引き裂かれたプルマン

 まるで、ミステリー小説のようなタイトルだな、こりゃ。

 焼きたてなので、ナイフで切りたくなくて、手で引き裂いただけの話です。

 パンって、ナイフを入れて切ったものより、手で引き裂いたもののほうが美味しくかんじられるのは、私だけかなあ?

 気温も湿度も上昇しているようです。こんな変化のあるときは、基本パンのやり時ですね。今週のパンは、オーソドックスに、プルマンブレッドにしましょう。早い話が、普通の食パンです。

 昨日の陽気で、パンペイザン生地を発酵過多にしました。種は30%と少なめ、時間もたった5時間の常温放置だったのに…。

 これ、全部、中種送りです。土曜くらいまで寝かせると、程よく熟成して、ライ麦パン作りなどに向くコクのあるパン種になります。

 同時に仕込んだプルマン(今週のパン)の方は、ぎりぎりかろうじて、オーバーナイトの11時間で成功。(夕方、5時に生地捏ねでした)。

 しかし、それにつけても、朝4時過ぎからの成形とケース詰め。また、ベッドにもぐりこんで、しばしの惰眠をむさぼりました。(結局、寝坊)

 二次発酵も常温放置でした。二次発酵未然で、35度のホイロに1時間半。型85%ほどで焼成開始。焼き上がって、まだ熱いものを手で引き裂いて撮影しました。

 プルマンブレッドの分割量は容積比で算出します。機械捏ねや手捏ねの巧い人の容積比は、3・8〜以上になり、かなり高くなります。場合によっては4以上になります。必然的に捏ねの質によって、分割量が変わるわけです。

 捏ねが十分にはいらない人の生地分割量は多めにしなければなりません。

 巧い人なら、機械ミキシング並みに空気を抱き込んだ軽い生地に捏ね上がります。

 何の変哲もない食パンですが、パンの中でも一番捏ねが長くなる生地です。パン種に関しては比較的許容範囲が広いのですが、3日間から1週間目くらいの熟した種を使うほうが、風味豊かに仕上がります。

あられ糖は今や死語?

「めんどくせー」という本心に抗い、立川の富沢商店まで電車で出かけ、とあることを確認してまいりました。

 粒状に結晶した砂糖が「あられ糖」と、風情ある和名で呼ばれていたのは、今や昔の話でございましたわ。も、もはや、死語です。ババア語です。

 いまは、いろいろあって、ポップシュガーだのメルヘンシュガーだの、ハイカラなカタカナ語シュガーが、たくさん並んでおりやんした。

 若い店員さんに「あられ糖、ありますか?」と尋ねたら、キョトーン「?」。「あられ?あられ・・。あ、あ、あれあれ、あれだ」「いえ、あられ、ですよ」。「ええ、これですね」。

 はい、これですよ。名前、違うじゃん。でも、「ベルギーワッフルなどに使う」などと、ちゃーんと但し書きされている。

 で、右の砂糖が「死語・あられ糖」です。左側は、これも役立つ「ざらめ」です。ところで、ざらめという言葉も通じないですか、今は?ざらめも死語か?

 日本のざらめには「中双糖」と書かれていました。写真のざらめはマウイ島のキビ糖のざらめです。(日本のざらめはカラメルで着色しているだけなので、使いません。キビ糖のままの色のざらめを使います。)

 たかが、ワッフルのために、死語・あられ糖とざらめを買って来ました。

 はい、これで、29日の「スィーツなお教室」で、ワッフルも、できるようになりましたね。(無塩バターは、やはり品切れでした。やむなく、有塩バターを買って来ました。生地に配合する塩を控えて誤魔化すつもりです。味は絶対に無塩バターのほうがいいのですが、やむをえません。)

 

酵母ワッフルお急ぎの場合は

 捏ねた生地を冷蔵庫の中で2、3日間も忘れっぱなしの後に焼くなんて、待ちきれないよお…という貴女へ。

 お若い方は、「物忘れ」という熟練を要する才能に劣り、事急く傾向にあるようです。

 この才能は、いずれ、誰もが、年輪を重ねつつ習得していく人類の叡智です。今は未熟でも、ご自分を卑下する必要はありません。大丈夫です。いずれそのうち貴方も、こちらの世界に来ることでしょう。

