さびーーー。春雨じゃあ。

  お寒うございます。懐の底までひーんやりするような冷たい春の雨でございます。

 お天気のご機嫌が良かったのは昨日一日だけで、本日は膨らみかけた藤の蕾も冷たい雨にそぼ濡れています。(あ、ご近所の藤棚のフジの花の話ね。うちの庭は雑草しか育てていないのよ。今はオオイヌフグリが盛大に繁殖しています。藤の花とは、ちょいと品格が違うけれどね。まあ、これはこれで春の息吹きを感じさせてくれる可愛い小さな花です)。

 秋仕込みの早生まれ味噌がそろそろ完成する季節なので、昨日ほんの少しだけ試食してみた。味噌玉仕込みの豆味噌(麹)に、さらに玄米麹を混ぜ加えたW麹菌力の「発酵促進」豆味噌です。
 普通、豆味噌は最低でも1年は寝かせなければいけないけれど、ダブルパンチの菌力のせいで、これは半年でOK。(別に玄米麹を加えなくても、ちゃんとした豆味噌になるけれど、春早々から食べ始めることのできるシーズン中の味噌は一樽くらい欲しいのです)。
 秋から春にかけて(11月から4月いっぱいまでの半年間を)「今シーズン」と称して仕込むのですが、「今シーズン」味噌を早々に味見。早い話、待てないだけなのよねえーーーー。
 たんまりと入れた玄米麹のせいで、甘口の豆味噌になっていた。やはり米麹を加えない純な豆味噌のほうが、ずっと味わい深い。5月から食べ始めるべきものを4月の半ばに味見するのですから、味わいにいま一つ深みがないのはやむをえないけれど。(これも、長期間放っておけばもっと美味しくなるんだけれど)。

 今シーズン仕込みの玄米味噌を先日仕込み終えた證善さんから「やっと仕込み終えた」と連絡が入った。しからば今年の玄米麹の出来を味見してみようと、間髪をおかずに出来上がり品を試食したくなったせいです。玄米麹豆味噌は甘口だった。
 證善さんにも、玄米麹と同時に出来上がり品も試食用に少し持たせればよかったと今になって思う。半年間の時空を超えたタイムスリップを味わわせたかった。

本日はお教室でございます

 お天気になってくれそうな朝の光です。本日は酵母パン教室です。お気をつけていらしてください。
 ずっと空模様が少しご機嫌斜めだったので、久々に温もりのある穏やかな天気になりそうで、よかった。

 お父様のご葬儀で多忙だった慧光寺の證善住職さんご夫妻が、昨夜、突如出現。うちの冷蔵庫を託児所として預けっぱなしだった玄米麹をやっと山梨までつれ帰ってくれました。住職、ひとまわり痩せて顔が小さくなっていたし、女房の勝子さんも青白い顔色。お元気そうな表情と明るい声色だったけど、今まで忙しくて疲労蓄積しているのが見てとれて…本当にお疲れ様でございました。
 最期の親孝行でしたねえ。自分の息子に葬儀の御経をあげてもらえるなんて、お父様も幸せな気持ちで旅立たれて行かれたことでしょう。

 さて、わたしゃ教室の準備ですわー。

明日は酵母パン教室です

 明日は教室です。なんでもないフツーの生地で、フツーの食パンを焼きあげます。今回はプルマン。ふたをして焼いてみましょうね。なんでもないフツーのパンは、いかようにもアレンジできて、日々の食卓でも持て余すこともなく重宝します。

 桜吹雪の舞いも終わり、緑濃くなる季節を迎えますねえ…。草木の命はすごいです。なんでもない当たり前のことを毎年毎年くりかえし、命をつなぎ紡いでいく。当たり前な同じことのくりかえしなのに、同じものなどふたつとないところが、またすごいよねえ。まあ、命ってそのようなものなのか。

 当水屋も、温かい季節になると、日々の繰り返し仕事が増えます。糠味噌を毎日かき混ぜて、パン種のリフレッシュメントも冬場みたいにさぼっていられなくなるし、豆味噌たちは表面カビを生やしやすくなるので、天地返しも月に2度ほど手をかけてやらなくてはいけなくなります。
 こんな日常の繰り返しをつまらないこととして感じるか、楽しくて幸せなこととして感じるかは、人それぞれでしょう。つまらないと感じた瞬間から、単純な繰り返しが逆に難しいものに変わります。

「つまらない」→「難しい」と敬遠されて、すたれてきた古来からの食べ物づくりや生活のリズムの中には、自然に沿うた命の循環がたくさん詰まっています。
 それは高度な文明と裏腹な原始的な生命ですが、しゃくし定規のデジタルではない、数字のない定規の世界です。
 不規則規則のアナログ物差しは存在しているようです。不規則規則のアナログ物差しを文明品の山々の下に置き忘れたら、わたしなあざあ存在理由すらなくなっちゃうなあ。

 さて、本日も文明の利器のキーボードを叩きながら、糠味噌かき混ぜたり、パン種捏ねたりするべえーか。

 

昨日は寒かったねえ

 (何のつもりの絵文字じゃ?)

