豆味噌麹の醤油漬け(野菜入り)

 ここのところ、調子こいて作り続けていた豆粒状の豆糀(味噌麹)で、醤油漬けを仕込みました。豆糀は完成するとウグイス色のカビに全体がおおわれます。最初は白、次に黄色、最後は全体がウグイス色(くすんだ緑色)、これがカビの順序ですよ。農文協の本の豆味噌作りの一文に「青いカビが生えたらOK」というような表現があるのですが、危険な記載だと思います。たぶん、農家からの聞き書きで、そのまま素直に編集してしまったのでしょうね。
 私の実験では、わざと発酵を遅滞させる措置をとったものには、ある日突然と青いカビが生えてきます。これはウグイス色ではなく、まさしく青かびです。豆糀の菌からの出芽するカビの色でも匂いでもありませんでした。日本語は緑色を青と表現するケースもありますよね。「青いカビが生えたら〜」という表記に絶対的な間違いだとは思わないのですが…。でも、全く知らない人が、実用書とカン違いして初めて豆味噌作りに挑戦し、正常で迅速な発酵に持ち込めずに、ある日突然「青いカビ」が生えたのを見たら「やった!やっと青いカビが生えて豆味噌麹ができあがった」と思うのではないでしょうか。経験者ならそれが豆糀のカビではなく、正常ならざる異常事態のカビであることにすぐ気づくのですが…。そのようなもので味噌を作れば、カビ臭い味噌にしかならないでしょう。危険ですらあります。
 豆麹のカビは決してカビ臭いものではなく、強い旨味成分を持っています。薄切りにして軽く干した野菜(人参、大根、ごぼう、ヤマゴボウ)と共に豆糀を醤油漬けにしました。たかが豆につくカビから、なぜこんなにも強い旨味やコクがでるのかは分かりませんが、ともかく豆糀というものは恐ろしくなるほど強烈な旨味だしの役目を担います。仕込んで幾日もしないうちからすでに美味しいのですが、2,3週間寝かせると、もっと旨味が増します。
 豆糀が手軽に購入できる地域に住んでいる方はラッキーですよね。わたしなんざあ〜自分で作らなくては食べられないんですから。しかも、時々(と言うよりは、しばしば)失敗して納豆にしちゃうんだから。

 はあ〜…。こんなこと書いていないで締め切り原稿でも書くべ。

麦糀の完成

 撮影用の麦味噌を仕込むために、3日間前から麦(押し麦が300gくらい残っていたので)の糀を作っていました。三日目の本日、完成。
 これは「とも麹」のやりからで、米麹が180gくらい冷蔵庫で眠っていたので、蒸した麦と、その米麹を混ぜ合わせて暖房の側に放ったらかいておき(作ったというよりは)できあがるものです。菌を種付けするより、ずっと簡単にできあがります。教室やめると同時に経済破綻決定。これからどうやって生活していけばいいのか分からないけど、まあ、なんとかなるべ〜。(いえ、なんとか、せねば。)たくわえなんか10年前に底つきちゃってるしさー、ああ、凄絶なその日暮らしの人生。本なんか書き続けるから貧乏になるんだよ。これは天罰である。
 本日はこれから自然食通信社の編集長女史らと打ち合わせ。その次の日は残り少ない日々のきょうしつ。で、新聞の原稿の締め切り。で、その後にすぐ雑誌の撮影。で、そのまま梅の本の入稿。その合間合間に「日本のお豆さん」自分の本の原稿書き。寝てないのよ。くそ忙しくて。それなのに、ああ、それなのに、なんでえ〜経済破綻するんだべえ〜。

 さてと、編集長女史が来る前に、醤油麹の仕込みでも一発頑張って済ませておくとするか・・。この際、自棄(やけ)になり醤油まで作って…来る発酵食教室設立開始に向けるのでございます。

 人生、頑張れば報われるというものではありません。頑張れば頑張るほどに、下へ下へと落ちぶれてゆく人間もいるのです。でも、手作り味噌も手作り醤油も美味しいよ!

