おかか梅

 梅加工ショートカット

 手前味噌という言葉があるけれど、梅干も手前梅干です。作ってもすぐに食べられるものではなく、半年以上も熟成するのを待たなければいけません。しかも、梅そのものは5月最後から7月初頭までのほぼ1ヶ月間しか入手できません。加工できる期間が短く限られています。今年の梅加工は来年の分…。でも、今しか仕込めない…。「だから、大変でイヤなのよーっ!」と言われてしまう。

 はい。そのような方のために。梅は…・・

 何が何でも梅干として仕込まなければいけないというものでもありません。私は塩漬け(これは梅干になる)、蜜漬け(これは調味料になる)以外に、1kずつの少量ですが、酢漬けとみりん漬けも仕込んでおきます。これは至って簡単。梅に酢をじゃーっ。または、みりん(本物の質の良いものを必ず使います)をじゃーっ。ひたひたまで注ぎいれるだけです。
 もう、これだけで、ばっちり長期保存がききます。梅酢漬けの酢は梅の香りと味が滲み出て、酢の物に使ってもサラダドレッシングにしても酢メシを作っても、最高に素敵な風味。実はピクルスに作り変えることができます。梅味みりん漬けのみりんはずばり梅酒。砂糖無添加、麹の自然発酵による甘味の風味良いリキュールとなります。実はソース作りの際に使い果たします。(みりん風調味料なんて、使わないでくださいね。そのまま飲んでも美味しいみりん、本醸造のものしか使えませんよ。)どちらとも、じゃーっと注ぐだけだから、忙しい人でも作れるでしょ。

 さて、塩漬けした梅を来年とは言わず、できるだけ早く食べたい方に。
2週間ほど前に塩漬けした小梅。もう、すっかり梅酢も上がり、塩漬け状態になっています。私は「早食い」分をこの小梅の塩漬けで加工します。

 塩漬け(2週間以降)小梅500gを取り分けます。
本枯れ鰹節10gとゆかり(前年のもの)をフードプロセッサーにかけて粉砕して塩漬け小梅にまぶします。
梅酢100cc、みりん30cc、日本酒30ccを鍋に入れて一煮立ちさせます。これを上記の梅に注ぎいれます。あとはビンにつめて、上に皿などをかぶせて汁気が梅の上ひたひたくらいになるようにしておきます。

 これを「おかか梅」と呼んでいます。長期間の熟成による旨味を待たなくても、本枯れ節の旨味成分で、早い時期から食べ始めることができます。
1〜2が月もすると、早々に味が馴染みますから。こういうショートカット技は小梅のほうが勝負早いですね。

 写真、中央がおかか梅、左がみりん漬け、右が酢漬けです。