生まれたての醤油の赤ちゃん

 醤油麹に塩水を入れました。醤油の赤ちゃんの誕生です。今後は分解が進むまで毎日かき混ぜて、分解が進んだあとは(醤油を濁らせないために)かき混ぜを三日に1度くらいにします。そして、醤油絞りができる時期は8ヵ月後の晩秋11月です。それまで長い道のりです。でも、塩水を入れたらもう安心。あとは発酵まかせだからです。夏になると、こぽこぽと音を立てながら賑やかに発酵します。夜中でも、「ゲフッ」とか「プスッ」とか「コポン」…などという音をたてて…。思わず噴出して笑ってしまうほど、醤油の発酵はにぎやかです。夏を過ぎると少しずつおとなしくなってきます。そして、醤油らしい色に変化していきます。今はまだ、カビのウグイス色をしていますが、少しずつ醤油色に成長していきます。今後、しばらくの間、共に過ごす家族のような存在がまたひとつ増えました。
 醤油に比べれば味噌は本当におとなしい手のかからない子です。

 まだ、一人の生徒もいない発酵食教室。一人で仕込んだ今回の豆味噌と醤油が気持ちの支えでした。

 本日は昼から「うかたま」雑誌の撮影が来る。そろそろ準備にとりかからなくては…。今日も良い天気になりそうな早朝の空です。

湧き水を汲みにいき、塩水の用意をしなければ

 昨日、盛んに発熱した醤油麹は本日は少し落ち着いて安定してきた様子です。悠長に構えていないで、そろそろ塩水を加えて本仕込みしなければいけません。盛大に立ち昇らせていた醤油麹臭さも本日は小康状態。発熱するときの醤油麹の匂いは、変な表現ですが、ちょいと靴下系。しかも、好きな男の子の靴下の匂い。ですから、イヤな匂いではないのだけれど、なんだか、少し秘密めいた少し恥ずかしい匂い。これを嗅ぎ取ったら、即座に風通しのよい状態にすることが大事。秘密の花園を開放するわけです。これをせずに放置しておくと、その靴下の匂いは粗悪化し、私のお父さんの靴下と同じ臭いになってしまいます。この臭いをつけてはいけません。強烈すぎます。これが醤油作りの大事なポイントです。分からなければ、実際に嗅いでみればよいのです。おとっつあんの臭いと現役オトコの匂いは明らかに違います。

 ともかく、こんなことを書いていないで、早く水汲みに行かなければ。

緊迫の一日…ああ、醤油麹よガンバレ!生きろ!

 2月25日に仕込んだ豆味噌を切り返してみました。おおっ、すごい旨味です。まだ、1ヵ月もたっていないのに、すでに濃厚な味噌の旨味に驀進しています。一言で表現するならば、お豆のチーズみたいな味。しかも高品質のチーズの味です。大豆でチーズを作る実験をしてみたいんだよね、わたし、本当は。(また、ドアホなこと考えているんだべ?とか、思っているんだろ?くそ。)。だって、ホント、チーズみたいに濃厚な風味と味なんですよ。信じておくれよ〜。(どうせ、誰もわかってくれない)。イジイジ。私は豆糀でお豆さんのチーズを作れると、(一人で)考え込んでいるのだよ。いいもんねー。一人でやってみるもんねっ!ーだっ。みんな、嫌いだ。
 でも、もし、作れたら、牛乳ダメな人でも食べられるチーズになるよなあ。できると思うんだけど…。乳製品ダメでも豆大丈夫とかいうヤツっているじゃん。できればいいなあ…・。

 まあ、そんな夢物語なんか、どうでもいいんだけどさあ。(でも、頑張る)。

 醤油麹は時々刻々と変化し続けています。先仕込みの完成間近の麹はさかんに発熱しており、放っておけば35度くらいまでお熱を上げます。まるで、人間の肌を抱きしめているようにムッと温かい。ああ、麹は生きているのだよ。本日、1日の間に何度もかき混ぜて温度を下げて、気が気ではない。仕事にならない。でも、酒と煙草だけはやれる。前向きだろ?
 かたや、後から仕込んだ醤油麹。これはカビの赤ちゃんがぽつぽつと確認されました。多分、昨夜の満月の夜に、小さな命を発芽させたのだと思う。本日、早朝に(明るくなってから)その生命の誕生に気づいた。(私、老眼になったので、夜間はモノがあまり見えないんだよね。)私も満月にぴったりカンカン大当たりで生理が来たし。私はどういうわけか、満月の夜に生理になる傾向にある。たぶん、狼男の親戚か何かなのだろう。ともかく、生理が来て、後から仕込んだ大豆にはコウジカビの赤ちゃんが誕生した。因果関係はないと思うけど。
 このぶんでは来週そうそうにでも、塩水を入れて醤油仕込みができるかもしれない。お鷹の道に行って、湧き水を汲んでこなければ。醤油の本仕込みまで、しつこくリアルタイムに、お豆さんと微生物の命の競演をここに記載したいと思います。(できなかったりして。インターネットの督促状が毎度来ているんだけど。)

