緊迫の一日…ああ、醤油麹よガンバレ!生きろ!

 2月25日に仕込んだ豆味噌を切り返してみました。おおっ、すごい旨味です。まだ、1ヵ月もたっていないのに、すでに濃厚な味噌の旨味に驀進しています。一言で表現するならば、お豆のチーズみたいな味。しかも高品質のチーズの味です。大豆でチーズを作る実験をしてみたいんだよね、わたし、本当は。(また、ドアホなこと考えているんだべ?とか、思っているんだろ?くそ。)。だって、ホント、チーズみたいに濃厚な風味と味なんですよ。信じておくれよ〜。(どうせ、誰もわかってくれない)。イジイジ。私は豆糀でお豆さんのチーズを作れると、(一人で)考え込んでいるのだよ。いいもんねー。一人でやってみるもんねっ!ーだっ。みんな、嫌いだ。
 でも、もし、作れたら、牛乳ダメな人でも食べられるチーズになるよなあ。できると思うんだけど…。乳製品ダメでも豆大丈夫とかいうヤツっているじゃん。できればいいなあ…・。

 まあ、そんな夢物語なんか、どうでもいいんだけどさあ。(でも、頑張る)。

 醤油麹は時々刻々と変化し続けています。先仕込みの完成間近の麹はさかんに発熱しており、放っておけば35度くらいまでお熱を上げます。まるで、人間の肌を抱きしめているようにムッと温かい。ああ、麹は生きているのだよ。本日、1日の間に何度もかき混ぜて温度を下げて、気が気ではない。仕事にならない。でも、酒と煙草だけはやれる。前向きだろ?
 かたや、後から仕込んだ醤油麹。これはカビの赤ちゃんがぽつぽつと確認されました。多分、昨夜の満月の夜に、小さな命を発芽させたのだと思う。本日、早朝に(明るくなってから)その生命の誕生に気づいた。(私、老眼になったので、夜間はモノがあまり見えないんだよね。)私も満月にぴったりカンカン大当たりで生理が来たし。私はどういうわけか、満月の夜に生理になる傾向にある。たぶん、狼男の親戚か何かなのだろう。ともかく、生理が来て、後から仕込んだ大豆にはコウジカビの赤ちゃんが誕生した。因果関係はないと思うけど。
 このぶんでは来週そうそうにでも、塩水を入れて醤油仕込みができるかもしれない。お鷹の道に行って、湧き水を汲んでこなければ。醤油の本仕込みまで、しつこくリアルタイムに、お豆さんと微生物の命の競演をここに記載したいと思います。(できなかったりして。インターネットの督促状が毎度来ているんだけど。)

今週のパンでした

 焼き上げて写真を撮ったのが真夜中過ぎ。自然光撮影できずに色が変な写真をのせたので、朝に取り直しました。予告の「今週のパン」掲示のはずが、過去形の「今週のパン、チョコクロワッサンでした」になりました。

 この季節だけ、成形すませた生地を常温ほったらかし発酵を半日ほど。(保温せず。)これが一番ラクチンです。夏や冬は該当しませんけどね。ちょうど、今くらいの気温のときだけですけど。寝ながら発酵が最高です。
 マジメに30度で保温して当日焼き上げる場合でも4時間〜6時間は覚悟ですから。いっそのこと居直って保温せずに長時間発酵です。でも、これは温度変化を悪魔的カンで予測しなければいけないので、経験だけがものを言う。カンが外れたら、クロワッサンでも、ちゃーんと発酵過多を起こしてくれるから。放ったらかし発酵にして安心して眠るためには使用する中種が、きちんと種継ぎしたものであることが大事。

続:ところで、ちゃんとクロワッサン焼いた??

 ところで…・。

 本日の教室で持ち帰った生地、ちゃんと焼きましたか?忘れて寝ちゃった、とか…・?