 昨日は寒い寒いとぼやきながら、わびしーくパン教室をやった。ついでにパスタも手打ちして「トマトソースは寒い日には似合わない」などと、ぶつくそ文句を言いながら食べた。(静ちゃんは美味しいと言ってくれたけど…・)。

 パスタというよりは乱切りうどんの風情だった。あ、そうそう。でもね、手打ちパスタは細切りよりも、ちょっと太めのほうが歯ごたえいいですよ。この前、マークンと作ったとき、細切りにしたら、ぐちゃぐちゃの歯ごたえになってしまい不味かった。失敗作を食べさせてしもーたああああああ。

 ついでにレシピも書いておこうーっと。(2,3人分)
セモリナ粉300g、水185ccくらい
 ボウルに入れて粉切れさせてから、台に取り出して7,8分捏ねる。ポリ袋に入れて1時間ほど寝かせる。打ち粉をした台に生地を置き、麺棒で薄くのして、たたみ、2ミリくらいの細さに切る。ごぼごぼ煮えたぎる湯に塩ひとつかみを投入し、生パスタを数分ゆでる。かーんたーん。
 「うかたま」の撮影のときに、山ほど作ってしまったトマトソースの数々をブレンドし、手打ちパスタに合う味のトマトソースに仕立て上げて、ドバッ!とかけた。ソースだけはさすがに美味かった!

(はっ!今になって思う。あの撮影のとき、やっぱりパスタも出せばよかった。今さらになって後悔。私、パスタなんて簡単だから出す意味ないよーとか言って、載せないことにしちゃったんだけど…。みんな、意外に生パスタ知らなかったり、手作りしたことなかったりして、珍しがってくれるじゃありませんか…。後悔先に立たず。く、くやしいー。)

ラッキー!晶文社のHPがトピックスでリンクしてくれたよー

 混迷を極める私のホームページ建設工事現場。

 明日こそはホームページビルダーをインストールして着工に取り掛かろう。これで、メモ帳htmlのグ打ち容量不足警告文から解放されることでありましょう。
 思えばつらい道のりだった。…・。嗚呼、あまりにも辛すぎた・・。

 晶文社が自社のトピックスで、私のしっちゃかめっちゃかなHPをリンクしてくれました。感謝。このブログの表紙でアピールしている<ホームページ>文字をクリックして出てくる晶文社へのリンク文字(=妙ちくりんな<a href=…タグの打ち間違い部分)をクリックしていただけると、晶文社のHPへ飛べます。
 めでたくも晶文社が出てきましたら、下にさがって「トピックスの更新」をみつけて、それをクリックしてください。
 おおーっ。嬉し、悲し、恥ずかしや。わたくしめの教室宣伝が出てきます。わおう!晶文社よ!あのタグの打ち間違いに耐えつつ、よく頑張ってリンクしてくれました。感動した。ありがとうございます。

 わたしゃあ、タグ打ち間違えが恥ずかしいよ。まあ、そのうち直します。(こういいつつ、たぶん永遠に直すことはないかもしれん。記念すべき恥ずべき我がHPの開幕だったから。永久保存したい気分だ…)。

 

その3・糠床の新規作成ヴァージョン

 本日はお教室です。気を付けていらしてください。

 さて。前回からの継続、「糠味噌」尽くしでございます。本日は「糠床の新規作成」つまり、全く新たにゼロから糠味噌づくりを始めてみよう…というケースです。

 糠床は・糠、・塩、・水、というシンプルな素材で作ることができます。出来上がりの糠床1k分ほどのレシピは下記。(一人暮らし、二人暮らしくらいなら、1k程度の床で十分だと思います)

・米糠500g(米屋さんで安く入手できます)
・塩大匙5−6(50−60gほど)
・水2カップ弱(350−400ccほど)

作り方;
 簡単に言ってしまえば、材料を全て混ぜ合わせて容器に詰めて、野菜くずに軽く塩をまぶして漬け込み、以降、毎日かき混ぜてくず野菜を取り換えると、2週間後くらいには「糠味噌漬けの糠床」ができあがっている…という具合です。

