イクラの醤油漬け

 槍が降ろうが、鉄砲が降ろうが、墓石が飛んで来ようが、不治の病の金欠病に侵されようが…。

 イクラを食べなきゃ冬を越せないのが、北海道人のさがなのよ。

 国分寺のスーパーで、イクラはいくらハウマッチ?と、鮭の腹子を手に取ったときです。

 私よりも、一回りくらい年かさのオバサンが、「あのー、それって、どうやって料理すればいいんですか?」と、尋ねてきたのです。

 (東京人は、イクラの作り方を知らない人が多いんです。)

 こっちだって、押しも押されぬオバサンよ。スーパーの真ん中で、突然始めた「臨時料理教室」です。

 先ず、ダシ醤油を用意して、冷やしておきます。次に、40度くらいの湯(お風呂くらいの温度)を大きめのボウルに入れて、鮭の腹子を浸して、薄皮をつまんで、湯の中でふりふりすると…。

 ポロポロと、イクラちゃんの粒っころが、皮から離れてボウルの底にたまるんですよ〜。皮は、箸などでつまんで取り除きましょうね。

 ザルにイクラの粒っころをあけて、よーく水気を切ってから、ひたひたよりも多めのダシ醤油に浸して、冷蔵庫に1日か2日ほど入れておけば、醤油漬けの出来上がり。

 (塩味にしたい場合は、飽和食塩水で粒っころをふりふりします)

 見知らぬオバサンから、気軽に話しかけられるようになり、まるで友達みたいなタメ口で、気軽に返答する歳になりましたわ。

 で、イクラも歳も、どうでもいいのですが。

 漬け汁の「ダシ醤油」は、とても役立ちます。

 昆布、乾し椎茸を一晩水に浸した昆布水で、本枯れ鰹節のだしを濃い目に引きます。この濃いだし汁1カップ、醤油1カップ、みりん1カップ、塩小さじ2を鍋に入れて、一煮立ちさせるだけです。

 冷蔵庫に入れておけば、日持ちしますし、いろいろな料理に調味醤油として使えます。納豆のたれに、生卵かけご飯の醤油に、だし汁で割って麺のつゆに、柚子の汁を加えてポン酢に、このポン酢にごま油を加えてサラダドレッシングに…と。

 ちなみに、イクラは生モノなので、日にちが経ち過ぎると、そのまま食べて大丈夫かしら?と、ちょっと心配になることがありますね。

 そんな時はですね〜。「紅葉焼き」、焼きものに使います。イクラと卵黄を混ぜて、白身魚やイカなどに載せて、オーブン(またはグリル)で焼き上げてください。

 目にも鮮やかな紅葉色の美しい焼き物に仕上がります。

 紅葉焼きは晩秋の料理ですが、クリスマスなどの華やか色の料理がほしいときにも、見栄えしてよいものです。