パイ日和・その2

 わ〜っ!変な顔っ!

 いろいろありますね〜。笑い顔、泣き顔、とぼけ顔。チュー♡してと、唇を突き出している顔までいますよー。ふたつと同じ顔はありませんねー。

 不揃いの焼き菓子たち。これだから、酵母の焼き菓子づくりは楽しいんです〜!メチャクチャ。。。。

 あまりにも嬉しくなって、本日二度目の更新です。

 これぞ、「酵母焼き菓子」の醍醐味なのです。

 パン種をつけた生地は、いっときたりとも同じ状態にとどまってはくれません。一日目、二日目、三日目、四日目…・と、どんどん生地は発酵して変化しつづけていきます。

 ですから、同じ生地でも、焼き上げる日によって、表情の違うお菓子になります。

 写真は、元・パルミエ(源氏パイみたいな♡型のパイ)の生地を三日間ほど冷蔵庫で放置して焼きあげたものです。

 すぐに焼きあげると、源氏パイのように、(金太郎飴みたいに?)整った同じ顔になるのですがね。

 でも、三日も置けば、発酵が進んで、も〜、膨らみ方なんか、どいつもこいつも、みなそれぞれに好き勝手よ。

 ♪カラ〜ス、なぜ泣くの〜、酵母の勝手でしょ〜♪泣いても、笑っても、勝手でしょ〜♪

 お菓子づくりって、マニュアル化されていて、がんじがらめの固定形。硬ブツの頑固系こだわり職人気質が多いですね。

 お菓子づくりは、原則的に、時間の流れの変化を楽しむものではなく、マニュアルは変動的で流動的であってはいけないものです。

 でもさあ…。こだわること、固定されること、均一化されること、マニュアル化されること、私は嫌いなんです。それで、お菓子生地にもパン種を入れちゃうようになったのです。

 日々の変化が面白いですから。いっときも、同じではなく、こちらの思い通りにはとどめられない。この無茶苦茶な好き勝手な生き物が好き。

 何かに似ていると思いませんか?

 自然の中に生まれ育つ野山の草木花のそれぞれ。そして、二人と同じ人間のいない個性のそれぞれ。人皆それぞれの幸せ感の違い。

 生きているものは一日たりとも、同じ状態にとどめておくことはできません。

 これが、普通のお菓子づくりと、酵母のお菓子づくりの違いの本質です。

 私自身の意図と作為が及ばないもの。自分勝手に、変化という成長をつづけるもの。

 好きですね、不揃いのものたちが。生きているから不揃いで、思い通りにならないんでしょうね。

 子供と同じですよ。人間と同じです。野山の草木花と同じなのです。

 まあ、このようなものは、商売人の売り物にはなりませんがね。

 絶対にお金なんかでは買えない、変化の喜びを味わえるママドンナの手作り酵母お菓子を。

 子供たちにも、食べさせたいですう〜〜〜。

 

パイ日和

 久々に、肌寒い日となりました。パイ作りにはおあつらえむき。

 実は、先日の「酵母焼き菓子」本の写真撮影、室内温度が上昇し過ぎて、折り込みパイ生地類の最終仕上げシーンの撮影が、不可能になってしまったのです。

 外の温度が24,5度。室内は、撮影作業とオーブン稼働で、30度までは行かないまでにも27,8度くらいになってしまいました。

 家中の窓を開け放っておいたのですが、上昇には勝てず。

 超早起きの仕事開始だったので、夕方の5、6時で、すでに私はヘトヘト。16時間連続労働の疲労困憊もあって、最終ラウンドで三回タップのギブアップ。

 汗だくで、へたりこんでしまいました。

 ノドに流し込んだビールのウマかったこと!

 本日は3日間も途中経過のまま放ったらかしておいたパイ生地の仕上げをしました。パン種を入れてあるので、折り込みの膨らみ+発酵が進んだ膨張で、フカフカに焼き上がりました。

 こうなりゃ、パイというよりは、パンとのハーフですね。

 酵母の菓子生地は、いくらでも放っておけるので、だらしない私には、ぴったりです。すぐに焼いてもいいですし、冷蔵庫で1週間近く放っておいても大丈夫。

 1週間近くも猶予があれば、そのうち作れる日も来るさ…ってなもんで。悠長なものです。で、本日、バター折り込みベストコンディションの気温に下がりました。

 本のタイトルを「だらしない人のための、いい加減な酵母菓子づくり」にでもしたい気分です。まあ、そんなホントのことは書けないけれど。

 折り込み生地づくりに使うバターに関して、ワンポイントアドバイス。

 一度でも室温に出して柔らかくなったバターを冷蔵庫に戻し、冷やし固めて使ってはいけませんよ。

 一度でも緩めたバターは、再度冷却しても元の良い状態には絶対に戻らず、弾力のないパサついたバターになります。風味も劣化します。

 このようなものをクロワッサンなどのペストリーや折り込みパイ生地に使うと、良い状態の生地にはなりません。つまり、失敗しやすくなります。

 安さが売りの某大手量販店の業務用バターに、ときたまこのような再冷却バターが並んでいます。購入時には判断つきませんが、使ってみると、その質の劣化がすぐに分かります。

 バターは基本的には冷凍保存です。ですから、冷凍保存状態で販売している店のバターが、一番信頼できます。

 パイやクロワッサンのみならず、お菓子やパンづくりにとって、バターは大事な素材です。質の悪いものは買わない、まがいものの代用品も使わない、そのくらいの気迫で選ばなきゃね。失敗して、悔しい思いをするのは自分ですから。