目の覚めた真夜中

 今夜は府中の花火大会の夜だった。うちの 庭からは府中の花火大会がよく見える。特等席だ。

 写真を夜景モードで撮ったら、なんだかまるで空爆の記録写真みたいになって、興ざめ。削除モノだ。(私は自然光撮影しかできないみたい)。

 夜風はすでに秋の風。

 暗い庭の底で、イキモノのうごめく気配。月明かりのきれいな庭だった。うごめく気配をさぐったら、おっとどっこいありゃりゃんりゃん。可愛いガマちゃんじゃございませんか。

 ということで、記念撮影。月明かりだけでは撮影できないので、やはり夜景モードで…。…。ちーゃんとピンボケしてるし。
 つぶらな瞳。おとなしく抱っこされて、記念撮影に収まってくれた。カメラ目線がニクイねえー。結構、役者じゃん。
 撮影後、ガマちゃんは、のしのしと大葉とバジルの植木鉢の間を歩いて去っていきました。

朝夕は秋っぽい風が吹き始めたね

  虫の声。

 夏休みも、もうじき終わりだねえ〜。子供たちは今が「一年の総決!灼熱算地獄」かなー。日焼けして真っ黒になっている顔をゆがめながら、幼い人生不条理を哲学しているんだろうなあ。
 明星学園の子供たちはみんな元気でいるかなあ。会いたいなあ〜。元気かなあー。(元気に決まっているよ。でも、子供たちの仕込んだ豆味噌と梅干しが心配だ)。

 私は小学校1年生の時から、夏休み哲学だったな。夏休みの宿題で「朝顔の観察絵日記」とかいう、余計なお世話みたいな夏休み帳もあったし。

 夏休みの課題。(くそ!よけいなお世話だ!)

 朝顔を元気いっぱいに大きく育てようと思った。毎朝、朝顔の鉢にまたがり、小便をかけた。水分と肥料の二本立てと信じて、子供心ながらも有機栽培を目指していた。この「小便かけ施肥農法」は、誰も目覚めていない誰にも見られない早朝にはたさなければいけない7歳の私の夏の責務だった。幼いながらにも、忍耐と努力を要した。

 毎朝、小便をかけられた朝顔は、日に日にやせ衰え、葉やツルは紫色に変色していった。

 そして、花の蕾を持つころ(その蕾は、干した青トウガラシのように脆弱であったのだが)、朝顔は紫色のまま、枯れていった。「朝顔の観察絵日記」は挫折した。人生初めての挫折感の打撃であった。

 私は天を仰いで泣いた。泣いて、泣いて、さめざめと、泣きぬれた。人生の努力というものを、人生の不条理というものを…・命の限りに呪った。

 生まれて初めての夏休みは散々だった。そして、それからも、ずーっと…。

 この夏も、また、もうじき終わる。

 明日、私は、やっとインドを抜け出して、シンチャンウィグルあたりに戻って、「ボシュカル」を作ってみます。
 昨日の教室でプーリーが、やけに好評だった。(無発酵のチャパティー生地を揚げたもの)。
 んじゃー、次は発酵生地の薄焼きパン生地を揚げてやろーじゃーねーのっ!ってなもんでい。ははははは!

 ボシュカルは、発酵生地にした薄焼きパン生地に切れ目(クープ)を入れて、油で揚げるリーンな生地の薄焼きパン生地のドーナツ。(生徒たち、これも知らねーんだべえなあー。)おいしいぞー。(来週も暑いんだろうなあ。まだまだ熱帯地域)。
 もー、こーなったら、てってーてきに、アウトサイダーのエスニックで33度を乗り切ってやるぜ!

 夏休みの宿題のバカヤロー!夕日のバカヤロー!私のバカヤロー!

