甘酒を使った発酵食「切り込み」

 久々にカラリと晴れ渡った秋空です。

 仕込んでから3週間目の「イワシの切り込み(塩辛)」です。本当はニシンで作ると最高なのですが、東京では良いニシンが手に入らずに、イワシで代用しました。ご飯のお供、酒の友。しょっぱいけれど、旨味が強いので食が進みます。いうなれば、日本のアンチョビーみたいなものです。

 刺身用のイワシを3枚におろして、立て塩で水さらし。水気を切って、小口切りにして、甘酒と塩、赤トウガラシの輪切りで和えて、空きビンに詰めて3週間置きます。
 甘酒(米麹)が、発酵を促進してくれるので、3週間目くらいから食べ始めることのできる切り込みです。塩分は10%くらいにするといいでしょう。長く保存したいときは15%くらいがいいかな。長く置くほどに発酵が進み、うまみが増します。半年以上、できれば1年以上たったものがメチャ美味しいです。でも、その前に、いつも全部食べちゃうけどね…。冬に作る時は、市販されている数の子も入れると、味と歯ごたえのアクセントになります。
 甘酒の用意がない場合は熱燗日本酒に麹を入れて放っておくと、麹が軟らかく戻りますので、それを加えます。本当は塩漬けだけでもいいのですが、塩だけですと塩辛くなりますし、その分(塩慣れさせてうま味を出す時間)発酵期間が長くかかります。
 ナンプラーもイワシで作ります。丸ごとのイワシ2〜3に対して塩を1で配合します。重石をのせて数か月から1年間ほど常温に置いて発酵させます。発酵と同時に魚は好気性バクテリアや自己消化酵素で身を溶かし、液体化し始めます。それをろ過したのがナンプラー、つまり魚醤です。

 切り込み作りもアンテョビ作りもナンプラー作りも、基本的には魚の塩漬けなので、作り方は似たようなものです。魚の塩漬けをコメの糠やご飯に漬け込んで発酵させたものが熟れずしです。

 北海道から新米が送られてきて、やっと新米の初物にもありつきました。温暖化のせいで、北国の米も美味しくなったねえー。ますますご飯が進みます。