蒸しパン裏ワザ

 酵母パン教室のアイテムは、そろそろ「暑い季節のエスニックなパン」に移行しつつあります。

 これは、オーブンで焼成するだけではなく、蒸す、揚げる、フライパンや鉄板で焼く、(魚焼き用の)グリルで焙る、挙句の果ては、中華鍋を逆さまにひっくり返して生地を張り付けて、火〜ボーボー…などといった加熱法です。

 早い話、パン生地なんざあ、(どのような手段であれ)加熱すりゃ食えるんですよ。

 ということで、今回は「蒸しパン」をのせてみました。

 試食会のときに、遠方の長崎からわざわざお越しくださった読者の方が、「肉まんがふわっと仕上がらない…・」と、ご連絡メールをくださったからです。

 蒸しパン生地が、単に重たい(きめが詰まる)だけなら、もっと、よく捏ねれば、生地は軽くなります。(これは、蒸しパンだけではなく、ほかの普通のパンにも言えることです。)

 ただし、蒸しパン特有の「失敗」というものがあります。それは、蒸し器の中では膨らんでいたのに、外に出したとたんに、プシューと萎んで、しわくちゃになってしまう失敗です。

 生地の気泡が潰れて、「ういろう」みたいな硬い生地になってしまう失敗の原因は、いろいろ考えられます。

●パン種が熟しすぎている、●パン生地の発酵が過多、●蒸し過ぎている、などです。

 同じエスニックパンでも、「蒸す」ものに関しては、過ぎたるは及ばざる如しです。

 対策として、1・○若い中種を使う(1日程度寝かせたもの)、2・○二次発酵を若いめに切り上げる、3・○蒸し時間を短めに切り上げて、低温(150〜160度くらい)のオーブンに入れて、乾燥焼きする、などがあります。

 特に、3・○の「蒸し時間短め、途中から、焼き色がつかない程度のオーブンに移して、表面の水蒸気を急速に飛ばす」という手段は、かなり有効です。
 つまり、(例えば、ですが)15分蒸したいものならば、7,8分の蒸しで切り上げて、ただちに低温(15,60度)のオーブンに移し入れて、7,8分ほど乾燥焼きします。

 低温オーブンの中で、蒸しパンの余剰な水蒸気が飛び、萎まない生地のまま仕上がります。蒸し時間が短くて生状態でも、水蒸気を飛ばすオーブンの温度があるので、加熱はオーブンの中で完了します。

 写真の蒸しパン、花巻、万頭、包子は、この手段で仕上げました。

 焼き色がつかない程度の低温オーブン(150〜160度)というのが、隠し技のポイントです。

 上記、みっつの○手段をこうじても、まだ、萎むようでしたら、小麦粉にベーキングパウダー少々を混ぜ込むという、最後の奥の手の手段もございます。

 でも、まあ、上記○みっつに留意すれば、別段、ベーキングパウダーを添加しなくても、蒸しパンは、ふわふわツヤツヤのお顔に仕上がりますよ。

 パン生地のきめが潰れてしわくちゃに縮んでも、パンじゃなく、団子だと思って食べると、噛みごたえがあって、味わい深くて、美味しいんですよ。私も、しょっちゅう、タイミング外して、しわくちゃに萎んだ蒸しパン作っちゃうんだぜえ〜!