初物・ちりめん葉山椒

 ちりめん山椒を葉山椒で作ったものが好きです。

 辛すぎないし、噛みごたえが優しい。

 酒、だし汁、塩で煮て、醤油とみりんは少しだけ。

 でも、しっかりと佃煮風に塩気強めの味付けにして、ぱらりと炊き切ります。最後は鍋を揺すって汁気を飛ばします。

 こうすると、熱々ご飯に混ぜ込んでもべたつかせずによく合いますし、冷ややっこや揚げだし豆腐にトッピングしても、見た目が美しい。

 ちりめん山椒の混ぜご飯おにぎり、新わかめの味噌汁、竹の子の煮物と、卵焼き。こんなシンプルな組み合わせの献立も大好き。

 ザルいっぱいにあった葉山椒は、加熱と同時に思い切り凹みます。でも、いい香りは残りますよ。

 ちりめんだけ先にふっくら炊いて、後半に葉山椒を加え、一煮して仕上げます。

 パンと一緒に送るため、2,3ビンほど脱気びんづめ。北国山奥のY子さんに、春の香りを届けるために。(クマさんが、冬眠から目覚めたそうです)
 手首を故障して「何もつくれず、ぐやじい〜」N子さんに春飯を届けるために。(手首を固定しているそうです)。

 パンファミリーたちも、それぞれの場で、良いことあったり、悲しいことあったり。同じ春という時空の中で、それぞれみんな違う時間の流れを過ごしているようです。

 山椒を炊く香りを嗅ぐと、しみじみ春の時間の流れを感じます。桜の花は、そわそわするような春の時間ですが、山椒の香りはしみじみした春の時間。

 会えない人たちのことが心に浮かび、どうしているかと思えててしょうがなくなる春の揺らぎ。

 我が家の春の時間をほんの少し詰め込んでみます。

豆味噌でペストリー

 クロワッサン生地の塩を豆味噌50gに替えて、粉はW8・ゴールデンヨット・北海道産薄力粉のトリプル・ブレンドで300g、吸水低く卵1個と牛乳合わせて150cc、砂糖は黒砂糖大さじ3、生地バター30g、折り込みバター150g、中種150g、と、まあ、前振りに配合を書いてどーする。

 けったいな形に成形してみた。折り込み生地の「わ」の部分を断ち切って四角い生地の中に入れてしもうた。

 どんな形におっぴろがって膨らむんだろうか?あちこちに発送するためのパンなので、破損しにくい形にしたつもりなんだけど。

 送る前から破壊的形態になったりして…。

 ともかくこの室温で仕上げ発酵させて、夜にでも焼きあげてみます。

 豆味噌とバターの組み合わせは、とてもよく合いますよ。とても香ばしくて味わい深くて。生地はカフェオレみたいな色黒ちゃんになっちゃうけどね。

 豆味噌もW8(ねこたま粉)も、発酵促進力が強いので、発酵鈍重な折り込み生地をがんがん発酵させてくれます。

 デイタイムで発酵状態を見届けてみますね。

 <教室生徒のみなさんへ>

 中古ですが、お下がりのホイロや食パン型などが、どかんと届きました。(くださった方は几帳面な方なので、きれいな状態です)。まだ、中をよく見ていないけれど、型はパン屋ができそうなほどたくさん、ホイロ(電子発酵機)は、たぶん2.3台くらいかな?土曜日お教室のときに、必要な方はどうぞお持ち帰りください。欲しいものがカチ合うは、ジャンケンポンの恨みっこなしで決めてください。

 とはいうものの、ホイロは重くて手運びできないので、宅急便に集荷に来てもらって自宅に配送してもらうしかありませんね。

 さてさて、今週は比較的あたたかな温度がつづく天気になりそうですね。パン生地の一次発酵もオーバーナイトしやすくなると思います。

 

