種採取完了

 自然発生の麹菌を増殖させて種麹を採取。結構な量をゲット。

 今、大豆4キロ半を蒸している最中。出来上がった「まりもっこり」味噌玉のほうを次の種付けのための種にする。採取した菌は先々のための「預菌」、つまり「貯菌」です。私は菌の貯蓄が多いなあ〜。味噌玉の種もウチのパン作りと全く同じ原理で、友麹法です。種麹を販売する業者さんには申し訳ないが、友種で作ってつないでいくと、種を購入する必要がなくなって、米や麦や大豆だけの原価だけで麹が作れてしまう。
 自家採取の種はフレッシュでイキがよくて、発芽率も高い。なにせ私は「貯蓄」が多い菌持ちだから、種が必要な人にはいくらでもあげれちゃうし。こういうのを種屋の営業妨害って言うんだろうなあ…。同じ菌のDNAを引く味噌ファミリー、パンファミリーが日本中にいる。なんだか「大家族」みたいで嬉しいなあ〜。
 北海道から送ってもらった大豆が、今回の仕込みで全て尽き果ててしまった。お豆さんの一粒も、もう残っていない。教室で来月も「自然発生種麹の豆味噌作り」を入れようと思っていたけど、原材料の大豆を使い果たしてしまった。鈴乃家の鈴木社長のところに、いい国産大豆の在庫がたくさんあるんだけど、仕入れる元手も尽き果てているし。本日で、しばし、麹作りは「休業中」になってしまう。豆麹ができあがりつつあるときのオヤジ系古靴下のような懐かしい匂いや、米麹ができつつあるときのお酒臭い匂いや、雑穀麹の甘い匂い。玄米麹のこうばしい匂い。こんな時間と空気を楽しみながら、個性あるコウジ菌たちをお守りするのが幸せだった。(できあがった美味しい味噌を料理するのも幸せだけどね)。何かが生まれて育つ過程を時空で共有できる喜び。有名どころの高級味噌を使っていることを自慢する料理家は多いけど、でも、その前の本当の喜びや、舌だけではない、五感全部の「美味しさ」なんて知らないんだろうなあ。金でモノ買うと大切な何かを得られない。ウチの味噌は有名でもなければ高級品でもないけれど、地球上で一番美味しいよ。味噌作りの人はみんな「うちの味噌が一番うまい」って、必ず自慢するものよ〜。