今週のパン

 アタのパンばかりやっていて、アホみたいだから、そろそろ今度は別のものを…・と言ったとたん「いや、道を究めましょう。今度はアタでリッチ配合を!」と返してくる教室の人たちはエライ。(輪をかけてアホという悪口も成り立つが。)

 で、極リッチな配合、バターロールの配合でロールパン。やはり巻き上げの成形がやりやすかったです。砂糖は10%(つまり、本配合の300gの粉に対して大さじ3=30g)。
 さほど糖度が高いという生地ではないのですが、やはり高糖度のような焦げ茶色に焼きあがりました。当然、香ばしい。リッチ配合にしてもアタは悪くないね。

 拙著の写真本。写真の画像サイズをもっと重くしないと大きな写真として使えない…と言われて。この1週間ほど、ガッチョ〜ンとショックを受けて暗澹たるきぶんだったものが、昨夜にて解消されました。
 早い話、編集者の「かんちがい」。私のパソコンから自分のパソコンへ試しの画像1枚をメール送付して、それを見てとやかく言っていたのです。後々、私が写真全てをCDに焼き付けて送ったら、デザイナーと二人で開いて見て「大丈夫。ちゃんと重たく撮れている。充分使える」ですって。もともと画像モードを高画質に設定して撮っていたから、もっと重くといわれたときには絶望的な気分になったね。寿命が縮む思いだった。

 しかし、それにつけても…。CD見た段階ですぐにでも連絡くれればよいものを私の方から連絡入れて、昨夜になってから「ばっちり大丈夫。もうすでに編集作業に入っていて忙しい」ですって。ったく〜もー。

 ということで、胃が痛くなるほど心配した写真の件も解決されて、初夏までにはバジリコから梅料理の本、そして自然食通信社からはパンの本が出版される運びとなりました。
 出版業界は冬どころか氷河期のような厳しい状況が続いています。大手ですら書籍を出し渋っている。業種としては「低迷の王者」でしょう。世の実体の無いIT産業はこの現実に目をつけて、今は出版社の買収に乗り出しているらしい。水面下での動きや根回しに奔走しているようです。出版社そのものにダイレクトに掛け合うのではなく、取引銀行を調べだして先ずは銀行に打診したり、とかね。実は私と関わりの深かった社も買収されそうになっていたのだよ。
 出版って、このようなブログの文章と違い、世間に露呈された社会的責任が発生してしまうんですよね。つぶれて全てが無しになるような無責任なおわりかたするくらいなら、身売りして存続を図るのも悪くは無いのかも…とすら思う。
 実体のない虚業であることを一番ヤバク思っているのはIT産業そのものなのではないでしょうか。そこで、金で実体となるような会社を買い取ろうとする。買収しても本当の意味での実体そのものができるものではないのにね。金のために金を金で買うような話。でも、出版界そのものだって、ある意味、伝統ある虚業の老舗産業みたいなものだったから。IT業者をバカにすることはできないのです。
 本を書けば書くほどビンボになる。元締めの出版社そのものが、本を出せば出すほど損をして儲けにならない…なんてぼやくんだから。不動産ころがしたり、広告とったりして、何とかやり繰りしているのが現状らしい。しょせん、虚業の成れの果てか…。

満月です

 しかし、なんど作っても、アタをブレンドしたパンは(手抜きでも)できがいいねえ〜。塩パン。これ一番難しい。でも、これだけは何をどうやっても簡単にうまくいく。

 写真の食パンは寝る前の午後8時くらいに捏ねて、ローソク1個の保温(消えるまで4時間)で、朝まで放置しておいた生地。(塩と水だけの超シンプルな配合)。翌朝、12時間後、生地はギンギンよー!4時間の生暖かい保温プラス8時間くらいの保温無しのほうったらかし発酵。翌朝、しっかり寝坊しながら成形、二次発酵、オーブンにぶち込んだ。
 焼くこと30分。焼き上がり、ピキパキと焼き上がりたてのフランスパンみたいな音を立てながら、どんなに苦労したパン生地より良く焼きあがってしまうの。信じられん!

