ギョエッ!仕込んだ白味噌が白味噌どぶろくになっちゃった

 今月12日に仕込んだ白味噌(に、するつもりだったもの)、この間のドタバタ続きで一切の手入れをせずに放置しておいたのです…。はっと気づけば完成の2週間後をゆうに過ぎている。やばい。

 ふたを開けると案の定。ぷ〜んと美味しそうな「酒」の香りが立ち昇っています。味噌の匂いじゃあないね。甘酒のような香りです。

 手作りの玄米麹で仕込んだ極甘口の白味噌は、一歩道をそれるとアルコール発酵に行ってしまいます。酵母菌の仕業です。短期間で出来上がるといっても、手抜きをしてよいという味噌ではありません。短期間で仕上げる分、逆に猶予なしなので、手間を集中的にかけなければいけないわけです。それを知りつつ放っておいた。(ちなみに、この白味噌作りは、昔,NHKの番組でもやらされたことのある手馴れたアイテムなのですが…。)

 白味噌は酒粕味噌みたいな味になりました。でも、これはこれで使えるのです。漬物や魚の味噌漬けなど、酒臭くて構わないものになら。はい、かなりのアルコール度ですよ。白味噌料理を食べて酔っ払うのでは、洒落にもならん。
 ともかく酒ッ気を抜くために、低温加熱してアルコール分を飛ばし、酵母菌を熱死させておきました。言うなれば、味噌がアル中状態になっていたのです。私もこの間、ずーっと飲酒オーバー気味。ああ、味噌よ、お前もか。同病相哀れむ気持ちです。

味噌の切り返し

 初夏のそよ風の本日です。雨が多い上に温かい日々が続いた後です。このような天候のあとは、仕込んだ味噌のご機嫌伺いをします。鬱陶しい季節も、暑くてやりきれない季節すらも、発酵食作りには必要です。麹菌も酵母も「カビ」の仲間です。カビというとバイキンを連想させて、悪者のイメージがありますが、ワルばかりではありません。味噌、醤油、鰹節、パン、酒…。毎日、口にしている美味しいものは元々「カビ」の力で作り出したものです。「カビ」が存在しなければ、そのようなものも食べられないのです。私なんざあ、カビを見るとヨダレが出てくるほどです。

 さて、我が家の豆味噌。おおっ!ジメジメムシムシだった5月、ついに本格的な発酵体制に突入したようです。これから夏に向けて発酵活動が一番活気づきます。写真、味噌の左側。白いカビ状のものが見えますか?これは漬物を漬けたときにも水の上に浮き上がってくるものです。豆味噌をつけた塩水の上にも浮き上がってきます。無害なものですが、放置しておくとワルのカビを寄せ付ける原因にもなります。このような状態になったら、必ず切り返し(全体を混ぜ合わせる意味)を行います。白いものを私の田舎では「醸り(かもり)」と呼びますが、たぶん田舎言葉。標準語を知りません。かもりは味噌に混ぜ込んで平気です。でも、このかもりに赤や黒や青のカビが生えていたら、そこの部分は取って捨ててください。

 中蓋と接している(つまり、空気にふれていない)部分には、かもりは湧いていません。
 もし、長期間の留守で味噌を手入れできなくなる場合。一時的な処理ですが、ビニールシートかラップを味噌の表面にぺったりと密着させるように貼り付けて空気を遮断します。その上に中蓋をかぶせて重石をのせておきます。こうすると、かもりの湧きが出ないので、ワルのカビの発生を抑制することができます。旅行などに出かける前は、これからの季節「出かける前に味噌ラップ」です。
 また、これから温かくなると、味噌に住み着いた酵母菌たちが元気一杯に生活力を高め、ガスを発散させます。味噌が気泡を抱き、もこもこ盛り上がってくるのです。これはパン生地が膨らむのと全く同じ理由。4kもある重石を持ち上げてしまうほどです。同時に汁も流れ出し、床などを汚す場合もあります。切り替えしをすることが、ガス抜きにもなるので、温かい季節はこまめに切り返しを行いましょう。

パン教室の日です

 本日はパン教室の日です。初めての方が群馬からいらっしゃるので、基本の塩パンをアイテムにします。
 新刊発行のドタバタと次の営業がかぶさって、なかなかめまぐるかったここ最近。試食用のサンプルパンも焼き上げぬまま教室日になっちゃった。パンの撮影もできないのです。

 今年も野いちごが可愛い実をつけました。小さいけれど、薫り高くて甘いのです。お空もご機嫌よろしいようで、洗濯物を外に干せました。少々お疲れモードの体には、晴れ間のお日様が一番のご馳走のようです。