 

ドーサ

 33度を超す暑さを生産的に有効利用するのは、もーこれしかないね。

 お豆の自然発酵。(まだ、インドから抜け出せていない私でございます)。

 豆と米を粉砕して、半日ほど温かい場所に放置して自然発酵させた生地を薄くカリッと焼き上げるインドのスナック。ドーサ(という名前だったような気がする)。ほんのりと酸味があり、カリッと香ばしく、かみしめるほどに発酵のうまみが口中に広がる。ちょっとパパドに似たお味。豆やジャガイモのカレーとともにいただきます。

 今回はチャナマサラ(ガンバンゾー豆粉)とバスマティー(パキスタンの長粒米)を使った。(本来なら、豆も粒ごとから使うべき。ウダッドがなかったから、目の前にあったチャナ粉にした。かなりいい加減な人間だ)。

 豆の発酵は難しい。一歩間違えると(発酵過多にすると)臭くて酸っぱすぎて、とてもじゃないけど食べられるシロモノにはならん。かといって、発酵不足だと、豆の生臭さが不味いし硬いし、これはこれで食えたもんじゃない。

 豆の発酵は難しいから、だからこそ、面白い。(小麦の発酵は簡単だ。もし、万が一失敗しても豆ほどは臭くならないし)。明日のパン教室用に焼きあげておいたが、もうこうなりゃパン教室なのか発酵教室なのか区別がつかなくなる。強引に「これも、パンだ。豆粉の自然発酵パンである!」とか言ってしまおうか…。
 室温が33度を超すと、まともなパン生地が作れなくなっちゃうんだもーん。8月の教室はギャンブルだ。朝起きて温度計を見る。その日の気温を予測する。そして、たいがいは……負けるのだ。

タンドールが欲しい

私のパン本原稿書きの旅は(昨日の暑さもあり)、只今、インドあたりをうろついているようです。(飛行機代がかからないので、原稿書きっていいねー。ビザもいらないし、宿の予約も不要だ)。

 本来、タンドール(壷状の炭焼き土窯)で焼きあげるナーンを例によって例のごとく、中華鍋ひっくり返し焼成法で焼き上げました。

 ガス台の上で使える簡易なタンドールもどき(陶器の蒸し焼き用壷鍋)があればいいな…と思い、焼きものをやっているホッチコージさんに、以前相談したことがある。
 二人であれやこれやと企画デザイン(?)を練ったのだが、コージさん、まだ完成には至っていないようだ。でも、パンも野菜も肉や魚も蒸し焼きにできる土の鍋、あってもいいとは思いませんか?金属よりも自然素材の土のほうが、火当たりも柔らかいし、蓄熱性も高いし、遠赤外線効果もある。パンも料理も金属よりは土という素材で火を通したいものが結構多いのです。土窯焼成って、あまり日本的発想じゃないから、周りの理解は得難いけれど、世界的にみると土素材の調理道具は多いですよ。

 簡易タンドールがあれば、手軽にエスニックな平パンも作れるしなあ。

 いやいや、理想ばかりをほざいていてはいけない。私には中華鍋がある。

どこの国じゃ?と、思うほど暑い

 激辛の挽き肉カレーと豆のカレーを冷蔵庫に入れっぱなしで冷やしておく。(温め返したくなどない)。

 只今の室温、35度。

 33,4度くらいになると、発酵種を入れたパン生地を捏ねても生地温度が高りすぎて、すぐに生地組織が壊れてくる。
 35度の温度計を見たとたん、パン生地作りをあきらめて、無発酵生地作りへ移行。アタを捏ねて、チャパティーとプーリーにした。プーリーはチャパティー生地を油で揚げてピタのように風船状に膨らませた揚げチャパティー。これはこれでウマイ。
 冷えたカレーと生野菜を包んで簡単な昼食。チャパティーやプーリーの香ばしさと、冷たい激辛カレーがミックスして、減退していた食欲を呼び戻してくれる。夏のカレーは冷やしていただきましょう。

 暑い時期でもパン生地を捏ねなければいけない場合は、配合水を氷で冷やしたものにすると、かなり生地温度の上昇が防げます。水の温度ひとつでも、ずいぶん違うから試してみてください。

 でも、暑いときはやはり薄焼きの平パンが一番いいねえ。チャパティー焼き、大好きで、インド人になれそうなほどだもんね。
 ちんちんに熱した中華鍋で茶色い火ぶくれのブチ模様になるまで焼いた後、さらにガスレンジの直火で、全体を焼いて風船みたいにプクプク膨らませるの。焼いているのか燃やしているのかわからないほどに。私のチャパティー焼きはなかなか豪快ですぜ。どちらのお国の方?という感じ。