 まあ、パンなんかどうでもいいんですが、やっとウチ恒例のムーンカレンダー(月暦)を丸井でゲット。これで、私にも新春が来る。

 日本で、西暦が一般的になって、まだ、たったの百十数年あまり。(明治5年とか6年とかくらいから、日本は現在の太陽暦、つまり新暦になった。)それまでは月の満ち欠けが主体の月暦(=ムーンカレンダー=旧暦)。でも、これは日本だけではなく、世界中が元々は月の満ち欠けを基本にした月暦で時空がなりたっていたんだけどね。(今でもイスラム圏はムーンカレンダーらしいよ。くわしくは知らないけれど)。西暦は全国地球上どこでも通用するから便利なのだけれど、でも、食べ物作りには便利じゃないんだよね。
 たとえば笹の葉が無い季節に笹の葉を使う料理とか、桃の花すら咲いていないときに「桃の節句」とかさあ…。ともかく、西暦ではかなり季節感が変でイカレテいるんだよ。変だよなあ〜とか思って。
 それで数年前から旧暦のムーンカレンダーを自分自身の主体的なカレンダーとして使うようになたの。もちろん、常識的な西暦カレンダーも同居させていますよ。(ムーンカレンダーだけで生活したら、ホンマにタダのアホンダラのボケおばさんだからねえー。)
 で、月の満ち欠け(つまり旧暦)に換算して食材をゲットして、本来的な旬や節にそれを作ると、完璧にバッチリうまくいくわけなのよー。「不思議だな」とかおもったけれど、本当は全然不思議なことではなく、実は当たり前のことだったのよねー。

 これ読んでいて、全然意味が分からないでしょう。早い話がお月様とお日様の運行の違いなんだけど。お日様は昼を司っているけど、夜はお月様の世界なんだよね。陽と陰がある。今の暦の運行はお日様だけのもの。サイクルが違うんだよね。

 このようなブログには長々と書けるものではないのでしょう。すんません。

 単刀直入に、ぶっちゃけたことを言うと、例えば今年の月暦による元旦新年は本来、西暦で1月の29日だったわけよ。(つい2週間前くらいのことです。)御月様のペースからすれば、本日は(旧暦)1月14日です。15日は満月になるから明日が満月。望月。(もう、おとそ気分も抜けた14日にもなってしまった。そろそろ新年のカレンダーでも買わなければ…。)と。そのうえ、新たな1日は午前12時に始まるのではなく、旧暦の頃は「月が出た」ときが、翌日の1日の始まりと考えるらしい。つまり、現代人の私たちと1日近い差があるんだよね。15と16日とですら。月にしても、ほぼ1ヶ月くらい違いがあります。大雑把ないいかただけど、新暦(太陽暦)と旧暦(月暦)とでは、月暦のほうがほぼ1ヶ月近く遅くなる。だから、今の新暦の上ではいろいろな行事食(節の料理)が自然にそぐわないちぐはぐなものになるわけです。これをムーンカレンダーに置き換えて行うと、全く無理もなくなるし、体感季節としても「あ、ホンマや…」と実感できるわけなのです。

 サクラも咲かないしモモの花も咲くわけ無いのに、もうすぐ商業戦略的西暦おひな祭りでしょう。でも、今年の本当の桃の節句の月暦はホントは3月31日です。つまり、天空のお月様が三日月の日なんだよ。本来、桃の節句は必ず三日月の日。月の無い新月過ぎて、やっとお月様が姿をみせてくれるとき。水温むとき。月と水は深い縁で結ばれている。水はあらゆるけがれを流し、そして命を生み出し、食すらも生み出し育むものなのです。そのような願いと祈りを込めて、モモの節句なのです。まさしく女の子へと、女性へと、願いと祈りを託す節なのです。

 別段、今現在、ご馳走でもない雛あられや散らし寿司。でも、古代からの祈りが込められた現在のおひな祭りの食べ物作りです。ネットだのウェブだので書くべき話ではないでしょうし、ましてや私の教室の人たちに言っても伝わらない話でしょうが…。でも、私は心の中で、やっぱり少しだけ、隠れて、大切にしてゆきたい野性というか生物的な本能・心情だな〜と思うのです。うまく表現できないけれど、なんつーか、生っぽい、というか色っぽいというか、官能的で艶かしい野生的な節だとは思いませんか?

