保存のきく乾燥粉末パン種

 明日月曜日は、本のゲラの打ち合わせ。明日、更新できるかできないか分からないので、今夜、更新しておきます。

 これは保存のきく水分の少ないパン種です。

 変に勘違いされたり、安直に悪用されると困るので、長年教室に来ている信用できるごく一部の人の、万が一の場合に限ってしか、詳しく教えていませんでした。

 普通、パン種は、生種の状態で維持するように指導していますが、時と場合によっては、生種では不都合を生じる場合があります。

 たとえば、このご時世。長期間の海外仕事や海外滞在の生活を余儀なくされて、丸一日かけて飛行機内の常温で、パン種を移動させなければいけない場合など。(時間のかかる船便荷物には同封しにくいものです。)

 急な出張や仕事の忙しさで、長いことパン種をお世話できない状況になる場合など。(種継続などやっているヒマはありませんよ。)

 そのような時には、私はこの「乾燥粉末パン種」手法で乗り切ってきました。

 新しい元種(または中種、またはパン生地)100gに対して、粉150gをサブレします。軽くサブレしたものをフードプロセッサーに10、20秒ほどかけると、ごらんのように粉砕された粉状のパン種になります。(出来上がり量;250g)。

 水分が少なくなって、インスタント乾燥状態になり、発酵が抑制されるので、長期保存が可能になります。

 たとえば、この乾燥パン種100gに、水を50cc混ぜ加えて柔らかくパン生地状態に捏ね戻し、発酵させると、150gの中種になります。

 なぜ、このようなものを考えだしたかと言いますと、実は昔、私は自分のパン種の販売を考えていたからです。一般販売されているメジャーな粉末酵母パン種のように、広く流通販売させることのできる方法を(あさはかにも)考えていた若かりしころでした。

 販売できないから、広く普及しないのだと焦っていました。販売するには、生種では絶対に無理です。変化しない保存性の良い状態にしなくては、流通(一般販売)は無理なのです。

 でも、あとからすぐに気がついたことですが、保存(維持)が簡単になっても、やはり、そのあとの酵母パン作りは、イーストパンの人たちにとっては、なにも簡単ではないのですね。振り出しに戻るだけです。逆に、酵母パンづくりを安直なものに勘違いさせちゃうだけだな…とおもって、商品化をあきらめました。

 でも、たとえばこれ、サブレ作業が必要な「スコーン」や「ビスケット」などのお菓子作りにも活用できるのです。

 教室の状況を見ながら、少しずつ「門外不出の極秘パン種操作法」も、教えていこうと思っている昨今です。パン作りというよりも、お菓子作りのほうに、かなり役立つんですよ、これ。

 安直に「ネット販売」なんかに流用されたら、とても困りますけどね。まあ、うちの教室の人たちやブログのパン作り仲間の場合は、絶対に、そんなことはありませんがね。

 でも、注意深く、じょじょに、教えていこうと思っています。