 秋、遠からず。しかし、それにつけても、まだまだメチャアヂヂヂヂだあ。みなさま、熱中症などにかからぬよう、お大事にどうぞ。(パン教室の皆さま。まじめにパン生地など捏ねていないで、チャパティーにしちゃいなさいよ。どうしても、パンにしたけりゃ、そのまま1日放っておくだけで気泡が立って、勝手にパン生地になっちゃうし)。

カビたパンから溜まり醤油を作る

 写真・右手に見えますのは、コウジカビの生えた自然発酵種の酵母パンでございます。写真・左手に見えますのは、我が家の自家製たまり醤油でございます。

 このふたつは、とても仲の良い関係なのでございます。

「カビだらけのパンと醤油が、なんで仲の良い関係なのよ?」と言いたくなるでしょ。

パンに生えたコウジカビを蒸した大豆に増殖させて、塩水で漬けこんで発酵させたもの(=豆味噌=溜まり味噌)を絞って取ったものが、我が家のたまり醤油。
この醤油はとても旨味が強く、冷奴や刺身などに添えていただくと至福の味わいなのでございます。

 本日はイカの沖漬を作りました。1パイ150円の刺身用イカを溜まり醤油に漬け込む「づけ」です。イカソーメン風に細切りにした身もさることながら、漬け込んだ肝(キモ)がまるでウニのような味わいで最高に美味しいのです。肝臓のづけは、とろーんととろけるような濃厚な味わい。これを作るには、最高の味のしょうゆを使わなければいけない。醤油はやはり、手作りの溜まり醤油に限る。

 パンは小麦粉と水だけを自然発酵させた種で作るパン。たまり醤油は麹カビを生やした大豆を塩水だけで漬け込み、10ヶ月間ほど発酵させたもの。

 小麦粉、塩、大豆だけが原材料。たったそれだけで、酵母パン、豆味噌、たまり醤油の三つの食べ物ができあがる。
 うちの味噌や醤油は、なななんと、もともとは自然発酵種のパンから生まれてきた調味料なのでございます。到底、まともな人間には思えないでしょうけれど、本当の話なのでございます。

 自分で言うのもなんですが、発酵道もここまで来ると、もはや「巨匠」の域でございましょう。かつて、市販の種麹菌ではうまく作れなかった醤油も、自分であみだした「酵母パンコウジカビ菌」を種麹菌に使うと、簡単に、うまく作れる。自然発酵の恵み、環境に生息する自然界の微生物群のお陰様です。
 ともかく、菌はタダです。どこにでもいて、誰にでも無料、平等、有用です。味噌や醤油に含まれる生きている菌を摂取すると、食欲不振など、どこなにぶっ飛んで行ってしまいました。

小麦粉の自然発酵・真夏ヴァージョン

 自然発酵種のパン作りを本にするために、真夏だというのに、またまたゼロからの種起こしです。
 現実際は、種そのものは、四半世紀も前に起こしたものを延々と種継ぎして使っているんですけどね。でも、種起こしのハウツーを書いて写真を撮るために、またまた…ですよ。
 こういうのを自分に強いるヤラセとでもいうのでしょうか。

 真夏の自然発酵は早いのです。写真のものは昨日の昼に捏ねた小麦粉。常温に放置し、半日ほど経った早朝(朝6時)。生の小麦粉団子(小麦粉と水だけを捏ねたもの)は、すでに自分勝手に発酵生地になってしまっています。写真・気泡が立っているのが見えますでしょうか?
 こうなれば、しめたものです。初期発酵を確認したら、真夏は早々に冷蔵庫保存に移行します。(調子に乗って真夏の室温に置いておくと、イキすぎちゃうからね)。あとは数日に1度、種継ぎ(小麦粉と水を捏ね混ぜる意味)を1ヶ月間ほど続けます。それで、自然発酵のパン種(老麺)の完成です。

 写真・この程度の単純な初期発酵では、さほど美味しくはありませんし、発酵力も安定した強さはありません。時間をかけて(最低でも1か月ほど)種継ぎすることで、力を安定させて強めます。
 もし、白い小麦粉で初期発酵させることができなかったら、アタ(全粒粉)を最初の1回目だけ使ってみてください。全粒粉なら、百発百中で自然発酵しちゃいますから。

 でも、使うのは1回目だけです。そのあと(冷蔵庫保存中)の種継ぎは白い小麦粉で行ってください。

 涼しい時期(春や秋)の常温放置に関しては3日前後です。夏の自然発酵は早すぎます。まあ、写真を撮りたかったから、早い方が便利なんですけどね。種としては夏よりは時間のかかる涼しい時期の方が質が良いです。
 真夏は菌たちの活動が活発で、いとも簡単に何でも発酵させることができますが、同時に不必要な腐敗菌もつけてしまうおそれも高まりますし、逆に乳酸発酵が強くなりすぎたりすることも起きます。この時期、種起こしは簡単ではありますが、注意も必要です。

これナーンだ?

