鯛味噌ってありますでしょ。あれの鯖(さば)バージョンです。鯛はお味もお姿も、そして、お値段もご立派です。わけあって、わたくしは鯛ではなく、サバやイワシで作りますのよ。サバやイワシでも十二分においしゅうございます。
魚の味噌煮にはやはり豆味噌ですね。米麹味噌や麦麹味噌では、魚の強烈かつ個性的な旨味に負けてしまいます。淡白な味わいの大根、かぶ、こんにゃく、竹の子などの野菜にも、やはり豆味噌。淡白な味わいを引き立てる奥深い底味を秘めているのも豆味噌です。季節がら、柚子味噌や唐辛子味噌なども作りますが、これもやはり豆味噌でなくてはいけません。
しかし、味噌汁には100%豆味噌ではやはり個性的すぎます。米味噌や麦味噌とブレンドした調合味噌がおいしゅうございます。豆味噌はコクも旨味も深いけれど、甘い香り立ちには乏しい。味噌汁の美味しさはお味だけではなく、作り立てにプ〜ンと立ち昇る甘い麹の香りも美味しさのうち。
さて、鯛味噌・・。じゃなかった、サバ味噌でございます。
サバ2尾(正身700〜750gくらい)、豆味噌300g、キビ糖100g、みりん60cc(他に好みで柚子、しょうが、唐辛子などのみじん切りを適量)、水1ℓ
1・サバは頭と内臓を取り除き、筒切り、もしくは2枚おろしにして、半身を4切れほどに切ります。
2・鍋に魚以外の材料を入れてかき混ぜ、煮えを立たせます。サバは皮側だけを油焼きにしてキツネ色をつけておきます(これは身崩れを防ぐためと香ばしさを添えるため)。
3・キツネ色をつけたサバを2の鍋に入れて、弱火に近い中火で、汁気にとろみがつくまで(2時間半ほど)ふたをせずにコトコト煮ます。
コトコト炊きをすると焦げ付くことはありません。ただし、火当りの強いステンレス鍋は焦げ付く場合もあるでしょうから、ゆきひら鍋を使ってください。煮上がったら熱いうちは布巾をかぶせておいて自然に冷まします。冷えてからよそいましょう。(熱いうちなら身が崩れることがあるからです)。ふろふき大根、蒸したカブ、塩茹でした春菊などをサバに添えて、ツヤ良く煮詰まったサバ味噌を野菜にもつけていただきます。サバの煮汁が最高の調味料になって、温野菜も美味しくいただけます。
この田舎風こってり仕上げのサバ味噌、私は大好物なのですが、かなり田舎臭い料理なので今まで教室では出さなかったのね。でも、前回の教室でついうっかり冷蔵庫からこそこそ取り出して(残り物だったのですが)味見させたら、みんな「おいしーっ!」ですって。それでいい気になって図に乗って、明日の教室では堂々と出そうと、本日あらたに作成中なのでございます。簡単だけど時間がかかる。でも、骨まで食べられるのです。その上、メチャ日持ちが良いので、この季節常備菜です。土日など時間のあるときにでも作ってみてください。病み付きの美味しさですから。