5月土曜日5回の回数調整に関して

  5月は、土曜日が5回あり、本来ならばゴールデンウィーク連休初日の1日に、教室のお休みを入れるところなのではございますが…・。

 「休まないで!教室でバウムクーヘンづくり、やりましょう!」「鉄火味噌づくりは〜!?」という生徒どものヤレーヤレー熱烈コール鬼のごとき要望により…。

 当教室は連休返上で、5月1日もお教室でございます。

 ただし。

 バウムクーヘンは、長い時間オーブンを使用するので、酵母パン焼きが不可能になります。

 ということで、パン作りだけはお休みです。パン作りをやらないパン教室を開催します。

 バウムクーヘン焼きも、鉄火味噌づくりも、普段のパン教室の酒池肉林とは程遠い超ハードな作業になるのですよ〜。

 それをあの方々、知ってか知らずか、…知らぬが花よ。

 本日は福沢諭吉つあんたちを家来に引き連れて、立川の富沢商店まで材料の買い出しに行かねばなりませぬ。お天気も回復したしね。

 バターたくさん背負って帰ってきます。粉の配達も、たくさん頼んでこなきゃね。

 天候異変による自然災害(?)で、山ほどできちゃった中種。これをパンに作り変えなければ。指くわえ組に送らなければ。

 災難よ。自然災害だわ〜〜〜。

冬のち春で

 いやはや、土曜日のお天気にはびっくらこきましたわ〜。

 朝、カーテンを開けると、そこは雪国だった…。

 お日様がキラキラ照りはじめると、積もった雪が溶けて、急に春の温度になっちゃったのよ。

 そのあとの夜間温度も、それほど低くはなかったわ。

 春の雪。

 (三島由紀夫の著作タイトルだ…。一番好きだった本だな。私は異常なまでの三島ファンだったのよ。10代のころ。ガキのころ)。

 ああ、しかし。びっくらこきの春の雪。

 こんなハチャメチャな天気の時には、リーンなパン生地のオーバーナイト発酵の予測がつかないですよ。

 教室のみんなは、あのパン生地にウンザリ振り回されているだろうなあ…。

 発酵判断がつかずに、わけわからなくなったら、焼かずに冷蔵庫で数日間ほど寝かせて、中種にして使ってください。(まあ、焼いて、白焼けにしちゃって、発酵過多を認知するのも悪い経験ではないけれど…・)。

 ヤバイ温度差の日に、リーンなパンをやっちゃったなあ…・。四半世紀も作り続けている私ですら、ギャフンと戸惑う難しい温度。予測付かない温度差でした。

 雪が降ることすら、予測つかなかったのですも。

 まあ、「やばいかも」と思ったら、中種に回すに限るわ。

 うちの冷蔵庫、ただ今「中種」(元・パン生地)で満員御礼です。

 ああ、たくさんパン作らなきゃ…・。

春が戻った

 教室開始30分前。

 パテとピクルスの盛り合わせをお気に入りの器にON。オードブル。

 雪が溶けて、春の暖かさに戻りました。

 ねこたま粉をまだ残してあるので、後日にいろいろとパンまた作りますわよ。

 で、教室に来たくても来れずに、「指をくわえてヨダレ組」に送るつもりです。

 なぜならば。

 「食いてえ、食いてえ、食いて〜よー!!」というテレパシーが、私の頭の宇宙アンテナに、ばんばん入ってくるのです。

 あの方々のテレバシー送信能力は、火星人並みに進歩しています。

 しばし、指をくわえて待っていてください。

 ウルトラの星から、ヤマトで配送しちゃるけんね。

 

水と粉だけの自然発酵

 春がどこかへ行っちゃって、津軽海峡冬景色〜♪

 雪です。教室です。みなさま、足元にお気をつけていらしてください!

 さて。自家製粉の内麦・W8の粉遊び。とどめの一発は、自然発酵種のスターター起こしです。

 これ、二日前に粉と水だけを混ぜ合わせて、暖かい場所(寒くて、ずっとストーブがフル回転だったのよ)に放ったらかしておいたものです。パン種は入れていませんよ。

 正真正銘、粉と水だけ。(当然、果物だの野菜だのなんてものも、入れるわけがない)。

 ぷっくりと膨れ上がった生地の中にできている気泡が見えますか?

 これが、自然発酵の酵母パン種の初期的な自然発酵状態です。

 あとは、これに粉と水を数日おきに混ぜ加え続け、十分な発酵力を備えた熟成種にします。この後は、(たぶん今後は温かくなるでしょうから)、冷蔵庫の中で保存して、種継ぎを進行させるほうがいいでしょう。(マニュアル化できないんです。環境や状況によりけりです)。

 本日の教室では、自分で自然発酵種をつくってみたいという方に、このスターターをお持たせいたしますので、後は自分で好き勝手に頑張ってください。

 初期的なスターターさえ正常な自然発酵状態であるならば、我らが教室の自然発酵種は必ず自力で完成できます。

 国内農家の小さな麦畑の自家製小麦粉…。どうです、ずいぶんといろいろな力や、美味しい魅力を秘めていますでしょ?