 今年はムーンカレンダーで言うと、7月が2回あるんですよ。知っていますか?文月(陰暦7月)は今年は陽暦・7月25日から8月23日まで。葉月(陽暦・今年は8月24日から9月22日まで)。この文月と葉月が今年の陰暦の7月(2か月!?ゲロッ)です。ムーンカレンダーでは7月25日から9月22日までが、今年は「7月」です。これが、お月様の正常な運行具合です。

 教室を新しくしたいと思っています。今まで無理していたこととかをなしにして、本来的な努力というか、本当の意味での頑張りを(つまり無理なく)入れたいと思っています。
 だれが残ってくれるのか、そしてどのような新しい出会いがあるのか、そして私はどのように育つのか…他人事のように楽しみです。

そしてアタはシュークリームにもなったのであった

 水125cc、バター50g、塩と砂糖各少々、アタ75g、卵2個

はい、この配合で全粒粉100%のシュークリームになりやんした。薄力粉より膨らみは控えめになります。ですから、いつもよりちょいと小ぶりなシュークリームが15個ほどできあがりました。

 牛乳か豆乳250cc、キビ糖大さじ5、卵黄3個、くず粉10g、薄力粉15g

これでシュー生地10個分のクレームアングレーズ(カスタード)。牛乳(豆乳)で紅茶(アールグレイ)を煮出したロイヤルミルクティーを使い紅茶風味に。

 いやあ、しかし、ちゃんとシュー生地も膨らませてくれるんだね、アタは。なかなか働き者の粉です。「アホ。そこまでやるか。」と言われそうだ。でも、やってみた。純子ちゃんがアタとカスタードを組み合わせて甘いパン…とか言って、「アタの香ばしさとヤワなカスタードの味は会わないんじゃないの?」と答えた私だが、合わなくはなかった。しかし、パン生地で…となると、やはり合わないような気もするのですが。ペストリー生地にして飾りにカスタードを、というのなら合いそうだ。そうですよ、バター折込生地にならアタもカスタードも絶対に合うはずです。それこそデニッシュ食パンみたいなケース焼きにして紅茶カスタードを絞り込んで焼き上げるとか。
 そして、「インド風デニッシュ食パン」とか勝手に名前つけちゃったりして。「どこがインド風なんだ?いい加減にしろ」と、なりそうですなあ。
 ともかく、アタはシューにもなった、というご報告でした。え、味?美味しいに決まっていますでしょう〜。試してみなはれ。

アタ50%無糖でしつこく試作

 私もしつこい人間だね。今度はアタ50%の半分ブレンド(150g)にして一切砂糖を加えず、塩と水、最後に油脂分極少々の配合にして、アタ糖化の正体を少しでも探ろうとしてみたのです。アタ以外の粉はゴールデンヨット100g、窯伸びのためにスーパーキング50g。これで合わせて毎度お馴染みの300g粉量。リーンな塩味食パンにしたかったのね。種は種継ぎしたてのものを200g。オーバーナイトではなく、保温でガンガン行かせて、短時間で発酵させてみた。
 が、それにしてもやはり、塩パンとは思えないほどに糖化が進みますね。こりゃー面白いや。今日はフランスパン専用粉とアタを半々に合わせて、「アタフランスパン」を試作してみるつもり。フランス粉100%より、もっとフランスパンっぽいのが簡単に出来上がってしまいそうな気がするのです。
 明日の教室の「今週のパン」はまだ考えていません。これから…。