 ナンです。そーなんですよ。

 あの人、また中華鍋ひっくり返して底でなんか変なもの焼いてるわあ…もー、やだーわー。
ねえ、ちょっとー、…また、あの人、お教室でおバカやるつもりじゃないのおおおおー?

 そーなんです。ナン焼きは中華鍋をタンドール(壺のような焼き窯)に代用すると、かなり、っぽいカンジで焼けるのです。
 まず、生地をべたーっと底に貼り付けて焼くでしょ。で、そのあとで、中華鍋を正常位置に戻して、今度は生地の裏側を中華鍋の底ではなく内側で焼くのです。タンドールとは違い、両面焼きになりますが、そこに貼り付けた生地がデローンと垂れ下がるので、メチャ、っぽいムードに焼き上がるのですよ。タンドールはインドでも一般家庭にはなくて、たいていは店用だそうです。ですから、ナンは手作りせずに店で食べるものなのだそうです。ぜひ、インドでも私の秘伝「中華鍋底焼き法」を普及させたいものです。(やめろ、アホ)。インドで拙著の翻訳版・出版なるか!?(あのな…その前に、日本で企画を通してから言えつーの)。

 まあ、焼成法こそお粗末ですが、ナン生地そのものは本場以上かもよ。

 ナンの生地は小麦粉を捏ねた生地を小麦本来の野生酵母で自然発酵の生地にしてから焼き上げるんです。
 いうなれば、当教室のパン種と同じ原理です。イーストを添加しないので、よく無発酵生地と勘違いされているようですが、ナンは自然発酵の生地ナンです。よそ様のレシピなどを眺めてみると、イーストを入れない代わりに、ベーキングパウダーなどをしこたま使っていますよね。(しかし、あれで美味しく焼けるわけないと思いますけど…・)。

 自然発酵生地ですと、めちゃくちゃ美味しく焼けるものを。
ああ、私のパン種を日本中に広めて普及したい。(いい加減にしろ!人口密度の高い東京ですら、広められないくせに。この身のほど知らずめが)(東京がダメなら、せめて、インドか中国大陸でも…)(もっと広くて大きくて大変だべ)。

 エスニックなパンの数々は、ユーラシア大陸という大きな地に広がるものですが、実は日本の麦畑にも大きく通じるものがあるんですよ。ナンだと思いますか?
 小麦粉の質です。製パン性の高い高グルテン小麦が採れるところは新大陸だけです。(ヨーロッパ含めて)ユーラシア大陸、特に中央アジア、そして(島国だけど)日本小麦は、けっしてあんなに高グルテンではありません。ですから、エスニックなパンが最高に美味しくできあがる麦なんです。

 執筆中の本は日本の麦畑を守り育ててくれている生産者に捧げるものでもあるのです。今、農水省は麦畑いじめをやっています。生産力の小さな麦畑では農協に麦を引き取ってもらえない厳しい条件にしちゃっているんですよ。小規模の麦作農家はバンバン麦畑をあきらめちゃっているんですって。私としては心中穏やかじゃありませんね。
 でも、お役所仕事に文句を言うのは面倒くさいから、逆戦法で、小さな麦畑応援団の本をこそこそ書いているんです。(おーい、農文協や、応援すろやー。スポンサーになってけろや)。

 もー、絶対に企画通すからね。日本がダメならインドと中国があるぜ。ともかく、中華鍋と、うちのパン種だ。

 