 本日は、昨日の続きです。ところで、昨日って、何やったんだっけ?二日酔いだったことだけは覚えている。

 本日は、物忘れの才能がない貴女のために、捏ねた生地をすぐに焼き上げる方法です。

 早い話、生地を冷蔵庫に入れずに、常温(今の季節なら20度くらい)に一晩、放ったらかしておけばいいだけのことです。
 この時期なら、一晩で十分に発酵します。翌朝、すぐに焼き始めることができます。

 ただし、酵母菓子の生地は、パンのようによく捏ねないので、(十分なグルが組成されていないせいで)、だれた(べとついた)状態で膨れています。

 このような生地は分割、成形に、手こずります。ですから、ガス抜きした後、1時間ほど冷蔵庫に入れて、生地を落ち着かせてから、分割、成形の作業に入ります。
 分割、成形の後に、1時間ほどのベンチタイム。そして焼成です。低温長時間発酵の生地とは微妙に違い、パンっぽいフワフワ感のあるワッフル生地になります。

 どちらが好きかは個人的好みです。焼き上がりの見た目は写真のとおり、どちらも同じようなものです。中の気泡の感じが違うだけです。

 ちなみに、落ち着かせるつもりで冷蔵庫に入れた生地を2日間も忘れるということもあります。(生地は落ち着きすぎます。)

 私の好みから言えば、パンっぽくフワフワにしたものには、パールシュガー(あられ糖)を後入れで配合したザクッと感が欲しくなります。

 で、このパールシュガーを立川まで買いに行くのが、めんどくせえのです。行ったとしても、ほかの材料を買い込んでいるうちに、あられ糖のことなんか、すっかり忘れ、買わずに帰って来るのが常です。ここまで来れば達人です。

おっと、また誤植、訂正レシピ・酵母ワッフル・アゲインなんだわ

 たった今さっき投稿したワッフルのレシピ。私、バターを書き忘れてたかも。

 (最近の物忘れの良さたるや…。)

 もう一度、ちゃーんと親切に書きなおします。なにせ、二日酔いなんだから。

・強力粉100g+薄力粉100g=200g
・中種100g、牛乳または水100cc・卵黄2個(または全卵1個)をボウルの中でミキシング=これを水分とする
・塩小さじ2分の1、砂糖30g〜50g(好みで加減)
・無塩バター50g

・粉、塩、砂糖をボウルに入れて、切ったバターを入れて、サブレします。水分を混ぜ加えて軽く捏ねてまとめ、ポリ袋に詰めて、冷蔵庫で1日以上寝かせます。

・10等分に分割して丸め、室温に1時間ほど放ったからしてベンチタイム(二次発酵的な意味合いも)。

・ワッフルパンで両面焼きます。

 チョー簡単。二日酔いでも焼けます。

 (パールシュガーを加える場合は、寝かせた後の生地に、折りたたむようにして混ぜ込み、そのあとに10等分に分割して丸め、ベンチ…としてください。パールシュガーは、この近辺なら立川・伊勢丹地下の富沢商店で「あられ糖」という名前で(たぶん…)入手できるはず。パールシュガーを加えると、ベルギーワッフルみたいになっちゃうけど、ザクザクとした食感になりやんすがね。)

ハスの植え替え

 天気の良い日だったので、昼過ぎから(二日酔いにも負けずに)、ハスの植え替えをやりました。

 立派な房の種イモが採れた!(もう新芽が伸び始めています)

 しんちゃんが書いてくれたテキストで確認しながら、施肥をして、なんとか植え替えが済みました。

 泥んこ遊びのせいで、爪の間が黒い。

 午前中は二日酔いだったので、ワッフルを焼きました。(何の脈絡もないが)

 小麦粉200g、中種100g、塩小さじ2分の1、砂糖大匙3〜5くらい、卵黄2個(または全卵1個)、牛乳(または水)100cc

 が、レシピです。捏ねて、冷蔵庫で1日以上寝かせてから焼きます。もっと甘い方が好きな方は砂糖を倍くらいに増やして構わないけれど、その際は、パールシュガーのような粒砂糖にして、生地中に溶け込まないものを使ってください。生地中に大量の砂糖が溶けて混じると、発酵しにくくなります。

