ライ麦パン

 ライ麦粉で生地を作り、ライ麦パンとして焼きあげるには、サワードーと呼ばれるphの低い酸化種が必要になります。サワードーも自然発酵種のひとつです。
 サワードーの作り方は、当教室の種起こしとよく似ているのですが、小麦粉ではなくライ麦粉を使って行います。また、酸度を強めるために、うちの種とは違い、温かい場所に置いて、酸っぱくします。(当教室の種は酸っぱくしたくないので保冷です)。
 サワードーをベストの状態で起こして、そして、維持するのは、なかなか大変なことです。

 普通、ライ麦パンは種にサワードーを使わなければ、いくら焼いても生焼けのようなべたつくものになります。これはペントザンと呼ばれる成分がライ麦粉にとても多いせいです。ペントザンの水とくっつきたがる特性に対処するため、サワードーが必要になるのです。

 当教室のパン種の特徴は、どんなパンでも焼けちゃうことです。
で、ライ麦粉100%の生地でも、サワードーを使わずに焼けてしまうわけです。サワードーを作る手間暇が不要なので、ライ麦パン作りにはかなりラクです。

 ライ麦粉の配合は100%でも80%でも50%でも、好みの配合でよいのですが、ライ麦粉配合の多いものは捏ねたらすぐに一次発酵と二次発酵を兼ねた30度の保温を行い、そのまま焼成します。
 普通、小麦パンは一次発酵、つぶして成形、二次発酵の過程を経て焼成に入りますね。これは、小麦粉のグルテンを最大限に刺激して、うまみや焼き上がりのボリュームを出すためです。
 ところが、ライ麦粉にはグルテンがありません。ですから、ライ麦粉の生地は捏ねたら、即、成形して発酵、焼成することができるのです。でも、小麦粉を半分くらい配合する混合パンは、小麦パンと同様に、一次発酵、二次発酵を行うほうが美味しく仕上がります。
 配合率はどうであれ、ライ麦パン(ライ麦粉50%以上)のときは「一次発酵だけで焼いちゃってもいいよ。」という話になるわけです。ちなみに、小麦パンだって、一次発酵だけで焼いてパンにできちゃうんだけれど、不味いのよね。粉っぽい味で、発酵風味に乏しくて。ライ麦パンの場合は素材(ライ麦)の個性的な味の強さで美味しくできるのです。

 ということで、今週のパン教室はライ麦パンなのですが、一次発酵だけで即、焼きあげたい人は、ご自分の手持ちの型(半斤くらいのサイズ)をご持参くださってもいいです。(忘れたらうちのを貸します)。