 では、お気をつけていらしてください。今日は傘がいらないみたいですね。

カリカリ小梅がフニャフニャ小梅になっ

 昨日の教室、XO醤づくりの前に、走りの小梅でカリカリ小梅を作ろうということになった。普通、カリカリ小梅は10%の塩と卵の殻(カルシウム分ですよね、洗ってお茶パック袋に詰めて)で漬け込むのです。が、毎度の悪乗り。普通なことはやりたくない。塩を半分の5%にしてみました。そして、前年から作り置きして冷蔵保存しておいた赤梅酢、その上、合わせ酢もドボドボ…・・と注ぎ込む暴挙。
 翌朝、可愛い小梅ちゃんをのぞきこんで、ギョエッ!カリカリにはならず、フニャフニャ小梅になていたのでございます。塩味はほとんど感じられず、合わせ酢の甘味だけ。だめだこりゃ。慌てて塩を足したけど、カリカリに戻るわけありません。みなさん、カリカリ小梅は塩10%ですよ。5%なんて無謀です。

XO醤づくり

 本日の教室はXO醤づくりです。中華料理材料の干しえび、干し貝柱、金華ハム(各同量)を浸水して柔らかく戻し、油で炒め煮して仕上げます。香辛料は赤唐辛子とにんにく。写真左上が出来上がりのXO醤。

 動物性の強烈な旨味成分を持つ、ヌーベルシノワの調味料です。表現はよろしくないのですが、「正真正銘の天然素材だけで作った味の素」みたいなものです。

 チャーハン、スープ、餃子のタレ、シューマイの具、中華おこわや中華粽などに極少々かくし味として使います。ラーメンスープに少し加えてもいいです。でも、旨味分が強いので使いすぎると料理の味をくどくします。適量を用いましょう。
 金華ハムは入手しにくい材料です。(その上、メチャ高い)。生ハムで代用してもよいでしょう。

 雨空のあいにくのお天気となりました。お気をつけていらしてください。

教室の日にちを1日カン違いして書いちゃった

 昨日のブログで「明日は教室です」と書いてしまったのですが、1日カン違いしておりました。純子ちゃんから朝FAXが入って「教室は土曜日では?」と。げろげろ、すみません!教室は土曜日です。

 実は土曜日の教室のあとで、豆本の企画を相談するために、アスペクトという出版社の方たちとお会いすることになっているのです。脱稿した「日本のお豆さん」<豆づくし>の原稿以外に「豆味噌づくり〜麹菌と麹カビの素晴らしい世界へ〜」という本の原稿も1冊別途に書き下ろしたのです。脱稿したてホヤホヤで、かなり慌てながら構成だの企画書だのを作成作業しておりました。ブログを書きながらも、頭の中はそのことで一杯。日にちをボケ頭でカン違いしたというわけです。ごめんなさい。

 さて、明日の教室は四国徳島からそろそろ梅がとどくのでは…と期待して「梅仕事をやるかも」という予定でしたが、残念ながら(気候不順のせいだと思う)まだ、ゲットしておりません。
 「もし、だめだったらXO醤作りでも」という曖昧な予定でしたが、XO醤に決定します。梅仕事の走りで「小梅」のカリカリ漬けか小梅のピクルスでも、ちらっとやって、本格的な梅アイテムは来月に延期いたします。

山椒の実が出回り始めました

 走りの青梅が出始めるころ、山椒の実も実ります。かちり干しや小女子と炊き合わせたり、魚の山椒醤油漬け焼き、イカなどにも合いますね。ぴりりと辛く、薫り高い東洋のハーブです。
 ほんの一時の季節の香りですが、保存もできます。冷凍保存のほかに、私は乾燥保存もします。

 まず、山椒の実を一度ゆでこぼし、強い辛味やアクを抜きます。これでかなり刺激的な辛さは和らぎます。(辛いのが好きな方はそのままで)。そのあと、盆ざるに広げて乾燥させます。からからに乾いたら、フードプロセッサーかミキサーで、好みの粗さに挽き割りにして、空き瓶に詰めて保存します。

 鉄火味噌作りのときも、山椒の実を入れると薫り高いものができあがります。糠漬けや醤油漬けなど、漬物に用いてもよいのです。醤油に漬け込んでおき、山椒醤油にして冷奴や焼き魚に添えてかけ醤油にしても合います。
 山椒はほとんどお薬みたいなもので、たとえば腸の手術後の癒着を防いだり、お腹にガスがたまってゴロゴロいうときには余分なガスを吸収してくれたりする、世話好きで親切な植物です。まるで胃腸科のナースですなあ・・。私は緊張したり、胸をドキドキさせたりすると、突然プッとオ○ラが出るクセがあるので、常日頃から山椒を薬味に使うのが大好きです。
 でもの腫れ物には気をつけましょう。明日はお教室です。

