おちょぼ口のクリームパン

 ガバッと大口を開いたようなクリームパン試作品に、心底うんざりして、次はおちょぼ口を目指した。

 お上品にいきましょうね、お上品に。

 ファンを消してソフト仕上げモードで、焼き色をつけずに仕上げることにした。はい、はい、お上品にね。

 クリームパンだの餡パンだのは、しょせん日本のパンよ。へい、へい、お上品にな。

 おちょぼ口をイメージして、まんじゅう成形、まん中に桜の花を押しこんで、とどめの一発の「おちょぼ口」成形。

 ソフト仕上げモード、スイッチ・オン!

 ありゃりゃんりゃん。火が通り始めると、おちょぼ口の桜の花部分が、「チューっして〜ん」みたいに、唇を尖らしてきた。

 まるで、デベソだ。ひっこめ、デベソ!

 指で押しこんだら、ひっこんだ。(ものによっては、ひっこませすぎて、尻の穴のようになった。)

 ともかく、「お上品」に仕上がった。めでたし、めでたし。

 明日のお教室は、フィリング選択自由、餡とカスタードクリームを用意しておきます。明日も、お上品なお教室をいたしましょうね。

 よろしゅうございますか、私どもの合い言葉は「お上品」でございますわよん。