秋のパイ

 自宅籠城(籠城などと申すよりは雪隠詰めと言うべきであろう)している際に、モンモンと一人レシピを編み上げて、料理教室再開の準備。

 「壊れにくい折り込みパイ」を秋の料理に仕立ててみました。実は、このパン種を加える折り込みパイ生地、仕込んだら必ず翌日までには焼成に入らなければいけないというわがままモノです。(普通の折り込み生地なら数日間は放っておけます)。なぜならば、悠長に放置しておくと発酵が進み、パイ生地ではなくクロワッサンみたいなパン生地になっちゃう!のでございます。なかなかせっかちなパイ作りになるのです。(まあ、クロワッサンになってしまったら、それはそれでクロワッサンの成形を行い、クロワッサンと呼べばよいだけです。→あくまでもいい加減なやつである)。

 パイ生地はお菓子のみならず、料理に幅広く転用できるので本当に便利な生地です。その上、ソース類、ペースト類、ムース、パテなどでいろいろ遊べます。これほど楽しい秋の料理はありませんね。

 さて、本日ご紹介するのは簡単に作れるタプナードと、市販の魚すり身を利用したムース。
 タプナードは黒オリーブ、ケパー、アンチョビをペーストにしたソースです。黒オリーブ、100g、アンチョビ5〜10枚、ペパー30g(一ビン全部くらい)をフードプロセッサーに入れて粉砕します。それをボウルに中に入れて、オリーブオイル100cc〜好みで200ccくらいを少しずつ泡たて器で撹拌して仕上げます。いうなればオリーブとケパーを卵黄に見立てたマヨネーズ作りと同じです。マスタード、塩コショウで味を整えます。オリーブの収穫便りが届く秋です。新モノの実とオイルを使えれば最高なのですが…。
 魚のムースは鍋物材料として市販されている「白身魚のすりみ」を活用してもいいのです。ボウルにすり身150g、卵1個を入れて泡たて器で滑らかになるまで撹拌します。生クリーム120〜150cc(好みで加減)を加え、もったりするくらいまでさらに撹拌します。パイレックスなどの耐熱容器に入れて、茶碗蒸しの要領で15分ほど蒸して仕上げます。今回、私は魚のすり身120g、かにのほぐし身130g、卵2個、生クリーム200ccで作りました。(レシピの数字と材料はいろいろ変化させています)。
 写真、手前、左がきのこソテのベシャメルソース、その右がレバーペースト、奥左がスモークサーモンのサワークリーム和え、中が白身魚とカニのムース、右側がタプナードです。タプナードはパンに添えるほか、ゆで卵や蒸し野菜、生野菜のソースとしても使えます。シーフードのムースはココットなどの器で作って柑橘系のソースを添えると
オードブルの一品となります。
 夏の間は和食一辺倒だったのですが、秋が深まると同時に「二重人格味覚」のように、急にバタ臭い料理が作りたくなるのです。体が冬を迎える準備をしているのかもしれませんね。北海道人の血が騒ぐのです。とたんに油脂や動物たんぱく質の使用に突入します。写真の料理のソース、ムース、ペーストなどは全て長期保存がきくように、空き瓶で作り、脱気状態にして作り置きしています。