三色豆おこわ

 「パン教室なのに飯写すな」とか、言われそうですね。すみません。連日、豆料理の写真ばかりを撮っているもので…。今週のパンの掲示をしなければいけないときなのに、「あれ…。パンって何だったっけ」とか。

 黒豆のおこわは不祝儀のときのご飯なのですが、でもね、美味しいのよ。白黒の不祝儀のイメージを無くして作るといいのです。蒸した黒大豆、黄大豆、小豆の三色を使い、もち米には黒米少々を加えて赤紫色にして。こうすると、不祝儀のイメージがなくなるでしょう。

 もち米2合を研いで水に1時間ほど浸し、ザルにあけます。鍋に、もち米と前もって柔らかく炊いておいた黒米を30gほど入れ、水150ccを注ぎ火にかけます。煮えが立つと、米が吸水して水気がなくなるので、こげつかせないうちに火から下ろします。蒸し器の上鍋にふかし布を敷き、米と蒸し豆120gをのせ、湯気の立っている蒸し器で20〜25分蒸します。

 中華おこわみたいな作り方ですと、長い時間米を浸水しなくても作れます。前もって、もち米を水煮してから蒸すのがポイント。これで、ふんわりもともち充分美味しいおこわが蒸しあがります。

 豆はもちろん1種類だけでもOKですが、三色入ったほうが華やか。不祝儀どころか、行楽弁当とかお祝い膳にも向くご飯になります。

 で、今週のパンはまだ考えていないのよ。

ごぼうの醤油漬けにもマメ

 「豆づくしー日本のお豆さんー」料理本の原稿を起こしている最中なので、かなりしつこく豆まめマメが続いております。もう、目にも耳にも手にもマメができてしまいそうでしょう。日本のお豆さん、大豆や小豆の効用は広く認知されるものとなりました。納豆、豆乳、ニガリで固める豆腐、黒大豆…。でも、市販品を買うよりも、自分で手作りするほうが、その魅力と効用をもっと深く広く自力で隣地することができます。せったくの「大衆認知」。一過性のブームで終わってもらいたくはないものですね。テレビが消費だけを煽るのはほめられた話ではない。消費よりも国内自給、そして、個人が何かを作り出すことをすすめりゃあいいのにねえ…。

 さて、ブツクソ文句はこのへんでやめておき、本日はごぼうの漬物。写真はごぼうと言っても山ごぼうで、モリアザミの根です。三杯酢をアチチチに熱したものを軽く塩漬けにした生の山ごぼうに注ぎいれて、漬け込むものです。かりこりとした歯ごたえと、ごぼうの良い香りがして、私はごぼうの漬物が大好き。作り置きを切らせることはあまりありません。

 で、ですね〜。この仕込んだものが人肌に冷めたあたりに…。例の味噌糀、つまり蒸し大豆にマメ味噌菌を種付けして豆糀にしたものを加えるのですよ。すると、1ヶ月くらいすると着け漬け床が味噌っぽい味になり、醤油味噌漬けのような状態になる。写真のものは、まだ1ヶ月たっていないので、食べごろはもう少し先。写真右側は仕込んで2日目の豆糀。カビがそろそろ増えてきたものです。これも完成はあと2,3日先です。全部がカビで覆われて緑色になるまで、です。
 この豆糀が、漬物作りになかなか役に立てくれるのですよー。(その上、豆味噌仕込みにも使えて、味噌玉の中にカビを数日で生やしてくれるし。)特に、味噌糀の醸しだす味噌風味とごぼうの組み合わせは最高です。
 豆糀は今が一番作りやすいとき。時期的には2月、3月が最適だと思います。出来上がったら、少し取り残しておくと、次の豆糀作りの元種、つまり種の菌にもなります。ね、うちのパン作りと同じでしょ。

