心太作り

 やっと梅雨らしい雨空になりました。今日は少し涼しくなるかな。

 徳島から送られてきたてんぐさで、心太(ところてん)作りでもホイロタイムにやってみましょうかねえ。パン教室のやることじゃないけど、まあ、いいじゃん。みんなも初体験になることでしょうから。パンには心太だっ!

 ということで、本日、オキョーシツでございます。

ツナコーンマヨネ 今週のパン

 お暑うございます。梅雨、どこに行っちゃったんでしょうね?貴重な水資源が梅雨なのですが…。

 おかげさまで夏野菜がごつう美味いです。きゅうりの味噌のせ丸かじりで日々腹を膨らませております。とうもろこしも甘くなった。とうもろこしは外側の汚れた皮だけはぎとり、残りの皮をつけたまま蒸し器で蒸すとシワもよらず、甘味も香りも残っておいしいよ。

 さて、そのとうもろこしをたっぷり使い、ツナコーンマヨネの調理パンです。ツナ缶、玉葱薄切り、とうもろこしをマヨネーズで和えてパンにのせて焼き上げます。暑くなってきたので、食欲もどこかへ行っちゃうでしょう。すぐにパクッと食べられる調理パンがあると「暑くて作るのも食べるのも、メンドーくせー。」時に、「ほら、そこにツナコンマヨネパンあるでしょ!それでも食べておいてよっ、ったくもー暑いんだからあ〜。」という簡便な運びになります。「あとは冷蔵庫からきゅうりでも出してかじっておいてね。」これで、栄養素もなんとか誤魔化せます。

 季節の山桃のジュースでも添えて。山桃のほの甘い心もとない味が、うだる暑さに優しいです。

てんぐさ

 水羊羹の右奥にある物体、いったい何か分かりますか?

 これからの季節に嬉しいところてんや水羊羹の材料、てんぐさです。昨夜、四国の徳島から送られてきました。私は生まれて初めててんぐさというものを見ました。おそるおそるてんぐさを煮出して煮汁だけ漉し取ると…ちゃーんと寒天状にかたまりましたよ!思っていたより簡単でした。寒天液でさっそく水羊羹を作ってみました。市販の棒寒天より、緩い固まり方です。

 てんぐさを煮出すとき、ぷ〜んと磯の良い香りが漂いました。海の匂いです。ええ、すでに気分だけは夏の海ですよ。

 棒寒天はみんな知っていても、原材料のてんぐさを知っている人は少ないかもしれない。今度の教室でみんなにご披露しますね。

赤梅酢、白梅酢

 梅干作りも終盤戦です。赤紫蘇が出回っています。赤い梅干を作りたい方は赤紫蘇の入れ時です。葉だけを取り、20〜18%重量の塩でしっかり塩もみして、ぎゅっと絞って汁を捨てます。しっかりもまないと苦味がでますよ。梅酢が上がった塩漬け梅の上にのせておくだけで、赤色はじきに全体に回ります。真っ赤に発色した梅酢を赤梅酢といいます。
 この赤梅酢にしょうがを漬け込めば紅しょうがになります。しょうがはさっと塩漬けしてから半日ほど陰干しして漬け込むのが普通ですが、私は煮え湯を回しかけて水気を飛ばしたものをじかに漬け込みます。こんな手抜きのやり方でも、ちゃんとべにしょうがになるから大丈夫。

 赤紫蘇を入れずに白梅干にしたい方は、そろそろ重しを軽くします。私は梅が浮き上がらないように昆布を蓋代わりにたっぷりかぶせます。重しをはずすと、たっぷりあふれ出るほどあるように思えた梅酢(白梅酢といいます)が、また梅ぎりぎりのひたひた量になりますから。塩を減らしたり、はちみつなどを加えた方…。もし、白梅酢が発酵してシュパーッなどという状態になっていたら…・。その際は梅酢だけを鍋に入れて一煮たちさせ、熱々の梅酢を梅に注ぎいれてください。酵母菌類は60〜70度の温度でほとんど熱死しますので、発酵をストップさせることができます。
 ゲラントの塩を使った方。白梅酢のはずが灰色になっちゃったでしょ。この灰色はミネラル分なのですが、澄んだ透明の梅酢にしたい場合。やはり梅酢だけを鍋に入れて煮立たせると、灰色のアクがたくさん浮いてきます。それを目の細かい網杓子ですくって取り除きます。梅酢はきれいな透明の液体になります。