 春はどこかへ行っちゃったけど、春は酵母菌が活性的な季節です。時節にピッタリの春らしいアイテムをと思っていたのですが、…外は冬景色です。

土曜日は、お教室でございます

 寒いわ〜、寒いわ〜、さーむーいわ〜、こんなときこそ〜♪

 ほっとビスケット!

 リッチな配合のものが焼きあがりました。

 寒すぎるせいで、ホイロ入れのやむなし。三時のおやつの時間にやっと焼成開始。

 リッチと言いましても、水分を卵黄+牛乳に替えて、砂糖を少し増やしただけの話です。でも、かなりボリュームアップですね。今回、粉はねこたま粉(W8)100%。

 残念ながら、ねこたまさん宛ての荷物にはタイミング悪しで入れられなかった。ねこたまよ、この寒さを恨んでおくれ〜。国分寺、本日は北極圏です。

 明日は少しは温かくなりそうですね。お教室でございます。

 今、お料理に忙しいのよ。忙しい時に、焼きあがっちゃうほっとしないビスケット。

 以前、欠席で食べそこねた生徒が「パテ〜パテ〜パパパパ、パテ〜」と、目をむいてうめいていたので、ご要望にお応えして、「フツー」のレバーで、パテもまた作っておいたわ。

 カンパーニュに合いますもの。

 風邪など引かぬよう、お気をつけていらしてください。

ねこたま粉クロワッサン

 加水率が低いパンのクロワッサン生地には、吸水低めの(60%少々)ねこたま粉(W8)が、相性よくて向きましたわ〜。

 W8、ちょいとグル強いので、薄力粉+フランス粉を30%ほどブレンドして、力をヤワにして、バター(60%)を折り込みました。

 粉の味が濃いので、バター風味の強さに粉の味が負けていませんよ〜!

 明日の教室には、肝心要のねこたまさんが出席できないので、送ろうと思って。

 今日発送しておけば、明日、教室のみんなと同時に試食できるでしょ。

 指くわえてブログ見て我慢してて、と申しましたら…。「ゆび、たべちゃいそう…」らしいよ。教室のせいで、指を詰めることになっては大変だ。指を食わないうちに、日持ち心配ないお菓子やクロワッサンを送らねば!(もうすでに、2,3本くらいは食ってしまっているかもしれん)。

 ただ今、リッチな配合にしたホットビスケットを仕上げ発酵中。

 昨日今日と、真冬並みに寒いね。

 室内の常温放置などでは、ピクリとも動かない気温の低さだよ。

 クロワッサンもホットビスケットも、室温ではなく、ホイロで保温して二次発酵させざるをえません。例年にはないことですがね…。

 ハチャメチャな天気ですわ〜。

スティックパイ

 練りこみパイ生地に粉チーズとスパイスを混ぜ込み、細切りツイストにして焼き上げたパイです。

 サクサクで、香ばしくって、んまかーっ。お茶にも酒にも合いますわ〜。

 もっとたくさん粉チーズを入れてもよかったな。入れすぎると、塩辛くなっちゃうかもと思い、控えめだった、んにゃ、控えめすぎたわ。

強力粉100g、薄力粉100g、無塩バター100g、塩小さじ1、水100cc

粉とバターをフードプロセッサーで、ガー!で、水をちゃちゃっと混ぜ加えて冷蔵庫でおねんね。平たく伸して細切り、ツイスト成形。200度で20分、焼成。

 今週はW8号ウィークで、ねこたま粉ばかりで遊んでいるわ。教室の分を使いこまないうち、いい加減にしておかなければ…。

 とか言いつつも、クロワッサン生地まで仕込んでしもうたわ…。焼きあがりは明日の午前。

 satoさんの加水のご質問の件。

 まず、何を作りたいかにもよるのですが。例えば、パン生地だけであるならば、通常のパン生地のかたさに持ち込むわけですが。
 粉と水だけを先に混ぜ合わせ、「パン生地らしい」かたさの加水量をチェックします。内麦は全般的に吸水が低いので、まずは50%くらいからチェックし始めます。なにせ、60%すら吸水しない粉もありますから…。