 私はえんえんと常温ほったらかし14時間目のクロワッサン生地をイヤイヤ焼き上げました。(わけあって室内温度を上げたくはなかったのだが)。

 どっか〜んと、どでかく膨らんで焼きあがりました。(当たり前だ、半日も放っておいたのだから、酵母たちは喜び勇んで増殖しまくっているのだ)。

 もー、最高の出来ですよ。クロワッサンはボケ気味にトロ〜っとしたペースで作るとうまくいきます。

醤油麹は夜半より、いよいよ熱を持ってきました

 カビが出揃って旺盛に繁殖しはじめた醤油麹は夜半より、いよいよ熱を持ち始めました。やはり、私がよんだとおり、今夜(15日〜16日にかけた夜中)が山場の峠でした。麹は発熱を始めると、熱を冷ますために空気を送り込んだり、涼しい場所へ移したりしなければいけません。夜中、12時過ぎに麹をかき混ぜて熱を冷まし、涼しい場所へ移動させました。

 もう一方の仕込みたてのものは匂いがいよいよ変わってきました。ここが一番の勝負。醤油麹のカビが発芽してくれるか、してくれないのか?の賭けですよ。なにせ、相手は見えない菌の生命活動です。麹カビになるか、枯れ草菌に取り付かれるか、乳酸発酵してしまうのか?この三つのうちのひとつへの勝負時。この状態のものは無理やり温めたり湿度を与えたりせず、むしろ平静をよそおって、緩やかに温めて少しだけ換気を良くしてムレを防いであげます。醤油麹カビの赤ちゃんが生まれてくるか来ないかの境目ですからね。絶対安静の要注意体制なのです。産婆さんの目。

 ということで、私としてはめずらしく、真夜中の12時過ぎにマジな顔でこの事態をみつめているのです。家庭での手作り醤油の原稿を起稿中の豆本に絶対に入れたいのです。今、成功させておかなければ、時間的な意味で(季節、発酵熟成の期間、プロセスの撮影)原稿を作られなくなる。やはり、難しくても醤油だけは外せない。「豆尽くし〜日本のお豆さん〜」となると、単なる料理だけではなく、やはり味噌や醤油や豆腐も絶対にコテコテに入れたいですからね。発酵食の女王、種付けの女帝としてのプライドもかかっておるのじゃよ。これをやらなきゃ私の本じゃないからね。意地でも成功させてみせるぜ。

 豆乳や豆腐がお豆さんのおっぱいなら、そして、味噌がお豆さんの骨肉なら、…醤油はお豆さんの血なのです。醤油を含めて、このようなものを作ることの難しさ、そして、その奥底にある生み出す楽しさ(というよりは、ほとんど苦しんでいるのだけれど)、本当の美味しさ。これをみんな知らないから、平気で食べ物を粗末にするんだ。粗末にすることと、ホンモノならざる粗悪なまがい物の大量生産は、交互関係で存在してしまうと思うのです。私は醤油の1滴すら無駄に捨てたりなんかしないよ。購入するものでもペットボトルに入った1ℓ300円なんていう○○もどきなど買わないし。ちゃんと作られたものしか購入しないし。1本千円でも高いとは思わないよ、ただし、本物であるならね。買わせてもらえるだけありがたいとすら思う。そして、まがいものであるならば、1本300円でも高いと思う。 

 食べ残した天つゆとか醤油とかでも、ビンボ臭く大事にラップかけてとっておいて、後の食事できれいに食べ尽くす。ダシも醤油も身分・収入不相応なくらい良いものを使っているからね。平気でジャーッと捨ててしまう人を見ると、逆に貧しさを感じるね。あ、この人たぶん、自分の家ではろくなものを使っていなし食べてもいないなあ…と感じる。もし、ホンモノのだしや調味料を使って食べているのなら、その手間隙や美味しさや高価さを身を持って知っているものです。そうすると、粗末になんかできないからね。

 オバサン臭く口はぼったく言ってもダメなんだよね。まずはホンモノの味を食べさせて、それが手間隙かかったものであることを知ってもらわなければ。だから、教室では絶対に小言や説教臭いことは言わないのよ。ただ、だまって、もくもくと作り、食わせるだけ。ちゃんとしたものを食べさせるだけで、たったそれだけで、人は食べ物を粗末にしなくなるのです。でも、たかがパン教室。ここまでやる必要はなかったのかもしれないと、虚しい気分にもなります。

 この10年、少人数体制とはいえ、たくさんの人たちがキッチンファミリーになっていった小さなパン教室。何の感傷も未練もなく終わらせます。

 そんなことより、私は今夜、醤油麹の勝負時なのです。