 私は今年、赤梅酢の梅干を5k、白梅酢の梅干を4k、ロゼ(白梅酢のものに、赤梅酢を少し混ぜたもの)を3k、小梅を2k、梅干用に漬けました。
 あとは土用干しを待つだけです。土用干しはセミが鳴き始めたら行います。

すももの梅シロップ漬け

 本日、オキョーシツでございます。あいにくの雨です。

 梅雨の盛り。せっかく作った梅シロップが発酵してぶくぶく泡を吹いて困っている…という方もおいででは?シロップだけを鍋にあけて煮立たせます。白い泡のようなアクがたくさん浮いてくるので網杓子で取り除きます。シロップがまだアチチのうちに、梅の入っているびんに戻し入れます。これで発酵は止まるはず。取り除いたものは発酵の原因になっていた酵母の死骸です。発酵を放置するといずれ噴出して、台所中ベトベトになっちゃいますからねえ…。

 この季節の果物…すももや杏など…を梅シロップでコンポートにすると出会いモノでよく合います。
 清潔な空き瓶に果物を生のまま入れて、梅シロップを注ぎいれ蓋を閉めます。これをビンの肩八文目くらいまでの湯に浸けてコトコト皮がはじけるまで煮ます。蓋を閉めてあるので同時に脱気できています。開封まで常温で保存がききます。すももで作ると、梅の酸のせいで真っ赤に発色します。目にも楽しい初夏のコンポートです。(写真左のびん)
 梅シロップで夏みかんの皮の千切りも煮ます。これは酸味のあるマーマレードになります。たくさん作ってしまった梅シロップの活用法のひとつとしてお試しください。同じ季節のもの同士なら何でも合いますよ。

 さて、シロップの発酵を止めるのではなく…、そのまま行かせてしまう方法もあります。ミード(蜜酒)です。梅シロップを3倍ほどに水で希釈して、常温放置するだけでミードになります。例えば糖度が24,5度あると、その半分、つまり12,3%くらいのアルコール発酵になります。ちょうどワインくらいの強さです。(写真右)酒税法違反ですが、梅シロップが勝手にアルコール発酵してしまうんだから、しょうがないでしょう?別に何を混ぜているわけでもないのですから。同じ原理で手作りの甘酒も2週間くらい常温放置すると酒(どぶろく)になっちゃいますよ。これも環境に生息する野生の酵母菌のせいです。特にパン作りを恒常的に行っている人の生活圏には酵母菌が多いです。(常在菌の生態系は人それぞれ違います)。糖度のあるものなら、放置するだけで簡単にアルコール発酵してしまう。野生酵母によるパン作りの副産物です。パンと酒って、本当に密接な関係にあるものです。

プルマンブレッド 今週のパン

 どこにでもある何の変哲もない角食パン。旅客列車を考案した技術者プルマンの名を冠したパンです。プルマンの列車の食堂車で初めてサンドイッチ用のパンとして作られました。…旅客列車の旅のパン。まあ、こう考えると、変哲のない角食パンもな〜んとなく優雅な気分がしてくるから不思議です。フランス語ではパン ド ミ。パン・ドまでは分かるけど、「ミ」は何の意味?誰か調べてきてくださーい。

 これは捏ねが長くなる疲れるパンです。配合はリーンです。淡白な味のパンだけに、発酵の最大スタートである捏ねが充分に適正でないと美味しいものにはなりません。で、それで、つい粉に全粒粉を混ぜてみたり他のものを配合して誤魔化したくなるわけよ。
 もともとは上流階級の貴族的パンだったわけだから、本当はカンパーニュみたいに粗製粉を足しちゃいけないのよね。健康志向のパンではない。
 ついでに言うなら貴族的サンドイッチの具はシンプルです。バターときゅうりの薄切りだけだったり。(つまり、他にいいもの食っているから、サンドイッチパンごときで栄養満点にする必要なんかなかったわけよ。)
 で、庶民たるやサンドイッチだけで腹ふくらませなきゃいけないわけだから、ビンボ人のサンドイッチは具が豪勢になる。ウチのサンドイッチの具は豪勢だよ!サンドイッチはビンボリッチだ。そーいやあエールフランスのサンドイッチの具はケチくさかったな。ローストビーフ1枚とか、レタスとトマトだけ、とか。貴族趣味のつもりだったのかなあ?私は庶民のサンドイッチのほうが好きなんだけどなあ。
 学生の頃、喫茶店でよく出されたチーズトーストもこのパンだった。3cmくらいに分厚く切ってチーズをたっぷりのせてトロ〜っと焼いてあったね。学校給食も、コッペパン以外の日はこのパンを3枚。起源は別として、やけに懐かしい角食パンです。