 自分が思い描くパン通りにしたければ、内麦1種だけに依存するのは無謀ですね。思い通りの生地にするためには、複数の性質の違う粉をうまくブレンドして使うべきです。

 ただし、その内麦を完全消費することだけが目的であれば、それのみを使うしかないでしょう。

 私自身は、完全消費も地産地消も考えないので、自分が作りたいものの一助を担う一部分でればいいのです。

 粉のために作るのではなく、自分の作りたいもののために、粉の特質部分だけを働かせる…という使い方です。

 自力で加水チェックやグルチャックができない粉は、内麦であろうが外麦であろうが、使いませんね。モノに対する信奉心は、まったく持っていませんので。銘柄にも品種にも産地にもこだわりません。

 美味しく作れれば、それでいいだけ。それ以外のポリシーやイズムは、持っていません。

 味も質も悪い内麦粉は、たくさん存在します。そして、味も質もよいものも、たくさん存在します。これといって、決めているものは何もないです。

 ウマければ使う、本当に使いこなしたければ、その粉とマジタイマン張って向きあうと、粉が使い方を教えてくれます。加水量も捏ね方もブレンド方法も、その粉に聞くのが一番正確です。

 そのためには、触って(作って)触って(作って)触り(作り)まくらなければ、自分の手でね。人に聞いても分からないわけです。

 「この材料で作らなければいけない」という感覚で作っても、あまり美味しいものは出来上がらないと思います。使いたくて使わなければ、息苦しい食べ物になってしまいます。

 私はラク〜なものが好き。

 はい、ということで。

 クロワッサンの成形のため、台所へと戻ります。

プティ・カンパーニュ 今週のパン

 クセモノヤロー系の自家製粉・内麦を使って、カンパ系を・・。

 今週の教室のアイテムです。

 ひっつこく何度も言うんですけど、ウマいんですよ、これが…。

 しかし、内麦独特ののタチの悪さ、吸水性が低いという「難問」があるわけ。グルテンの高い低いの問題ではない。んなこと、関係ねえ。

 早い話が、水を減らせばいいだけの単純な話なんですけどね。

 でも、質の良いものを作ろうとするならば、その程度の単純なレベルでは済まされないわけよ。

 という内容の教室レクチャーを予定しております。

 農水省の条件や基準をクリアして、補助金をもらえるレベルの国産小麦と、そうではない規模の小さい麦畑の国産小麦とでは、質にも価格にも大きな違いが出てきます。

 私たちは、農政の基準をクリアして国からの補助金が出ている小麦をごく当然のような気持ちで、この値段、この味、この質…と思いながら、外麦も内麦の粉も使わせていただいていますね。それを使って、パンやお菓子を作っているわけよ。

 でもね、もし国からの補助金が出なければ、麦と言え、おなじみ価格の4,5倍はするものなんです。

 そうなれば、当然、パンや、お菓子の価格も4,5倍に跳ね上がる。今まで、300円で買っていたパンやお菓子も、1200円とか1500円になるわけよ。

 1箱300円の煙草が、1000円に値上げされると、みんな、ざまーみろ〜とか喜ぶでしょ〜なあ…。

 私の場合は、1個300円のパンやお菓子が、1500円に値上がりしたら、ざまーみろ〜とか、メチャ喜んじゃうわー。ぜひ、そうなってもらいたいものよっ。そのほうが、国の収入のためにはいいんじゃないの?パンやお菓子なら、不健康で少数派の煙草なんかよりも、よほど大多数なんだからさ。国は増収確実よ。日本再建策!

 小さな麦畑は、農政の基準や条件をクリアするのは難しいわ。

 高かったら、どんどん買い手も作り手も離れていく現状があるし。

 頑張って麦畑をやっていくのが辛くなると思う。

 でも、そういうところの小麦がやけにウマかったりもするのよね…。

 今の健康ブームになった「国産小麦」信仰を私は、あまり嬉しく思っていないわ。

 いえ、すごく喜ばしいことなのですけどね。

 でも、その陰で、淘汰されてつぶれていく小さな麦畑があるの。

 私は、ホントはね、昔から、そういうもののために何かを作り出したかったの。

 マイナーな小さなもののために、何かを造れる人間になりたかったのよ。

 メジャーなものからすれば価値ないものが、実はマイナーなものの中にこそ、すごい価値があったりする場合もあるじゃん。

 なりたい自分になれるかな?