暑さにメゲながら、パオズ

 羊たちを食べる冒険も、ついに中華点心に突入。もう、こうなれば、食っているのか食われているのか、自分でも分らなくなってくる…ほどに、暑い!

 中華点心のパオズの起源は、モンゴル料理のボウズ(羊肉の蒸し餃子)である。ボウズは無発酵の小麦生地で作るけれど、パオズは自然発酵の老麺生地で作る。

 さて。これぞ、私の真骨頂。

 老麺とは何ぞや?これは、当教室の自然発酵の酵母パン種である。長い期間、小麦粉と水だけを混ぜ合わせ続け、空中バクテリアの野生酵母を増殖させて生み出す古代オリエントの叡智。それが老麺。生み出すのも、維持管理するのも、手間暇かかるので、今では作り出せる人も維持している人も稀少だ。現代人は、たいがいイーストのパン生地で代用している。まがいものよ去れ。わしゃあ、あんた、あのね、古代オリエントの叡智に執着する。(何の意味と価値があるのかは不明である)。

 パオズの生地は自然発酵種の平パンの生地(前回のブログの平パン)でございます。あのピタ生地で羊肉の餡を包んで蒸しあげたものがパオズ。ただし、パオズにする場合、包みやすいように薄力粉と強力粉を半々にブレンドする場合もある。(今回はそうした)。餡(=具)は肉とは限らなくていいのです。ナス味噌や小豆の餡でもいい。でも、どういうわけかモンゴルのボウズに敬意を表して、今回は、いや、今回も、羊肉を使った。(何の意味と価値があるのかは不明である)。

 8日の酵母パン教室は「本格派・老麺パオズ!古代オリエントの叡智!」が、テーマだな。しかし、中華点心というよりは、蒸し器から立ち上る熱気に耐えうるか否かの我慢大会が、真実のテーマである。もう、こうなりゃ中身の具なんざあ…何でもいい。
 あんた、あのね、わしのパオズはホンマに旨いんだよ。知らんでしょ、ホンマモンの老麺パオズを。有名どころの豚まんつーたって、今どき本物の老麺使っているところなんざあ、本場の中国大陸ですら、ほとんどないんだよ。(少しはあるらしいけどね)。

 ボウズを油で揚げればホーショル、陸続きで考えれば、ロシアのピロシキ起源も、もしかするとホーショルかもしれん。地球に広がる広大な大陸、世界の食文化のルーツを狭い台所で考える。夢は果てない。しかし、現実は尽き果てている。
 どこか金持ちの食品プロモーター会社の社長はん、わしを買い取ってくださいませんでしょうかねえ。