青梅エキス

 梅丹エキスというものが自然食品店などで売られていますでしょ。お腹の調子や体調がなんとなく良くないときにひとさじ食べる。梅のエキスがぎゅうっと濃縮されたものです。これ、買うと高いのよ。

 で、私なんざあ手作りよ。(写真右側の黒いびん)青梅1kを下処理(へたを取り、水にさらす)して、一度ひたひたの水でゆでこぼします。もう一度ひたひたの水を入れて煮立てると、梅は柔らかくなるので種を取り除き、ざるで裏ごしします。さて、これからが長丁場。鍋に裏ごし梅を入れて火にかけて延々とかき混ぜ続ける…。最初は鶯色だった梅が、ずんずん底のほうから狐色に色づいていきます。(カラメル化していくわけよ)。焦がさないように、ただひたすら木べらでかき混ぜ続ける・・。
 全体に濃度がつき、かなりがさも減り、色はこげ茶色になるのです。このあたりで、出来上がり!
 情け容赦なくメチャクチャ酸っぱいシロモノです。とてもじゃないけど、そのまま食えない。私は同量くらいのはちみつを混ぜ込んでおきます。こうすると、甘酸っぱくて手軽に食べられます。甘味をつけたいもの(ヨーグルトなど)に使います。夏ばて防止にもいいですよ。

 中央のびんは梅の蜂蜜シロップ。左側はその梅だけを取り出し、水を加えて煮詰めた梅フルーツソースです。生の青梅を加工するのと蜜漬け梅を加工するのとでは、できあがりのものが違う。材料は同じ青梅と蜂蜜なのにね。そして、味も違います。食べ物作りって、こんなところが最高に面白いのです。理科実験みたいで…。黒いびんのほうは青梅エキスと呼んでいます。時間はかかるけど、作り方はいたって簡単。梅雨時や夏場に体調を崩す方は作り置きして常食してみては?

 この青梅エキス、ジャム代わりにトーストに塗っても美味しいです。パン食に梅干をそのまま出すわけにはいかないでしょ。でも、これなら平気ですよ。素人手作りだけど、かなり濃縮されているので、たったひとさじでもかなりの効果です。今度の教室のパンに塗って試食してみてね。

 今度は、どんなパンにしようか?梅エキスと合うパン…。新しい人たちも入ったし…。オベンキョーになりそうなものをチョイスせねば。パンとは関係ない話だけどね、石垣島に面白い塩があるんですって。自然の入り江に勝手に塩水が入り込み、勝手に太陽が照り付けて、そして勝手に天然の塩ができてしまうんですって。つまり、一切の人為的な作業は入っていないのです。全く自然に出来上がってしまう文字通りの天然塩。この話、鈴乃家の鈴木社長から聞いたのよ。(今、鈴木さんは沖縄本島と南国の島渡りで豚肉だの塩だのの商品企画仕事の最中。最南端の離島から、しょっちゅう電話がかかってくる。そして、面白い情報を垂れ流してくれるのだあ〜。)20日過ぎにこちらに戻って来るというので「お願い!その塩をお土産にもって来て!」とすがりついておいた。「ああ、いいよ」と実にお気軽に返事をしてくれたけど、その夜は60度の泡盛で盛大に飲み会やって超ごきげんで、また電話。「泡盛すげえ美味いぞ。これすぐに送るから」だと。違う、違うってば!塩、塩でしょ!入り江にできる天然塩!泡盛じゃないってばー。ねえ、ちょっと。飲みすぎて塩のこと、まさか忘れるんじゃないでしょうねえ…。酒じゃないってば。
 私はこの天然塩の話を聞いてから、仕事が手につかないくらい心がそそられているんですよ。その塩でパン捏ねたり、料理したりしてみたい!