乾燥味噌玉の長い旅路

 さて、話は戻ります。乾燥法で放置されている味噌玉は1週間近くたとうとしています。干す期間が長くなるので、気休めの埃よけよしてネット付きの干し網に安置しております。(だから〜、気休めだってばー。こんなもので埃が避けられるわけないじゃん。せいぜいハエなどの虫除けになる程度ですよ)。…〜だから〜、…ネットなんて無くていいのですよ。もし、神経質になるのでしたら、本仕込みの塩漬け間際に味噌玉の外側を流水で洗い清めればいいだけの話です。

 乾燥という、その過程すらも定まらぬ長い旅路に出た味噌玉は、遅くても2ヵ月後には「塩漬け」という港に寄港して安らぎます。だから、大丈夫。でも、その先には「豆味噌」になるという長い旅路が、またまっているのですけれどもね。どのみち、先を急ぐたびではありません。ゆっくりと、ゆるゆると、時間が流れるのを待ちましょう。

 発酵食を生み出していると、なんていったらいいのかなあ…本来的なイキモノとしての本当の時間というものを抱擁している気持ちになります。無理とか、頑張りすぎとか、…してはいけないのね。本来的な時間からはみ出して先に行こうとすると、必ず失敗や危険が待っている。
 目に見えない微生物の世界が「あなた、何か、まちがっているんじゃないの〜」とか、…ふと、いろいろなことを教えてくれる。

 でもね、そうこう、のんびりもできないし。

 上弦の月。如月五日月の夜です。三日月から少し肉付きのよくなったお月様。味噌玉は新月・朔の夜の日に仕込みました。新しく生まれてくるお月様と目に見えない小さな命を結び付けたくて。生徒には言えない私の中の時間の流れ。でも、今年からは教室のみんなとも、そんな時間を共有したいなあ…と考えました。

 今月一杯で今までの教室は修了。でも終わりの終了ではありません。月ごもりになり新月になり、またお月様が」出てくるように、生まれてはそだち、成熟して消えて…。そして、また生まれてくるようなお月様みたいな教室になりたいです。

 今月(三月)31日(金)は、太陰暦でいう本来的な上巳、つまり桃の節句。お雛様です。私はこの日に、今まで10年間続けた「自然発酵種の酵母パン教室」を終わりにします。そして、同時に次の新しい教室を開始したいです。その夜は(陰暦3月3日なので)三日月夜です。

 三日月お月様が応援してくれますように。

糠にマメ

 3月に入り、温かくなってきたら糠みそ漬けを再開します。冬の間、手入れせず休眠させていた糠みその中の菌たちを目覚めさせる時期です。

 で、…こいつらが、なかなかお目覚め遅いんだなあ〜。糠みそに比べると、ウチの娘などは本当に寝起きの良い子だったなあ〜。

 まず、糠床の上のほうだけを取り除いて(捨て)、糠、塩、水分を足してよくかき混ぜて、塩分と水分の調整を行います。(ほどよい塩加減と固さを回復させましょう。)

 さて、その後です。私は糠床の復活材料として、酒粕を混ぜ加えるのです。糠床1kに対して5,60gくらいだから、大量ではないのですけれどもね。酒粕が、死んだように眠っている糠床の元気を回復させるのに大いに役立つことに気づいたのは近年です。これを入れると、居眠り糠床はメキメキとお目覚めになる。酒粕はイキのいいやつをしんちゃんからもらった。(美味しい酒粕だった。娘が甘酒大好きなので、甘酒も作りました。)糠床のイキがよくなるからと言って、調子に乗ってたくさん入れすぎると、糠漬けではなく粕漬けみたいな漬物になっちゃうから気をつけてね。
 そのあとは、鰹節やアゴ煮干、昆布や唐辛子などの旨味だしを適量混ぜ加えます。鰹節やアゴなどの動物性だし材料は旨味も強いけれど、その個性も強いです。使いすぎてしまうと「あ、鰹節の味」なんて、隠し味がばれてしまう。これは、ちょっと悔しい…です。

 そこで、マメ。蒸し大豆なのですよ。大豆は働き者で、陰役者として旨味だしの役目も果たすのです。春味噌仕込みに用意した大豆を一握りか二握りほど、糠床の中に混ぜ込んでみてください。

