味噌の切り返し


 初夏のそよ風の本日です。雨が多い上に温かい日々が続いた後です。このような天候のあとは、仕込んだ味噌のご機嫌伺いをします。鬱陶しい季節も、暑くてやりきれない季節すらも、発酵食作りには必要です。麹菌も酵母も「カビ」の仲間です。カビというとバイキンを連想させて、悪者のイメージがありますが、ワルばかりではありません。味噌、醤油、鰹節、パン、酒…。毎日、口にしている美味しいものは元々「カビ」の力で作り出したものです。「カビ」が存在しなければ、そのようなものも食べられないのです。私なんざあ、カビを見るとヨダレが出てくるほどです。

 さて、我が家の豆味噌。おおっ!ジメジメムシムシだった5月、ついに本格的な発酵体制に突入したようです。これから夏に向けて発酵活動が一番活気づきます。写真、味噌の左側。白いカビ状のものが見えますか?これは漬物を漬けたときにも水の上に浮き上がってくるものです。豆味噌をつけた塩水の上にも浮き上がってきます。無害なものですが、放置しておくとワルのカビを寄せ付ける原因にもなります。このような状態になったら、必ず切り返し(全体を混ぜ合わせる意味)を行います。白いものを私の田舎では「醸り(かもり)」と呼びますが、たぶん田舎言葉。標準語を知りません。かもりは味噌に混ぜ込んで平気です。でも、このかもりに赤や黒や青のカビが生えていたら、そこの部分は取って捨ててください。

 中蓋と接している(つまり、空気にふれていない)部分には、かもりは湧いていません。
 もし、長期間の留守で味噌を手入れできなくなる場合。一時的な処理ですが、ビニールシートかラップを味噌の表面にぺったりと密着させるように貼り付けて空気を遮断します。その上に中蓋をかぶせて重石をのせておきます。こうすると、かもりの湧きが出ないので、ワルのカビの発生を抑制することができます。旅行などに出かける前は、これからの季節「出かける前に味噌ラップ」です。
 また、これから温かくなると、味噌に住み着いた酵母菌たちが元気一杯に生活力を高め、ガスを発散させます。味噌が気泡を抱き、もこもこ盛り上がってくるのです。これはパン生地が膨らむのと全く同じ理由。4kもある重石を持ち上げてしまうほどです。同時に汁も流れ出し、床などを汚す場合もあります。切り替えしをすることが、ガス抜きにもなるので、温かい季節はこまめに切り返しを行いましょう。