甘味の梅加工

  梅シロップを活用した2品

 梅と蜂蜜で作った梅シロップ。もちろん水やソーダーで割り氷を浮かべて飲んでもいいのですが、こんな活用法も…。

 梅の実コンポートと、青梅のフルーツソースです。

梅の実コンポート

 熟した梅を鍋に入れ、ひたひたの水を注ぎいれて火にかけます。沸騰直前にはすでに梅には火通りして柔らかくなっています。すぐに火を止めて、小さな網杓子などで静かに1個ずつ梅を取り出します。水気が飛んだら空き瓶に詰めて上までシロップを注ぎいれます。脱気をすると開封まで長期保存できます。加熱しすぎないように気をつけましょう。(梅はとても火通りの早い果物で、すぐ煮崩れたり、縮んだりします。)

青梅のフルーツソース

 梅シロップ作りの梅を引き上げて鍋に入れ、ひたひたの水を注ぎいれます。コトコト煮ると煮崩れて種と果肉に分かれるので、種だけ取り除きます。残った果肉を焦がさないようにかき混ぜながら、滑らかに濃度がつくまで煮詰めます。梅シロップ適量を混ぜ込んで青梅ソースのできあがり。これはヨーグルトやチーズケーキなどにとろ〜りと添えます。今回は梅シロップで出た残り梅を使用しましたが、新鮮な青梅で作ると、もっと美味しいです。(財布の事情から今回は廃物利用ですけど…。)これも、スクリューキャップの空き瓶に詰めて脱気すると日持ちします。

 甘い味の梅漬けを初夏のデザートやおやつに役立ててください。

イモムシのいもおクンです

 本日はオキョーシツです

 肌寒い雨になりましたが、本日もぐわんばっていらしてください。今年もまた山椒にイモムシのいもおクンがやってきました。玄関にていもおクンが皆様のお越しをお待ちしております。山椒の葉を食い尽くしたら礼も言わずに黙って立ち去ってしまういもおクン。どーだ。見れば見るほどキモチ悪い、でも可愛いでしょ〜。キモワルカワイイいもおクンです。

 山椒の葉を料理に使うシーズンが終わると、必ず残り葉を食べに毎年やってくるイモムシ。まあ、これも循環のうちですよねえー。

おかか梅

 梅加工ショートカット

 手前味噌という言葉があるけれど、梅干も手前梅干です。作ってもすぐに食べられるものではなく、半年以上も熟成するのを待たなければいけません。しかも、梅そのものは5月最後から7月初頭までのほぼ1ヶ月間しか入手できません。加工できる期間が短く限られています。今年の梅加工は来年の分…。でも、今しか仕込めない…。「だから、大変でイヤなのよーっ!」と言われてしまう。

 はい。そのような方のために。梅は…・・

 何が何でも梅干として仕込まなければいけないというものでもありません。私は塩漬け(これは梅干になる)、蜜漬け(これは調味料になる)以外に、1kずつの少量ですが、酢漬けとみりん漬けも仕込んでおきます。これは至って簡単。梅に酢をじゃーっ。または、みりん(本物の質の良いものを必ず使います)をじゃーっ。ひたひたまで注ぎいれるだけです。
 もう、これだけで、ばっちり長期保存がききます。梅酢漬けの酢は梅の香りと味が滲み出て、酢の物に使ってもサラダドレッシングにしても酢メシを作っても、最高に素敵な風味。実はピクルスに作り変えることができます。梅味みりん漬けのみりんはずばり梅酒。砂糖無添加、麹の自然発酵による甘味の風味良いリキュールとなります。実はソース作りの際に使い果たします。(みりん風調味料なんて、使わないでくださいね。そのまま飲んでも美味しいみりん、本醸造のものしか使えませんよ。)どちらとも、じゃーっと注ぐだけだから、忙しい人でも作れるでしょ。

 さて、塩漬けした梅を来年とは言わず、できるだけ早く食べたい方に。
2週間ほど前に塩漬けした小梅。もう、すっかり梅酢も上がり、塩漬け状態になっています。私は「早食い」分をこの小梅の塩漬けで加工します。

 塩漬け(2週間以降)小梅500gを取り分けます。
本枯れ鰹節10gとゆかり(前年のもの)をフードプロセッサーにかけて粉砕して塩漬け小梅にまぶします。
梅酢100cc、みりん30cc、日本酒30ccを鍋に入れて一煮立ちさせます。これを上記の梅に注ぎいれます。あとはビンにつめて、上に皿などをかぶせて汁気が梅の上ひたひたくらいになるようにしておきます。

 これを「おかか梅」と呼んでいます。長期間の熟成による旨味を待たなくても、本枯れ節の旨味成分で、早い時期から食べ始めることができます。
1〜2が月もすると、早々に味が馴染みますから。こういうショートカット技は小梅のほうが勝負早いですね。

 写真、中央がおかか梅、左がみりん漬け、右が酢漬けです。