鉄火味噌づくりにはカセットコンロが最適

 画像なしです。締め切り原稿を苦行のように抱え込んでいる本日なので、写真撮影しないのよ。

 昨日の教室「鉄火味噌づくり」は今までになくラクで、うまく出来上がるという快挙でした。私の教え方が熟練した!せいでは全くない。

 火力の強いレンジのガス台を使わずに、食卓テーブルの上にカセットコンロを置いて、そこで作ったのです。カセットコンロはガス台に比べると火力が弱く、また、いくらでも火を弱めることができます。つまり、弱火の微調整に関してはガス台よりカセットコンロのほうが小回りがきくということが分かったのです。
 鉄火味噌作りの「敵」は焦げです。火加減を極弱火にして、しかもその弱い火を微調整しながら煎り続けなければいけない。弱火のままでも次第に熱は上昇し、鉄鍋の底にはかさぶたのような焦げ。少しでも焦がすと焦げ臭がつき鉄火味噌の風味はがた落ちします。3時間も煎り続けるという苦労をしながら、焦げ臭い鉄火味噌を仕上げたのでは何のための苦労だったのか…。この苦い失敗から「えーい、このさい火力の弱いカセットコンロを使ってみるべ〜」と思ってやってみた。大成功。

 鉄火味噌づくり初挑戦のみかちゃん。全く焦げ付かせずに今までで一番良いできの鉄火味噌を煎り上げたのでした。しかも、どういうわけか、今回は3時間かからずにサラサラになってしまいました。これは野菜のみじん切りをかなりマジメに(前日に包丁をしっかりと研いでおいた)行ったせいだと思います。
 テーブルにのせたカセットコンロはガス台より低い位置なので、さほど腕も疲れず、無理な力を使わずに済んだので、手に豆もできなかった。
 みかちゃんいわく「ぜーんぜん、疲れなかったし、聞いていたほど大変でもなかったですよ〜。自分で鉄火味噌作れるなんて思ってもみなかったけど、ちゃんと作れちゃうものなんですねー」。…。年に一度の教室の苦行をものともせずにニコニコしていました。(今までの私たちのあの苦労はいったい何だったのか?)

 鉄火味噌作りにはカセットコンロですよ!
(さて、これからマジメにオシゴトの原稿書きを始めるとしよう)

新刊「梅づくし」やっと出ました

 拙著「梅づくし」(バジリコ出版)がやっと出ました。心配していたカバーは別段問題なく、なかなか渋い出来です。奇跡の8冊目!の書籍出版です。とりあえず、一安心。そのうち書店に並ぶと思いますので、もし見かけたら眺めてやってくださいませ。初版の刷りはたった4000部なので、大きな本屋にしかないことでしょう。私も編集者氏も初めての出版社バジリコでの挑戦。今後、どうなるか…は未知数ですなあ…。

 次は豆本が控えています。とりあえず、今週末にアスペクトという出版社の人たちと会います。うまく企画を進めることができればよいのですが。いや、絶対にうまくいくと信じよう。これも初めての出版社。晶文社でばかり出していたから、他の会社のことをあまり知らないのです。無知なので、新鮮な気分を味わえます。

本日は教室です。午後から雨になりそうです。涼しいので鉄火味噌作りには最適です。お気をつけていらしてください。傘持ってきたほうがいいよ。

鉄火味噌

 明日の教室は「鉄火味噌」作り。人生修行に近い作業になります。毎年恒例の苦行です。ただひたすら、味噌とみじん切りの野菜を3時間ほど炒め続けるのみ。木べらを握る手にはマメ。翌日は筋肉痛。ただひたすらもくもくと炒め続けただけで、なぜ筋肉痛まで起きるのか?と、しみじみ疑問になるのです。炒め続けながら、ふと「私、こんなことをやっていていいのだろうか?こんなことをやっていて、私の人生は大丈夫なのだろうか?時間というものは時に矢のごとく、そして時に永遠であるかのごとくあまりにも長すぎる」…。と、哲学的にすらなる苦行料理です。そして、(こんなことやっていて、人生大丈夫なわけねーだろっ!)という自己否定すら大肯定しなければいけない善悪の彼岸にたたずむ教室なのです。(アホ)。

 味噌とみじん切り野菜はほぼ同量でよろしいです。ごぼう、れんこん、にんじんなど、極々細かいみじん切りにして、味噌と炒め続けます。永遠の時間がたったころ、味噌はサラサラの顆粒状になる。これが哲学的鉄火味噌の完結した姿でございます。心と精神の葛藤を通り抜けたとき、味噌は味噌としてのアイデンティティーを超越し、カオスのごときペースト状の世界から永劫の離脱を成し遂げる。(アホ)。

 明日、23日には刷り上りたてホヤホヤの拙著が届きます。(本日22日に刷り上り、発送されて明日着)。梅が飛び出しているだの、キラキラ光っているだのと聞かされたカバーが楽しみ(恐ろしい)です。