて奈良漬けのような漬物床にする。
たったこれだけ。

 みりん作りも酒税法違反です。でも、2%塩を加えておくと、酒ではなく「調味料」ということで、おとがめを免れます。(なかなか不思議な法律ですね)。ですから、合法的に作りたい方は「塩みりん」にしておいてください。

 今年の夏はきゅうりを山ほどいただいたので、余剰分を塩漬け保存にしておきました。塩抜きしたきゅうりをみりん酒粕と味噌の床に漬け込みます。みりんも自分で作ると酒粕のオマケ付きになるのよね。

ボシュカル

 今日も暑かったねえええええ。。。。でも、この猛暑も今月いっぱいで落ち着くかなあ。今年は秋が早いかもしれないね。

 前回の教室でやった「ナーン」生地を油で揚げると別物のパンになります。ボシュカルといって、中央アジアの揚げパン。上げる前にパイカッターでクープを入れるの。
(クープを入れて穴あきパンにすると揚げやすくなるよ)。その生地を揚げずに、焼くとフガスになっちゃう。
 ナン、ボシュカル、フガス、全部違うパンに見えても、同じ生地で、できちゃう。しょせん、パンって、大きな大陸でゆるやかにつながっているのよね。成形や焼成法が違うだけで、味も変わります。

 同じ質の生地を幾通りかの生地に使いまわして何種類かのパンに仕上げるのです。私の場合、1種類の生地から4,5品くらいの別のパンにしちゃうよ。そうすると、4,5種類のパン生地を作っておくだけで、20品目くらいのパンができちゃうわけよ。そうやってバリエーションを増やす。パン作り作業の極意。人間、一日の作業で、できる仕事量は知れてる。たかが知れてる作業の中でも、最大限のものにしなきゃいけない。

 同一パン生地の臨機応変な使いまわしを覚えてもらうのも、教室の「悪知恵」インスパイアーです。同じパン生地でも、「オーブン焼き」「油で揚げる」「蒸し器で蒸す」「鉄板で焼く」「成形を変える」などの違いで、別々のパンを作りだすことができます。

 

溜まり醤油しぼり

 パン生地を捏ねるには、まだ時間の早すぎる早朝。

 昨年11月末の一番初めに仕込んだ早生まれの豆味噌から、たまり醤油を搾り取る。

 一番仕込み・早生まれの子は、少量の仕込みなので、たくさんは採れない。2カップほどもあるか、ないかの少量。私にとって、醤油は調味料の最高峰、もっとも貴重な自家製調味料なのでございます。
 使う分ずつ、ちびちびと醤油を頂戴するわけだ。(食卓用の醤油さし1本分くらいずつ)。そして、また重めの重石をのせておく。すると、また溜まり醤油がじわーっと湧き上がってくる。焦って急いで採り出そうとしてはダメ。もろみ(豆味噌)が混じって、醤油を濁してしまうから。

 この夏、本日で2度目の「たまり醤油戴き」でございます。正直言って、搾り取るという感覚ではないのです。そっと必要分だけ、静にいただく・・という採り方。
 市販のしょうゆなどとは比べモノにならないほど旨い、美味しい、素晴らしい風味です。なんて贅沢な喜びなんだろう。大豆と塩だけで、最高に美味しい豆味噌とたまり醤油が生まれてきて、タダでいただけるなんて…。

 豆味噌は別名「たまり味噌」とも呼ばれるように、普通の味噌づくりとは違い、醤油と同じ種付けの仕方と仕込み方をします。
 種付けに使うのは我が酵母パンに生やす麹カビ。この菌は米用の菌(=でんぷん質分解)ではなく、大豆用の菌(=タンパク質分解)の方のオリゼー菌です。この菌のコウジカビが、うちのパンには自然に生えてくる。全体が巨大なウグイス餅のように、きれいなモスグリーンにふうわりと覆われる。このカビは本当に美しい。

 胞子(種麹)を採取して、蒸した大豆に種付けして大豆にコウジカビを増殖させる。そのモスグリーンのカビだらけの大豆を塩水で漬けこんで発酵させる。
 塩水を多め(大豆の1.1倍〜1.2倍くらいかな)にして、重めの重石をかけておけば、仕込みから10ヶ月後には溜まり醤油が採れる。そして、その重石の下には美味しい豆味噌がある。
 つまり、大豆と塩水だけで仕込み、10ヶ月後には、味噌と醤油の両方がゲットできるという寸法になっているのです。

 カビたパンから、最高に美味い味噌と醤油が簡単にできちゃう…と言っても、誰も信じてはくれないかもしれないけれど。(私の作ったものを実際に食べてくれる人と、晶文社の担当編集者くらいだろうなあ、信じてくれるのは…・。)

 昔、昔、大昔の日本人がやってきた、今現在は見捨てられた食作り。昔の人たちは最低限の素材だけで、いろいろな調味料を自分で作ってきたんですよ。
 自分自身で考えて作りだしてみて、祖先らの労苦や喜びが手に取るように分かるのです。私、今は、米・麦・大豆・塩だけで、日本の食の土台の調味料のほとんどが作れるようになりました。多少の苦労はありますが、それ以上の比べモノにならないくらいの大きな喜びがあるのです。

 なんで、こんな美味しいものや喜びを時代の流れとともに捨て去っちゃうのかなあ?
日本古来の質素な穀菜食は、本物の味と滋養の手作り調味料あってのものです。
 味噌も醤油も、漬物すらも、まともに作れない人が、マクロブームにのっかっているのを見るだけで、絶望的なまでの矛盾を感じる。伝統食をダサイと見捨てておきながら、なんで、逆輸入の横文字カタカナなら便乗しちゃうのかなあ…。
 不平不満をたれるほどに孤独になるから口をつむごう。おっと、9時過ぎた。そろそろパン生地でも仕込むべえか。本日はボシュカルだ。またまた新疆ウィグルあたりまで海外出張(?)だ…。本日も暑くなりそうです。パンの撮影は午後3時ころだな。