塩仕立てモツ煮込み開始

 火事場の検証も終わり、静けさの戻った現場からです。

 気を取り直して料理開始。

 「い志井」のあんちょこを参考にしたモツ煮込み塩仕立てです。

 あんちょこ通り、シロモツを何度もゆでこぼしました。あんちょこによると、30分煮てゆでこぼし、水洗いを3回繰り返す…のだそうです。

 が!が、私は他人の書いた本の数字を絶対に信じません。(なぜならば、料理人というものは、自分のカンと腕と舌を信じているのであり、数字を信じているわけではないからです。数字を無理やり書かせているのは、出版社の編集者です。しょうがないので、最大公約数的に、当たり障りのないことをテキトーに書くだけです。つまり、数字はあくまでも、メドていどのものです。)

 私は、シロモツのゆでこぼしと水洗いを「ざるにモツをあけた時に、モツの臭みが立ちのぼらなくなるまで」何度もゆでこぼしてみました。(こんなことは、あんちょこには書いてないけど)。

 もう、このままでも食べられるほど、臭みもクセも脂もありませんよ。

 時間も回数も記憶にありませんね。匂い、味、噛み応え、手触り、全て自分の五感の感覚だけが頼り。ここで数字を考えたら、そのぶん、感が鈍ります。

 で、あえてレシピを書けと言われますならば…。30分煮て、ゆでこぼし、水で洗うことを3回繰り返す…とでも書いておきますわ。ホントのことなんか書いちゃ、レシピになんないもんね。ウソ書きますわ。

 さて、ここまで下ごしらえしたら、味付けなんざあ、赤子の手をひねるようなものですぜ。塩だろうが、醤油だろうが、味噌だろうが、素直に上味がききますよ。

 薬味の隠し味は、ショウガ汁、白コショウ、長ねぎ、白醤油が各少々。酒多め、だし汁ひたひた、水を随時足しながら柔らかくなるまで煮込んで塩で味を調える。

 火当たりが柔らかく、蓄熱性の良好なホッチ鍋(土鍋)を使いました。長時間の煮込みものは、ポトリーに限る。土という素材は素晴らしい仕事をします。

 塩仕立てのモツ煮込みをベースにして、ホルモン鍋や肉じゃがを作るんです。ですから、このモツ煮込みが基本。

 これさえ美味しく煮上がれば…。ただ今、煮込みの最中です。

 事の顛末は後日にでも。