これが「クロワッサン生地になっちゃった〜」クロワッサン

 前項のパイ生地(パン種を混ぜたもの)を二日間以上焼成せず、放置した生地で、…・・できちゃったクロワッサン。

 ラク〜。今までの苦労は何だったのか?折り込みパイ生地にパン種を入れるだけ。折り方は従来の教え方(三つ折三回)と違い、四つ折・三つ折・ベンチタイム・四つ折・三つ折(折り込み回数はかなりおおくなる)、つまり折り込みパイ生地そのもの。発酵らしきものは、仕込んだあと、半日〜1日、冷蔵庫で寝かせるだけ。あとは成形してすぐに焼けます。仕込んで翌日に焼成できなかったら、居直って「クロワッサン」。これも、四つ折・三つ折、四つ折・三つ折の折り込み方法なら、二次発酵(仕上げ発酵で7,8時間もかかる)をしいなくてOKなのです。
 ともかく、捏ねて、その日のうちに折り込めば、無発酵生地同様なので、麺棒でのすのも、バターを折り込むのも格段にラクです。あとは放っておくだけ。1日寝かせればパイ生地、2日間以上寝かせればクロワッサンやペストリー生地。

 なぜ、今まで、こんなことに気づかなかったのだろう?これもミキサーのシャフトが折れた大アクシデントのおかげかもしれません。ミキサーがないので、パイ生地やペストリー生地を作るしかなかった。(パイやペストリー、クロワッサン生地なら、ミキサーがなくても仕込めるので、修理してもらえなかった5,6日間、ずっとパイ生地やクロワッサンばかりを集中的に作っていたのです)。

 ともかく、この生地作りを早急に生徒(元・生徒)たちに伝えたい。自分のパン種を自分が熟知して完璧に使いこなしていると思っていたのですが、まだまだ未知の作り方が埋蔵していたなんて、恥ずかしながら、でも、あまりにも嬉しい新開拓です。
 この十年間の教室のみんなの顔が浮かんできます。今でも身近にいる純子やみかに始まって…、ともちゃん、ゆきちゃん、つよしくん、まちこちゃん、やえこ、弘子さん、めぐちゃん、えとちゃん、みつひろ、きよみちゃん、てるみちゃん、みさおちゃん、ゆかちゃん、みほちゃん、ともみさん、もとこさん、…ああ、たくさんすぎる。時間を巻き戻すことができたらいいのにね。ふと、無重力感を感じる軽くて重たい黄昏の時間です。

秋のパイ

 自宅籠城(籠城などと申すよりは雪隠詰めと言うべきであろう)している際に、モンモンと一人レシピを編み上げて、料理教室再開の準備。

 「壊れにくい折り込みパイ」を秋の料理に仕立ててみました。実は、このパン種を加える折り込みパイ生地、仕込んだら必ず翌日までには焼成に入らなければいけないというわがままモノです。(普通の折り込み生地なら数日間は放っておけます)。なぜならば、悠長に放置しておくと発酵が進み、パイ生地ではなくクロワッサンみたいなパン生地になっちゃう!のでございます。なかなかせっかちなパイ作りになるのです。(まあ、クロワッサンになってしまったら、それはそれでクロワッサンの成形を行い、クロワッサンと呼べばよいだけです。→あくまでもいい加減なやつである)。

 パイ生地はお菓子のみならず、料理に幅広く転用できるので本当に便利な生地です。その上、ソース類、ペースト類、ムース、パテなどでいろいろ遊べます。これほど楽しい秋の料理はありませんね。

 さて、本日ご紹介するのは簡単に作れるタプナードと、市販の魚すり身を利用したムース。
 タプナードは黒オリーブ、ケパー、アンチョビをペーストにしたソースです。黒オリーブ、100g、アンチョビ5〜10枚、ペパー30g(一ビン全部くらい)をフードプロセッサーに入れて粉砕します。それをボウルに中に入れて、オリーブオイル100cc〜好みで200ccくらいを少しずつ泡たて器で撹拌して仕上げます。いうなればオリーブとケパーを卵黄に見立てたマヨネーズ作りと同じです。マスタード、塩コショウで味を整えます。オリーブの収穫便りが届く秋です。新モノの実とオイルを使えれば最高なのですが…。
 魚のムースは鍋物材料として市販されている「白身魚のすりみ」を活用してもいいのです。ボウルにすり身150g、卵1個を入れて泡たて器で滑らかになるまで撹拌します。生クリーム120〜150cc(好みで加減)を加え、もったりするくらいまでさらに撹拌します。パイレックスなどの耐熱容器に入れて、茶碗蒸しの要領で15分ほど蒸して仕上げます。今回、私は魚のすり身120g、かにのほぐし身130g、卵2個、生クリーム200ccで作りました。(レシピの数字と材料はいろいろ変化させています)。
 写真、手前、左がきのこソテのベシャメルソース、その右がレバーペースト、奥左がスモークサーモンのサワークリーム和え、中が白身魚とカニのムース、右側がタプナードです。タプナードはパンに添えるほか、ゆで卵や蒸し野菜、生野菜のソースとしても使えます。シーフードのムースはココットなどの器で作って柑橘系のソースを添えると
オードブルの一品となります。
 夏の間は和食一辺倒だったのですが、秋が深まると同時に「二重人格味覚」のように、急にバタ臭い料理が作りたくなるのです。体が冬を迎える準備をしているのかもしれませんね。北海道人の血が騒ぐのです。とたんに油脂や動物たんぱく質の使用に突入します。写真の料理のソース、ムース、ペーストなどは全て長期保存がきくように、空き瓶で作り、脱気状態にして作り置きしています。