 で、これだけではあまりにもおおざっぱすぎるので、前回の「うまみ出し」や「発酵を促進する」などに記載した諸材料を(入れすぎないように)加えてみてください。

 よく「糠は炒る」と言われますが、私は生糠のほうが断然美味しいし、発酵も早いと感じています。ですから、私は炒り糠ではなく、(毎日の精米で出る)生糠を使用しています。(別に糠臭くもありませんし、何の不都合も生じていません)。
 また、水を煮立てて塩を入れて溶かすと言われますが、現在の衛生状態のよい水なら、別段煮沸する必要はないと思います。
 一番大変なのは2週間くらい続けなければいけない捨て漬けです。そうこう毎日くず野菜が出るものではありません。
 捨て漬けの野菜は2,3日、同じものを使いまわして構いませんよ。キャベツの外葉とか、ニンジンの頭とか、大根の皮とか…を。

 捨て漬けをはじめて10日目あたりから、プーンと糠味噌っぽい香りが立ってくることでしょう。捨て漬けをやめてきゅうりやニンジンや大根などをつけ始めて味見をしてもいいでしょう。(10日目では、まだちょっと若い味ですけれど)。
 ほんの100gくらい、なれた糠床を誰かにわけれもらい、加えて作り始めると、捨て漬けは1週間ほどで済みます。

前ページからの続きで「糠味噌漬け」

 前ページが長くなってしまったので、第二部編に分けます。このページは後半編です。
 前ページは「私の糠床、失敗!?シンナーのような変な臭いがするようになった・・どうしよう!?」の対処法でした。このページでは更新(?へんな言語表現だな)した味の若い糠床(新規作成した糠床も含まれています。…新規作成?へんな言語表現だな)のヘルプです。
 つまり、新規作成バージョンと保存したものを更新するバージョン糠床の話です。

                   
 新規作成の糠床、もしくは保存して更新する糠床の場合、どうしても塩慣れや味のうまみに欠けた若い味の漬物となります。(はっきり言って美味しくない)。
「さっさと発酵してくれー!さっさと美味しくなってくれー!」と、叫びたくもなりますよね。その気持ち、よーく分かります。

 さて、そこで、「目覚めよ!糠床」「美味くなれ、我が糠床よ!」のテクニカルサポートです。以下のヘルプを参照し、実行してください。

@発酵を促進するには

*酒粕、ヨーグルト、蜂蜜、酵母パン、酵母ビールなど、発酵促進作用のあるもののいずれかを(大匙1ほどの控え目の量)を混ぜてみる。
 一番手っ取り早いのが、誰かほかの人から少量の美味しい糠床を100gほど分けてもらい、それを発酵促進剤にする方法。

@うま味を早く出すには

*炒った大豆、昆布、鰹節、煮干し、干しシイタケなどの出し成分のあるものを混ぜてみる。(好みの量。ただし、多すぎてはいけない)。

@酸味を抑制するには

*卵の殻、塩糠などを加えてみる。(多すぎてはいけない。控え目な量)

@腐敗を防止するには

*薬味の投入。→トウガラシ、練り辛子、山椒、生姜、ニンニク、梅などを少し加えてみる。(多すぎてはいけない、控え目の量)

@甘味を出したい場合

*干したリンゴやミカンの皮を少し入れてみる。

@臭い匂いをやわらげたい場合

*干した茄子のへたを入れてみる。梅を1個入れてみる。自分の足の匂いを嗅いでみる。

 以上をお試しください。以上、微生物テクニカルサポートの林弘子でございました。(酵母パン教室なのに、なぜにここまで書くのか?)

 明日は教室です。相変わらず、フランス粉は品切れ。セモリナ粉も私が買い占めて使ってしまったせいで、品切れ。そーだ、アターを使ってみるという手があたー。明日はアターで作るプロバンスにしよう。

糠床も完全復帰で絶好調だア

 糠床の手入れをしている最中に、吉元さんから宅急便でホームページビルダーが届いた!やったー!これで私も文明人だ。メモ帳使ったHTMLタグ手打ちからの脱却を図れるぞー。
 庭も糠床も春の息吹だ。ホームページビルダーを受け取る私の手はワナワナしていた。アル中のせいではない。春の息吹のせいなのだ。デジカメ撮影も手ぶれした。

 おかげでHPビルダーのパックも糠味噌だらけになった。(中は大丈夫)。うちの梅干しや豆味噌との物々交換、それは!!IMBホームページビルダー!!
 味噌や梅干しがあれば何でも買える。味噌や梅干しで手に入らないものなんて無いんだア。
    (いつか、どこかで聞いたことがあるようなセリフ。)

