エジプトのパン

 エジプトのパン、アエイーシです。

 発酵パンの原初的なもの、パンの原型とも言われています。いうなれば、「パン」のご先祖様が、今もってもエジプトで現役で活躍していらっしゃるわけですな。6000年も、長年お勤め御苦労さまでございます。

 小麦粉と水を同量で捏ねるので、捏ねるというよりは「練る」生地作りです。水分が多い(100%)せいで、発酵が早いです。イングリッシュマフィンも多いけれど、それでも80%です。普通のパンは70%くらいですね。

 アエイーシのちょー緩い生地(デロンデロンだあ〜)を天板に落とすと、必然的に平パン状に広がります。
 焼くと、ピタのように、中に空洞ができます。空洞に料理を詰めていただきます。デロンデロン生地は、まともに手では触れません。全粒粉をまぶしてから触れないと、ほとんどゴキブリホイホイ状態です。

 アラビア語で「ハミーラ」がパン種、「ハムル」が酒の意味というのは昨日書きましたね。
 では、発酵とは?これは「ケビーラ」と言います。ケビーラには「膨らむ」という意味もあるそうです。
(エジプトのアラビア語は、正則アラビア語とは異なって、エジプト方言=アンメイヤと呼ばれているそうです。ここいらが紛らわしいんやでえ。知人を介してエジプト人に聞いてもらった。わし、なんで、ここまでやるんやろな、アホちゃうか)。

 10年も前の話になるのですが、アメリカの研究機関から「古代エジプト小麦・カムット」というものを取り寄せて、パンの自然発酵の実験をしたことがあります。
 この小麦はパン種なんか入れなくても、あたたかいところに置くと数時間で発酵してパン生地状態に膨れてしまうのです。

 つまり、ケビーラしちゃいますねんえ。ハミーラがいらん。パンがそのままハミーラになっちゃうんだもん。

 で、この古代小麦のカムットさんは、エジプトのピラミッドの中からアメリカ人(ん、たぶん、アメリカ人だったはず)が、発掘して、研究機関で発芽させたものなんだけど、カムットの言葉の意味がずーっと今まで分らなかったわけよ。つくばの農水省の小麦研究所から、有名大学の穀物研究の学者さんにまで問い合わせた。でも、日本人、みーんな、分らんみたいだったのよ。えらい人でも、わからんみたいやった。

 で、今回、やっと謎が解けたのです!(見知らぬエジプト人のオバチャンのおかげです)小麦のことをアラビア語で「カムッフ」と言うんですって。…。もしや、アメリカ人の発掘者は「カムッフ」(=コムギ)をカムットという発音に聞き間違えて、発掘した小麦の名前(固有名詞)にしたんじゃないのかなあ?
 もし、そうだったら…。コムギに「小麦」という名前をつけたことになる。いうなれば、犬に「いぬ」という名前をつけるような話じゃ。ははははは!

 まあ、どーでもいいか…。自分の本書きの原稿ネタだから。

 ちなみに、カムッフは、エジプト方言では「アムハ」という発音になるそうです。小麦粉は「ダカーキ」です。

 ということで、本日はアラビア語講座でございました。とても役立つブログですね!ぜんぜん、実用的じゃなくて。…・。
(アエイーシ、メチャ美味しいですよ。みなさんも、作ってみてください。中種50%で、オーバーナイト12時間でイケちゃいます)。