シュウパウロー

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 あの有名なモンゴルの「塩ゆで羊肉」です。骨付きや筋張った部位を使って作ります。(今回、私はレッグと背肉を使いました。)羊たちを食べる冒険は、中国から、またモンゴルへと里帰りしたのです。
酢、醤油、酒、(各同量)を煮切り、みじん切りにんにく、しょうが、コリアンダー、ナンプラーで味を調えたタレをくぐして「いただきます!」です。ごくっ。

世の中にこんなにも美味い羊肉料理があるのか!と思えるほど、おいしいんです。料理法はいたってシンプル。塩と水で煮るだけなんですけどね…。このようなシンプルなものが、本当は一番ウマイ。

シンプルゆえに、煮た汁も肉も、他の料理に転用できます。このシュウパウローの一鍋をラムチョリー(パキスタンの豆入り羊カレー)や、アイリッシュシチュー(ジャガイモ、ニンジン、玉ねぎを加えて煮るアイルランドの肉じゃが)や、麺料理(うどんやラーメンなど)に転用します。(モンゴルからパキスタン、アイルランド、シンチャンウィグル自治区・・と、なかなか忙しい食の旅です)。

シュウパウローの作り方。私のは本場モンゴルとは少し違って、日本人向けです。やはり、肉そのものが違いますでしょう。愛情込めて育てた家畜を自らの手でほふり解体して食にするモンゴルの人々。育てることも、ほふることも、解体することもなく、お金で店から冷凍肉を買ってくる私たち。得る肉質も、食の本質も、本質的に違いますよねえ…。でも、まあ、生き物の命をいただいて、自分の命につなげていることには変わりありませんが。
このような料理をしていると、素材がシンプルな分、生き物の命の名残りをしみじみ感じます。食はいのちです。いのちをいただいております。わたしゃあー、肉食が不浄だの、残忍だの、体に悪いだのといった、ちゃちな偏見やセンチメンタリズムや健康志向は持ちませんがね…。野菜も穀物も魚も肉も、どのみち他者のいのちをいただいているんですからねえ。どのような素材であれ、食べ物づくりに対するある意味での厳粛な気持ちと感謝に変わりはありませんですよ。

屁理屈は、まあ、どうあれ。私のレシピを記します。

骨付き肉1k、水3リットル、塩大匙1と半分、酒1カップ、しょうが薄切り50g、長ネギ1本、ローリエ1枚、白コショウ小さじ1

作り方。
まず、肉を流水でよく洗い、血や汚れを流す。鍋に肉とひたひたの水を入れて煮立て、ざるで一度ゆでこぼす。ざるの中の肉をまた流水でよく洗い、アクや汚れを洗い流す。以上の下ごしらえが済んだら、大きな鍋に上記の材料を入れて、弱火で3、4時間煮る。途中、浮き上がってくるアクや脂を何度も取り除く。

下ごしらえをすることと、塩以外に酒など他の調味料を加えることと、骨と肉が離れるくらいまで、弱火で長々と煮ることが、少し本場のレシピとは違うかもしれませんね。(冷凍肉はこのくらいの下ごしらえと長時間煮込みをしなければ美味しくできあがらないです)。

シュウパウローからの転用料理は、機会があれば後ほど掲載します。(が、転用する前に全部食べちゃうかもしれない…。あしからず。)当パン教室はここのところ、羊料理に染まりつづけております。(原稿書き終えたら、羊肉料理も一段落することでしょう。道連れを許してちょんまげ)。