 で、塩入れ忘れてたみたいですわ。塩気のない酵母ワッフルはうまくない。

 だから…・。美味しくないんですよね…。

 たとえ、お菓子作りでも、絶対に適量の塩は必要です。

 みなさん、塩の入れ忘れと酒の飲みすぎには注意しましょう。

(元・教室の生徒、懐かしの真知子ちゃんから、コメント入っていたなあ。おーい、元気かあー。東京に戻ってくることがあったら、遊びに来いよ〜〜〜♪)

干しりんごの赤ワイン漬け

 昨日、絞ったみりんが、左側の黄色い物体。

 しばらく放置しておくと、下に澱が溜まるので、上澄みのみりんを別のビンに入れ換えます。澱のほうは、見た目が濁っていても構わない味噌などを使う料理に使います。

 市販品ですと、上澄み部分しか手に入らないけれど、下にさがる澱の部位分も、とろりとしたコクがあって、とても役立ちますよ。お米の力の調味料、余すところなく活用できます。

 ちなみに、搾りかす(酒粕)も、漬けもの床などに役立ちます。

 右側は干したリンゴを赤ワインとビネガーに漬け込んだもの。これはソース作りに使います。りんごやかんきつ類は、ソースづくりにも役立つ「調味料」です。
 もちろん、そのままフルーツとしていただいても美味しいのですが、根っからビンボ症なので、どうしても保存の手段を考えてしまいます。

 せーんぶ食べちゃったら、なくなっちゃうもんね。(あ、当たり前か…)。

 カレーを作る時にも、トマトケチャップを作る時にも、少しリンゴを入れると甘味やとろみが出て、円やかになりますよね。

 でも、そのたびに、わざわざ、りんご一山(5個も)買いに行きたくはありません。そんなときのために、干して、ワインに漬け込んで保存しておくと、こりゃもう、立派に役立つ調味料に早変わりですわ。

 漬けこんだ赤ワインの方は、コックドヴァン(チキン赤ワイン煮)や、ビーフシチューづくりなどに使えます。

 写真のリンゴで5個分。干すとカサが減ります。はちみつの空きビンに半分くらいまで減ります。

 使い残したら、あとはそのままウスターソース作りへと転用します。

 季節外れで、もてあましているリンゴがあったら、試してみてください。意外なときに意外と役立つんですから!

休み切れずに、みりんしぼり

 今日は完全休業日だっ!と、決めたのはいいのだが…。意志が弱い。

 昼過ぎらた、あれもやらねば、これもやらねば…と、毎度のビンボ症が出てきた。

 もう、みりんが無いんだよね。絞らなくっちゃ。

 最後の一絞り。えいやーっと力を込めて、絞りあげます。(布袋に入れて、下にザルを当てて絞るとラクですよ)。

 ダラダラとみりんを滴らせているうちに、元種の種継ぎを1か月近くもやっていないことを思い出して、顔面蒼白、もともと、ゾンビー、いずれ、キョンシー。

 おもむろに、元種に小麦粉と水を入れ、捏ね始める。パン種1kを2袋作って、計2k。ほっと安心。(だらしないのにもほどがある)。

 生徒のことまで気にかかってきた。スコーン作る時に、バターが入手できないよ〜と、泣かれたら、どうしよう…。

 今度はあわてて、バター無しで作れる(生クリームで代用)スコーンを仕込んで、冷蔵庫へ。一両日中には焼き上げて写真を撮れるはず。

 すると、スコーンだけじゃ、つまらないかも?とか思い始める。

 酵母パン種を使ったワッフル生地を仕込む。これはスコーンのレシピをアレンジするだけです。5分で簡単に仕込める。(バターと砂糖をちょいと増やして、水分には卵も加えてね)。
 あとは、冷蔵庫で放っておいて、1週間以内をめどにワッフルパンで焼き上げるだけ。これも、一両日中に写真が撮れる。ワッフル、可愛い形だよね。スコーンよりも嬉しがってくれるかも?