やっとデジカメ戻ってきた

  1週間ほど写真が撮れなかったけど、やっと我が愛用のデジカメが戻ってきました。おっと、デジカメが…というよりは、娘が九州旅行から帰ってきただけなんですけどね。

 これで、やっと写真が撮れる。森の木々の若緑の実も撮りたかった。(あとから撮りに行こうかなー、るんるん)。

 パンの写真も、撮らなきゃいけないものがいくつかある。これは、今書いている最中の本に載せるエスニックなパン。(室内撮影なので、光量不足だと撮れない。雨の日や曇天ではブレてしまう。「今日は雨だからパン作れない」という路上生活者みたいな話になる)。(→本と言っているが、この企画はまだ通るか否かはわからない。企画が通らなかったら、当然本にはならない)。

 でも、自分で言うのもなんですが、今回のパンの本は、かなり面白いものになるよ。すごくマイナーでマイノリティーに見えて、でも、マイナーでもマイノリティーでもなく、本質的なもの。根源的かつ原初的なもの。
 マイノリティーこそ、本当はマジョリティーなんだよね。一にして多なり、多にして一なり。(おっと、まるで、ウパニシャッド哲学じゃーん)。もし、我がマイナー哲学がアスペクトの企画で通せなかった場合は、意地でも他の出版社に投げ込む。(それでもダメなら、晶文社に泣きつく)。

 しかしだねええええ…。本来、出版人こそ、マイノリティーをマジョリティーに昇華させる責務があるのではないか?それが、本を出版する意義なんじゃないのかねえええ。最近の出版社は、売れそうなものしか出さないなどと平気で言うけれど、ちょいと本末転倒の志向ではないのかねえ。

 でも、私は今もっても、まだ、失望してはいないのだよ。絶対、どこかに、本来的な出版人や出版社が存在するはずだ!と信じている。そこを見限ったら、私なんざあ、もう本なんか書けなくなっちゃうもんねえー。
 さてさて、本の企画が通るか否か、眺めていてください。

お教室です

  本日、やっと少し涼しくなりました。人心地の温度です。

 熱中症を心配せずにできますね。(昨日までの気温では危険とすら言えるほどの温度でしたから…。)お気をつけていらしてください。

 バテバテでヤバーイと申していた私め。何と10年前の8月と全く同じ体調不調を勃発させておりまする。(10年サイクルの毒だしか?)トホホホホ。
 突然、アレルギーを起こして、顔以外の体中、カイカイの搔きむしり。それが落ち着いて治ったと安心したとたん、自分でも何とも解せない食欲不振。
 10年前は2週間ほど、ろくろく食べられずに、普段45kある体重が39kにまで落ちて、骸骨みたいになってしまった。食べられない、作りたくないという有様。酒すら飲めなくなったんだから、マジ、重症ですよ。(私に関しては)。
 友達(としさん)が、めちゃくちゃ心配して、毎日なにやかにや、野菜だの魚だのの食材を運んでくるわけよ。気持ちはありがたいんだけど、それでも、やっぱり食べられない状態だった。としさん、ついにワインだのビールだのまで運びこみ「せめて、お酒、飲んで」…。飲めば食欲が出ると苦肉の策にでたみたいだった。トホホ。

 心配かけちゃうから、今回は、としさんにはバレないようにしなきゃなあ。一次的な摂取障害みたいなものなで、10年に一度くらい食べない日があっても、しょうがないのかもねえ。(10年に1度くらい、ひどい風邪をひくみたいなものだから)。
 でも、今回は前みたいにならないように、無理してでも少しだけでも何か食べよう。

 たくさん食べられなくなると、1日1個の梅干しお握りの味が、ものすごくよく分かるんだよ。ご飯粒や塩や海苔や梅干しの味のすべてが。そして、食べたあと、そのおにぎりのエネルギーが、もりもり自分の体力になっていくエネルギー昇華みたいなものもわかる。食べることって本当に大事なんだな…と身を持って実感する瞬間。梅干しおにぎり1個のエネルギーのありがたさが、身にしみるほど分かるの。味噌汁1杯のエネルギーもわかる。味覚がやけにクリアになっちゃうのね。
 たぶん、こんな変な不調、もしかして、私にとっては必要な不調なのかもしれない。と、(やむなく)我が身の状態を受け入れておりまするー。食べられない割には、やけに元気なんですよね。スタミナはなくなっているけれど、気持ちのどこかをしゃんとさせようとする気力みたいなものが働いている。
 じきに抜け出します!