 野菜を漬け始めて3,4日目から、とても美味しい糠漬けを食べ始めることができます。(3,4日間は塩なれしていないので、塩気が先立つような味です。その間は捨て漬けをしてもいいでしょう。)

味噌玉を乾燥させる方法

 豆味噌作りは二通りのやり方があるようです。ひとつは前回に掲載したものです、味噌玉の外側に菌を付けて、保温・保湿して外側にカビを生やす方法。これは保温・保湿のせいでカビの育成が早く、味噌玉を作ってから数日〜1週間目くらいで本仕込みの塩漬けに入ることができます。

 もうひとつの方法は味噌玉の中に菌を混ぜ込み、それを乾燥させて中にカビを育成する方法。これは空気の少ない味噌玉の中にカビを生やすので2ヶ月間ほど時間がかかります。カビは空気の好きな菌なので味噌玉の中で繁殖するのも、なかなか苦労がいることでしょう。しかし、外側にカビを迅速に生やそうとして保温・保湿を行うと納豆菌に取り付かれる恐れが増大します。毎度、味噌玉を納豆臭くして失敗する方は、この乾燥法のほうがやりやすいと思います。時間こそかなり長くかかりますが、気を長くして味噌玉に付き合うのも悪くはありません。これは2月か3月に干し始めたら、2ヵ月後くらいの4月、5月くらいに本仕込みの塩漬けに入ります。数日〜1週間目で即、本仕込にはいれるものと、本仕込が2ヶ月も先になるのとでは、どちらがいいか…と、まあ、このような天秤にかけてしまいます。
 私は中にも菌を混ぜ込み、外側にも菌をまぶし、保温・保湿はさほどせずに放任的な作り方をしています。外側にカビが生えてくるもよし。生えてこなくても気長に待てば大丈夫…。という「不確定」で「未定」のカビ任せのやり方です。私にはこれが一番合っているようです。

 写真は干し始めて2日目の味噌玉。(今現在はもっと日がたち乾燥して茶色くなって縮こまっていますが。)干し始めて3,4日後。味噌玉を割って中の匂いを嗅ぐと酸臭がします。これは乳酸菌の働き始めた匂い。乳酸菌が繁殖すると、腐敗の恐れはなくなります。安心して1〜2ヶ月間ほど常温で放置しましょう。

手作り納豆

 ここのところ目の仇のようにしている納豆菌。これが味噌糀に取り付いた暁には…もう…たまったものじゃない。

not never〜! ナット ネバー!という気分になります。(アホ)…・わたしゃあオヤジか?

 枯れ草菌や納豆菌は悪い菌なのではありません。それどころか、とても強い有用な菌です。
 本日は納豆菌の名誉のために、我が家の手作り納豆をのせます。あ、これは味噌糀作りで失敗して「納豆になっちゃった!」ものではありませんよ。念のため。

 市販の納豆1パックが元種です。これを(生)250gの大豆を蒸して3,40度くらいに冷めてから混ぜ込み、40度で半日くらい(9,10時間ほど)保温すると納豆が作れます。実に簡単。納豆菌(ハンズなどでも買える)をわざわざ入手する必要はありません。うちのパン種と全く同じ原理で作ります。納豆菌は空気が好きな菌なので、密閉せず、空気の流通を適度に良くして保温保湿して菌を増殖させます。
 自分で作ると大豆の種類や硬さは思いのままです。私は大粒豆の硬めの納豆が好きです。郷里の北海道納豆はこちら内地のものとは違い、大粒で大豆の味がしっかり残っている納豆でした。本州の納豆はなぜ小粒大豆で作るのかしら?(不明)。

 本日は教室です。黒豆パンです。寒い日になってしまいましたが、お気をつけていらしてくださいませー。納豆臭い(くせ〜っ!)ホイロが生徒の皆様のお越しをお待ちしております。(くっせ〜っ!ヤバイ。なんとか臭いを消さなくては…・。)