こちらは、白いちじく等のドライフルーツを入れずに、プレーンな生地を焼き上げたものです。
フルーツが入るだけで、生地の様子が大きく変わるんですねえ。
ずぼらこいて、中種は6日目(タイムリミット!残り物!)のものを30%。それでも、健気にパン・ペイザンとして焼き上がってくれたね。
昨日の仕込みの時間が遅かったので、その日のうちの焼成を諦めて、一次発酵生地を冷蔵庫で一晩おねんねさせてしまったわ。
今朝、取り出してみたら、(6日目の古種のくせして)発酵過多の様相は呈していなかったので、一か八かの成形、短めの常温二次発酵(26度の室温で1時間20分)、そして焼成。あら、大丈夫じゃん。(焼成が無理な発酵過多になっていたら、そのまま中種にしてしまおうというつもりだったのです)。
天日干しの白イチジクの吸水の高さに振り回された1週間でした。その上、ライ麦粉と全粒粉も(中挽き使用)、一次発酵中にかなり、吸水する性悪連中です。
そこで、吸水対策として、粗挽き粉並みの扱いをば…。
先ず、粉類(ライ麦75、全粒粉75、フランス粉150)を77%水分(230cc)で粉切れさせて、そのまま1時間ほど放置。
こうすることで、中挽きの吸水高い粉が、水と仲良くつながり、粉の粒子も吸水してくれるわけです。
(1時間以上置く場合は、冷蔵庫の方がいいよ。今の季節なら、常温に8時間くらい放置しておくと、種入れなくても勝手に自然発酵して気泡が立って来ちゃうから。これは自然発酵種の初期発酵と同じで、酸味があるので、不味いです。ですから、長い時間置く場合は、冷蔵のほうがいいですよ)。
粉類が吸水した段階で、中種(できれば4日目のものの方がいいね。6日目のものは風味深いけれど、窯伸びの力に劣ります)150g(50%から30%)、塩小さじ2を加えて捏ねます。
粉がすでに吸水してつながっているので、全体がよく混じる程度まで、数分ほどの捏ねで済ませます。(ライ麦粉が入っているので、絶対に捏ね過ぎないでね。「え、たったこれだけの捏ねでいいの?」と思うほど、短く切り上げてください)。
ドライフルーツは、最後に混ぜ込みます。
ドライフルーツ(白いちじくとレーズン)を30分ほど浸水した後、水気をよく抑え、いちじくは食べやすい大きさにカットします。好みの洋酒(ワインなり、ブランデーなり、ラム酒なり)少々を振りかけて、ひまわりシードも混ぜておきます。
フルーツは、やはり、150g(50%)くらいの配合がラクです。
フルーツの吸水を考慮して、パン生地そのものは、かなり緩めです。ですから、発酵開始の1〜2時間のうちに、2,30分に1度くらいの割合で、3,4回ほどパンチ入れをして、生地に力をつけて窯伸びを図ります。
捏ねが少ない分、そのあとに手がかかるわけよ。まあ、汗だくになって長い時間捏ねるよりは、こちらの方がラクですけどね。
パンチで、力を増強させておかないと、焼き上げたときに、スリッパみたいに底広のパンになっちゃう場合がありますので。(ですから、面倒でも、一次発酵前半のうちに、3,4度のパンチをば、お願いいたしますよ〜。)
ライ麦と全粒粉の配合で、発酵がやけに早い日もあります(=高温多湿の時期)。わざと遅らせるために、冷蔵庫にしばし、預け入れしておくことも、これからの季節は、しばしばです。(私、昨夜がそうでした。んで、朝まで…。)
一晩(就寝時間)の保冷には耐えましたが、長すぎる保冷(16時間以上)は、あまりお勧めできません。(特に、未発酵の生地)。
一次発酵未然のものを長時間、低温状態に置いておくと、(自然発酵種を使用した場合には)、本来の風味以外の匂い(酒粕に似た臭い)をつけてしまったり、phが下がりすぎて、酸味が着いてしまったりすることが起きます。(起きない場合もありますが)。
ですから、このプレーンなパンは、全てのステージで、かなり極限ギリギリのことをやって仕上げたものです。(ドライフルーツを入れていたら、失敗したかもしれないほどのギリギリ条件でした)。(そうです。フルーツを入れることで、同じ生地でも、違う生地になってしまうわけです)。
粉と水を前もって混ぜ合わせて吸水させ、つながりをよくしておいたお陰で、古種(古過ぎじゃっ!)、水分多めの緩い生地、長時間発酵でも、ダレずに、素直に窯伸びしてくれました。
教室用には、ちゃんと4日目種を用意してございますので、どうぞご安心を。粗挽き粉やグラハム粉などを日々のパン作りに使ってみたい方もおられるかもしれませんので、今回は、予め粉と水をしとらせたものを準備しておきます。
このやり方は、(粗挽きなどで)吸水判断の難しい粉や、あまり捏ねてはいけないパン生地づくりに役立つのです。よーく捏ねるパン生地よりは、たくさん捏ねてはいけないパン生地づくりの方が、実は各段に難しく、ハードルが高くなるのですわ。まあ、詳しい話は、お教室にて。