 酵母パン種を使った焼き菓子づくりも、これからはどんどん組み入れていきたいねえ。
 パン種を使って発酵生地にすると、砂糖もかなり控えることができるし、ベーキングパウダーとか重曹とか買ってくる面倒(余計な出費!)も控えることができるし。
 

完全休業日

 メタクソ忙しかった1週間を終え、本日ついに、グロッキー。マジに思いきり疲れている。

 昨日の「レパン」、そう、あの「乳乳」を使ったあの生地、常温ではかなり発酵が遅いようです。

 昨夜、愛知に戻った尚子さんから「乳乳パン生地、まだ、発酵していないんですが、このまま寝ちゃっていいですか?」メールが夜中に入っていたようなのです。が、私の方が先に寝ちゃっていました。見たのは、今朝です。朝まで持つと思うよ。

 わざと発酵を鈍重な配合にしたあつこちゃんの生地も気にかかる。午後3時になっても、まだ、発酵していないかも?

 もし、発酵してなかったら、30度保温でさっさと行かせてください。なにせ、乳乳で捏ねると、発酵が遅くなるんだからさあ。

 ともかく、小麦粉、塩、水以外の材料は、原則的に発酵阻害材料と考えていいです。発酵は抑制しながら促進するものです。抑制と促進の駆け引きです。

 糠床の発酵も同様ですね。リンカランの撮影用に各ステージを意図的に増やしちゃった糠床。発酵過多のものと発酵未然のものを混ぜ合わせたとたんに、とてもよいバランスの床になって、一晩でモコモコと発酵活動が正常になっちゃった。

 気泡が立っているのが、みえますでしょうか?

 こいつを来週の29日まで、ベスト状態で維持して、床分けせねば。

「バウムクーヘンづくり+糠漬け+全粒粉のスコーン」。このアイテムの脈絡は、いったい、どうなっているのか。

 バウムクーヘンには糠漬けがよく似合う。そして、糠漬けには、英国式ティータイムのスコーンがよく似合うということが、国際条約で決まっているです。

本日も楽しゅうございました

  天罰のごとく、メチャ忙しかった今週の1週間。本日のパン教室も、メチャ楽しく、毎度のことながら、どんちゃか賑やかに無事に終えました。

 でも、楽しいながらも、一日たりともホッと安心して休める時間がなく、かつての事業の多忙さを思い出し、とても懐かしく、イキイキ嬉しく、心地よく、ゲンナリと疲れ果てた週でした。楽しかった…。ふうー。

 うちらの学生時代の隠語では、こういう状態を「野麦峠しちゃってる」つーのさ。

(ちなみに、名著「ああ、野麦峠」は、本当の苦労話ですが。私の、こんなふざけた話とは全く違います。これは、単なる、比ゆです。)

 ローカルを通り越して、小平市の鷹の台あたりでしか通じない言葉なんだけどね。(ムサ美の授業で相沢先生(故・宮沢常一先生の弟子)の民族学を受けた人にしか通じない隠語です。故・宮沢先生、そして、若くてギンギンだった相沢先生の大ファンは多かったのよ。今となれば、古き時代の思い出話です)。

 5月29日、(祝日)、不定期の番外地「お楽しみ教室」午後2時からやるの、決定!

 みんながやりたがっていた「バウムクーヘン」やります!そして、季節がら「糠漬け作り」も。あと、今、もう一つ考えているのは、同日に「全粒粉のスコーン」も。

 酵母種を使ったスコーン、簡単すぎて、定例のパン教室のアイテムにできないんですよ。でも、やりたい。(少しくらい、宿題を持ち帰ってもらいたいですし。遊び気分だけじゃないですからね。)

 ゆるゆるたらたらまったりと、お菓子のバウムクーヘン焼きながら、でも、やはり、うちの教室らしく、どんちゃか賑やかに馬鹿騒ぎしながらも、少しだけマジに発酵食の仕込みも組み入れたいですね。

 で、どーですか?「バウムクーヘン・糠漬け・全粒粉の酵母スコーン」つー、ほとんど分裂気味アイテムの天測的番外地教室は?

 明日の日曜日は、ゆっくりとお休みを取らせていただきます。嬉しくて、忙しくて、いろいろあって、でも、少し疲れたので、「ご自愛するために」休業です。

 ちなみに、5月17日(試食会イベントの翌日)のパン教室は休講です。