 しかし、本日のテーマはホームページビルダーではないのです。今や花盛りを迎えた糠味噌でございます。
 糠味噌。日々の作業は難しいものではないのですが、単純な作業を続行させることは簡単なことではありません。

 いくら毎日がんばって手入れしても、「失敗しちゃったー!シンナーみたいな変な臭いを付けちゃった!」と叫び声をあげる人が出没するのが、糠味噌漬けです。

 これはエステル発酵です。毒性はないのですが、違和感のあるきつい臭いで食べられたものではありません。以下に対処法を書いておきます。(この失敗は、初心者で頑張りすぎちゃう人がしばしば起こす傾向のある一時的なアクシデントです。失敗と決めつけて捨てずに、糠味噌づくりの一経験ていどの感じで下記のように対処してみてください。)→自称・微生物テクニカルサポーターの林弘子より

 まず、漬け床の中の野菜を全部取り除き、床の表面を平らに均して、上に軽く塩を振っておきます。蓋をして、そのまま常温で2週間ほど置いておきます。小バエなどが飛び回ったりするかもしれませんが、我慢して何もせずに(かき混ぜずに)そのまま放っておいてください。
 2週間目。…・ふたを開けて、のけぞるかもしれません。もしかすると、床の表面に小バエの小虫などが湧いていることもあるからです。
 でも、気にせずに勇気を出して、その床の表面を(数センチほどの厚さで)取り除いて捨ててください。下に残った糠床は酸味こそ強まっているものの、もうエステル臭は消え去っているはずです。
 あとは減った分の糠、塩などを補充してかき混ぜます。これだけで、エステル発酵の問題は解決されます。(エステルそのものは揮発性なので、放置するだけで飛んで行くものです。)

山椒も育ち盛り

 我が心中の葛藤や焦燥とは無関係に、春の恵みはぐんぐんと急成長中。

 今年も山椒の芽が伸び始め、初物の竹の子料理だの、しらす干しとふきの煮物だのの彩りと香りになっています。うちの山椒はちょっと晩生かな。よそ様のものより芽ぶきが遅いみたい。
 でも、国分寺生まれ国分寺育ちの山椒なので、地場を嫌うことなく、今のところ、つつがなく育っています。この季節の芽ぶきものを見るたびに、がんばらなくちゃと思うわけなのですが…・。

 来月近くになったら、国分寺、地場ものの竹の子も手に入ることでしょう。数年前までは、うちの庭にも竹の子が数本生えてきて、竹の子掘りが大変だった。目の前の竹林が伐採されてからは生えてこなくなり、庭生まれの竹の子は当たらなくなった。これはこれで淋しいものがある。

 それでも、ほんのいっときの旬なので、食べられるうちは竹の子料理が日々のごちそう。精米機から糠を取り出しては、竹の子の下ゆでです。

 あ、そうそう。竹の子の下ゆでを米糠や米のとぎ汁だけで行って、そのゆで汁の中に竹の子をずーっと浸しておく人をよく見かけますけれど…。あれ、ちょっと間違っているかも…・。
 米糠などで下ゆでしたアクだらけの煮水に浸しっぱなしにしておいては、糠臭さが竹の子に移っちゃうよ。糠水でゆでた後は、普通の水で二度目の下ゆでをして、糠臭さやアク臭さを取り除くほうが、竹の子の繊細な風味を妨げないと思うんですけど。

 きちんと下ゆでした竹の子は薄切りにして山葵醤油で刺身のようにしていただくと美味しい。天ぷらもOK。汁物の椀だねにも向く。そして、定番の竹の子御飯、若竹煮。
 洋風にバターやオリーブオイルでソテーにすると、甘いてほくほくした味わい。中華素材として、スープや炒め物にも大活躍です。
 いずれもワンポイントのアクセントの香味になるのが山椒。(山椒をチャイニーズペパーとは、よく言ったものです。山椒の香りは確かに中華料理にも向きますよね)。
 季節の出会いものの妙。

 yuukoさん、コメントありがとう。(テンプレートで遊んじゃった。ブログに表紙もつけてみたのだ!これは本文の画面とは違い、HTMLのタグで作るものです。苦労して覚えた「手打ち」タグが、ここで生かされた。きのうは偶然マークンにもyuukoさんの写真ブログを見せたのです。「おおっ、この視点、この撮影技術、アートしている。ただものではない」と申しておったぜよ。)

 

