ティヒナソース

 夏野菜、夏の畑からの恵みがあちらこちらから、どっさり届く。ありがたいことです。畑で汗を流すこともせず、土に染まることもないままに、おいしい野菜をいただけるなんて。(あーあ、こんなことでは、バチが当たりそうです)。

 足の速いナスは、酸味とにんにくをきかせたティヒナソースにしています。

 これは中東のソースで、白ゴマペーストと焼きナスの皮を取り除いた中身をベースに、塩コショウ、レモン汁、すりおろしにんにくで味付けしたものです。ピタブレッドサンドイッチのソースにしたり、ケバブサンドにはさんだり、生野菜サラダやゆで卵にたっぷり添えたり…などなど、マヨネーズ代わりに使います。好みで酢醤油やポン酢をまぜくわえてもいいのです。(そのほうが、日本人の口に合います)。マヨネーズよりも、ヘルシーかもね。カロリー的にも栄養的にも。この前は焼きナスにたっぷりかけて、Wナスナス。
 大きめののナス3本に対して、練りゴマが100gくらいの配合で、ネチネチと捏ねます。(好みで変動させてください。なすが多いとさっぱり味、ゴマが多いとクリーミーです)。
 夏野菜が本当に美味しい季節です。毎度同じパターンのサラダドレッシングに飽きたら、たまには中東のソースなど、いかがでしょうか。

 ファラフェル(ガンバンゾー豆団子のフライ)にかけても合います。ファラフェルを作るのが面倒な場合は、豆腐の厚揚げにかけても美味しいよ。豆系のものとも合うソースですから。

 暑さにもめげずに、「羊たちを食べる冒険」レシピ作成を続行中です。このソース、羊肉料理にも合うのよねえ。

 尽き果てぬ夢の古代オリエント小麦地帯。どういうわけか小麦食文化圏の肉料理は羊が多いのです。中国西域(シンチャンウィグル自治区地帯)や、モンゴル。果てはパキスタンやトルコ。私のパン種と同じパン種でエスニックな平パンを焼く地域。赤の他人とは思えない。
 焼餅(シャオビン)とか、ナンとか呼ばれるパン。パン種は老麺(ラオミャン)。羊の脂がジュージュー焦げる匂いと、平パンが焼ける匂いが似合う乾いた大地。ここ、東京には似合いそうにないけれど。
 似合わないけれど、これからシシカバブをジュージュー焼いて、デジカメ撮影します。そして、ついでにパンも焼きながら、古代オリエントとシルクロードに、尽き果てぬ夢とロマンを馳せます。(私は「羊たちを食べる冒険」の原稿に、自分のパン作りもちゃっかりと書きこむつもりでいます。今や、そのための羊食いじゃ!羊は古代よりスケープゴート、いけにえでござる。羊たちよ、わらわのパンの生贄となっておくれ)。