にんにくの長期保存・梅肉漬け

 初夏を迎えるころになると、新玉ねぎや新にんにくなど、精のつく香辛野菜が出回る季節になりますね。

 そして、もうじき、梅も出始めることでしょう。

 にんにくは、意外に足の速い香辛野菜です。必要な時に限って、「げっ!もう、カビて、腐ってるわあ…」なのでございます。

 もしくは、ミイラ状態。「誰が干物になれと頼んだ!?」

 または、青い芽がぴゅっぴゅと伸びている。「芽を出して、どーする!?」

 百合科の植物って、所詮、命根性が汚いんだよね。自分を細らせてでも、芽を伸ばし、根を伸ばそうとする。結局、自分が細って干せて、朽ち果てるわけよ。

 つまり、必要な時に限って、役に立たないのが、ニンニクです。

 で、新ニンニクと梅の季節を迎えるにあたって、「ニンニクの永久保存版」です。

 梅肉(梅干しの種を取り除いて砕いた梅干し)に、ニンニクを埋めておけば、半永久的に保存がききます。

 よく、醤油漬けにするでしょ。でも、あれって、醤油の風味が場合によっては、料理の邪魔をするのよ。オイル漬けにしても、半年が限度。あれも、ダメ。あまり、もたないよ。

 でも、抗菌性も保存性も高い梅肉に漬けておくと、風味はほとんど変わりません。梅の味は洋風料理に使っても、全く邪魔にはなりません。

 醤油や味噌みたいに、しつこい旨味がないからねえ。梅って、旨味がないから、邪魔にはならない無色透明の味なんです。

 この、無色透明感のある(うまみのない)味って、大事です。自己主張しないのよね。梅肉漬けのニンニクならば、フレンチだろうが、イタリアンだろうが、八方美人的に多岐多様に使えます。

 かたや、漬け床の梅肉。これは、1年も経つと、馥郁たるニンニクの風味を含んだ素敵な味の「ニンニク梅肉」になります。とろーんと甘味すら生み出しています。

 このにんにく風味の梅肉と、たまり醤油を混ぜ合わせ、旬のカツオの刺身なんざあ、食ってくだされよ!

 にんにく梅醤油を添えた初ガツオの刺身に、生姜の針を天盛りにしてね。

 酒が進むよ。

 ほーら、今年こそは、梅干しを作りたくなってきたでしょー?新ニンニクを漬けてみたくなったでしょー?初ガツオ、くいたくなったでしょー?酒、飲みたくなったでしょ〜?さ、のもう。

 悪魔のささやきに思えてきただろー?・・。ざまーみろ。

引き裂かれたプルマン

 まるで、ミステリー小説のようなタイトルだな、こりゃ。

 焼きたてなので、ナイフで切りたくなくて、手で引き裂いただけの話です。

 パンって、ナイフを入れて切ったものより、手で引き裂いたもののほうが美味しくかんじられるのは、私だけかなあ?

 気温も湿度も上昇しているようです。こんな変化のあるときは、基本パンのやり時ですね。今週のパンは、オーソドックスに、プルマンブレッドにしましょう。早い話が、普通の食パンです。

 昨日の陽気で、パンペイザン生地を発酵過多にしました。種は30%と少なめ、時間もたった5時間の常温放置だったのに…。

 これ、全部、中種送りです。土曜くらいまで寝かせると、程よく熟成して、ライ麦パン作りなどに向くコクのあるパン種になります。

 同時に仕込んだプルマン(今週のパン)の方は、ぎりぎりかろうじて、オーバーナイトの11時間で成功。(夕方、5時に生地捏ねでした)。

 しかし、それにつけても、朝4時過ぎからの成形とケース詰め。また、ベッドにもぐりこんで、しばしの惰眠をむさぼりました。(結局、寝坊)

 二次発酵も常温放置でした。二次発酵未然で、35度のホイロに1時間半。型85%ほどで焼成開始。焼き上がって、まだ熱いものを手で引き裂いて撮影しました。

 プルマンブレッドの分割量は容積比で算出します。機械捏ねや手捏ねの巧い人の容積比は、3・8〜以上になり、かなり高くなります。場合によっては4以上になります。必然的に捏ねの質によって、分割量が変わるわけです。

 捏ねが十分にはいらない人の生地分割量は多めにしなければなりません。

 巧い人なら、機械ミキシング並みに空気を抱き込んだ軽い生地に捏ね上がります。

 何の変哲もない食パンですが、パンの中でも一番捏ねが長くなる生地です。パン種に関しては比較的許容範囲が広いのですが、3日間から1週間目くらいの熟した種を使うほうが、風味豊かに仕上がります。