味噌の切り返し

 国分寺跡で「万葉花祭り」をやっているなど知らずに、昼間、のこのこと出かけてしまった。普段の静かな寺や、その近辺とは打って変わり…、人人人の山。

 焼きそばだのイカゲソだののブースが並び、あちこちで電気仕掛けの音楽が鳴り響いていた。その上、フラダンスのご披露まで…。
 28年間も国分寺に住みながら、(万葉花祭りの存在は知っていたのだが)あんなに賑やかにイベントを行っていたなどとは知らなかった…。
 人人人の山が、あちこちで花見の酒盛り。桜吹雪の花びらが雪のようにひらひらと舞い散っていた。
 僧侶姿の坊さんが、ごみ整理係りのボランティア。国分寺第一分団の消防車まで参加(?)していて、消防署の人たちが車座になってお昼ごはんのお弁当タイム。みんなの頭に桜の花びらがのっかっていて、なんとも賑やかにして長閑な風景だった。
 唖然茫然としながらも、そんなシュールな風景を楽しみながらマークンと見て歩いた。本来の我々の目的は、修行にも近い静かな湧水汲みのはずだったのだが。

 (そういえば、今日は證善さんのお父様の葬儀の日でもございます。桜の開花に看取られて、そして桜吹雪の中で肉体を無に帰す。美しい季節に召されたものです。ご冥福をお祈りいたします。私は国分寺・万葉まつりの花の中におりました)。

 うちの味噌も国分寺の湧水で仕込む。今シーズの味噌は100k以上だ。そのほとんどの水汲み役はマークン。(あの人は今シーズン、何十回、国分寺跡まで湧水汲みに行ったことか)。

 前振りが長くなってしまった。(普段の湧水汲み現場とのあまりの落差に愕然として、ちょっと疲れてしまった。でも、楽しかったけど)。本日のテーマは「味噌の切り返し」でございます。

 昨年暮れに仕込んだ<酵母パン教室に自生してしまった豆味噌用麹菌種付け>の豆味噌。(大きな漬物容器に三つ)。
 豆味噌を仕込んだ皆様。そろそろ温かくなるので、要注意季節に突入ですよ。切り返し(全体をかき混ぜる意味)の手入れを怠ると、豆味噌の表面にカビが生える季節になりました。(初期的なものは白っぽいカビです。この程度なら、怖がる必要はありませんので、混ぜ込んで構いません)。

 カビを放置しておくと、産膜酵母(無害)がはびこり、その産膜酵母に有害なカビまで住み着き、味噌の表面をカビだらけにしてしまいます。青、赤、黒など、色とりどりのカビを繁殖させてしまっては、底の部分を取り除いて捨てなければいけなくなります。
 そうなる前に、(白っぽいカビのうちに)全体をかき混ぜましょう。有害なカビは混ぜ込むことはできません。

 米や麦などの(でんぷん質系・ジアスターゼ分解成分の多い麹菌)麹を混ぜ込んだ味噌と比べ、味噌玉仕込みの豆味噌(タンパク質・プロテアーゼ分解成分の多い麹菌)はカビが来やすいのです。

 でんぷん質の麹の味噌は、ある意味、放置しておいてもさほど重症にはならないのですが、豆味噌は違います。

 豆味噌は仕込みもさることながら、そのあとの手入れ、つまり育て上げる行為もなかなか手間がかかるものです。(これぞ、まさしく味噌作りの王道と愉しさでございますが…)。

 豆味噌は味噌というよりは、むしろ溜まり醤油作りに近い難しさがあります。仕込んでおけば、あとは勝手に自分で味噌になってくれる米麹味噌などの簡単さとはレベルの違う味噌作りです。育て上げる難しさが、1年近くも続きます。
 このようなことをきちんと認識する人ではないと、豆味噌作りはできません。仕込むだけで、あとは放っておいても出来上がる…というものではありませんから。

 これから温かくなる季節。豆味噌の手入れに追われます。糠味噌漬けの手入れも毎日になります。パン種の手入れ(種継ぎ)も、寒いシーズンほどのずぼらはできません。

 パン種、糠味噌、豆味噌、この三つはとても似通っていて、その根本的な原理やハウツーは同じです。ただ、単に材料が違うだけです。
 最小限の一素材から、環境に生息する菌を増殖させ、自然発酵で「生み出す」。そして、「育て続ける」。育ち上がるまでは、(つまり成熟するまでは)手間も時間もかかります。
 育ちあがると、あとは逆に楽になります。豆味噌も、春と夏の暑い時期を乗り越せば、そのあとの手入れは少し気楽になりますし…。苦労して育て上げた甲斐あって、おいしい手作りの食べ物にもありつけます。

 生み出し、そして、育てるのが、発酵食作りです。普通の料理の感覚とは違います。うちのパン種によるパン作りもほかの種の感覚とは違います。