アタで食パン

 今回教室で行ったアタのパン。渡したレシピどおりのリーンな配合のままで、食パンを作って自家消費用へ。オーバーナイトのほうったらかしで12時間、朝起きて30度の保温で4時間、…まではマジメにやっていたのだが。…。ベンチタイムは朝ごはんを食べて、トイレに行って、歯を磨いて、顔を洗っている間に1時間以上もたってしまい、アセって成形。食パン型へ詰め込む。二次発酵は原稿書きが忙しくて・・忘れていて、気がつけば4時間くらいたっていた。ガ〜ン!焼き上げると、まるで砂糖を大量に投入した配合のようにメチャフワフワで砂糖生地のように焼き色が濃い。食べると・・「甘い」…。ガーン!
 これを普通の全粒粉でやると、長時間発酵が過ぎて、白焼けになり酸味がついて、食べられないシロモノになるところなのです。アタですと、なぜか(理由は分からない)酸化というよりは発酵による糖化のほうが進むらしい。もしかして、これって、だらしない私にぴったりの粉じゃないのかな?なんで、こんなに濃い焼き色がつくの?なんでこんなに甘く発酵するの?ともかく、だら〜っとだらしなく作っていいみたいなのよ。
 ずっと不味い国産小麦しか使いこなしてこなかったので、外国の粉の正体はあまりよく知らないんだよね…。オーブンレンジとか使って、焼き色を良くつけられない人は全粒粉をアタに代えて、だら〜っとだらしなく作ってみれば?いやはや、実に面白い粉です。まあ、私のアタの使いこなしはこれからですけどね。クッキーとか作ってその美味しさを味わわせてあげなくては。チャパティだけではないですからね。ホンマ、何にでも使えるよー。
 パン作りってね、発酵生地そのものをいかに美味しい糖化へと導く発酵状態にするかが鍵ですね。その粉が発酵したいギリギリのところまで持ち込むと、素晴らしい自然の甘味を(つまり糖分を)生地自らが生み出すんだよね。私のパン作りはこの部分にかかっているわけよ。ポイントは生地の自然発酵による「糖化」ですよ。生物というものは(酵母も生物です)生きるエネルギー源にするために、自ら「糖」という成分を合成して生み出すのです。人間だって、そうでしょ?食べたものは体内の酵素により糖に還元されて初めて、活動のためのエネルギーや思考のためのカロリーになるんだよ。

 残念なことに、今までのところ、生地そのものを糖化させる能力を持つ生徒は現れていない。つまり、私の教え方(材料選び含めてね)が悪かったのです。一番大切な本質に手を届かせる生徒を育てることはできなかったですね。残念です。それでも、材料とか、ずいぶん柔軟に手を広げてきたつもりではあったのですが。アタなどはもっと早くから取り入れておけばよかった素材だなあ…。(後悔)。

 来週、再来週と、ともちゃんがお休みなので、ジンギスカン大会はともちゃんがいる月末に延期しましょうね。なおちゃんも来週は用事があり来られないそうですから。今月一杯でともちゃんも教室やめちゃうし、まいどのことだけどケーコさんも長留守するそうですし。
 いよいよ教室は「そして誰もいなくなった」状態に突入します。今、考えていることは、来月三月で一端教室を解散終了に持ち込もうということです。そして、新たに四月から別の形で新規に教室を開始してみようと心中考えています。このブログも近々お引越しさせたい気持ちです。読者のコメントやトラックバック入れが簡便で手軽な大手に移したいです。(今のところ、今度は楽天を考えている。楽天は私の著作をずいぶんと取り上げてくれちぇいるから。あと、コメントを入れるのもメチャ簡単なので。)4月、五月になれば、私の新刊も出てくるしね。新しい動きや流れが発生すると思うの。

 あと、少しの短い期間だけれども、思い残しが無いように、残りの教室を精一杯やっていこうと思っています。