今週のパンでした

 焼き上げて写真を撮ったのが真夜中過ぎ。自然光撮影できずに色が変な写真をのせたので、朝に取り直しました。予告の「今週のパン」掲示のはずが、過去形の「今週のパン、チョコクロワッサンでした」になりました。

 この季節だけ、成形すませた生地を常温ほったらかし発酵を半日ほど。(保温せず。)これが一番ラクチンです。夏や冬は該当しませんけどね。ちょうど、今くらいの気温のときだけですけど。寝ながら発酵が最高です。
 マジメに30度で保温して当日焼き上げる場合でも4時間〜6時間は覚悟ですから。いっそのこと居直って保温せずに長時間発酵です。でも、これは温度変化を悪魔的カンで予測しなければいけないので、経験だけがものを言う。カンが外れたら、クロワッサンでも、ちゃーんと発酵過多を起こしてくれるから。放ったらかし発酵にして安心して眠るためには使用する中種が、きちんと種継ぎしたものであることが大事。

続:ところで、ちゃんとクロワッサン焼いた??

 ところで…・。

 本日の教室で持ち帰った生地、ちゃんと焼きましたか?忘れて寝ちゃった、とか…・?

 私はえんえんと常温ほったらかし14時間目のクロワッサン生地をイヤイヤ焼き上げました。(わけあって室内温度を上げたくはなかったのだが)。

 どっか〜んと、どでかく膨らんで焼きあがりました。(当たり前だ、半日も放っておいたのだから、酵母たちは喜び勇んで増殖しまくっているのだ)。

 もー、最高の出来ですよ。クロワッサンはボケ気味にトロ〜っとしたペースで作るとうまくいきます。

醤油麹は夜半より、いよいよ熱を持ってきました

 カビが出揃って旺盛に繁殖しはじめた醤油麹は夜半より、いよいよ熱を持ち始めました。やはり、私がよんだとおり、今夜(15日〜16日にかけた夜中)が山場の峠でした。麹は発熱を始めると、熱を冷ますために空気を送り込んだり、涼しい場所へ移したりしなければいけません。夜中、12時過ぎに麹をかき混ぜて熱を冷まし、涼しい場所へ移動させました。

 もう一方の仕込みたてのものは匂いがいよいよ変わってきました。ここが一番の勝負。醤油麹のカビが発芽してくれるか、してくれないのか?の賭けですよ。なにせ、相手は見えない菌の生命活動です。麹カビになるか、枯れ草菌に取り付かれるか、乳酸発酵してしまうのか?この三つのうちのひとつへの勝負時。この状態のものは無理やり温めたり湿度を与えたりせず、むしろ平静をよそおって、緩やかに温めて少しだけ換気を良くしてムレを防いであげます。醤油麹カビの赤ちゃんが生まれてくるか来ないかの境目ですからね。絶対安静の要注意体制なのです。産婆さんの目。

 ということで、私としてはめずらしく、真夜中の12時過ぎにマジな顔でこの事態をみつめているのです。家庭での手作り醤油の原稿を起稿中の豆本に絶対に入れたいのです。今、成功させておかなければ、時間的な意味で(季節、発酵熟成の期間、プロセスの撮影)原稿を作られなくなる。やはり、難しくても醤油だけは外せない。「豆尽くし〜日本のお豆さん〜」となると、単なる料理だけではなく、やはり味噌や醤油や豆腐も絶対にコテコテに入れたいですからね。発酵食の女王、種付けの女帝としてのプライドもかかっておるのじゃよ。これをやらなきゃ私の本じゃないからね。意地でも成功させてみせるぜ。

 豆乳や豆腐がお豆さんのおっぱいなら、そして、味噌がお豆さんの骨肉なら、…醤油はお豆さんの血なのです。醤油を含めて、このようなものを作ることの難しさ、そして、その奥底にある生み出す楽しさ(というよりは、ほとんど苦しんでいるのだけれど)、本当の美味しさ。これをみんな知らないから、平気で食べ物を粗末にするんだ。粗末にすることと、ホンモノならざる粗悪なまがい物の大量生産は、交互関係で存在してしまうと思うのです。私は醤油の1滴すら無駄に捨てたりなんかしないよ。購入するものでもペットボトルに入った1ℓ300円なんていう○○もどきなど買わないし。ちゃんと作られたものしか購入しないし。1本千円でも高いとは思わないよ、ただし、本物であるならね。買わせてもらえるだけありがたいとすら思う。そして、まがいものであるならば、1本300円でも高いと思う。 

 食べ残した天つゆとか醤油とかでも、ビンボ臭く大事にラップかけてとっておいて、後の食事できれいに食べ尽くす。ダシも醤油も身分・収入不相応なくらい良いものを使っているからね。平気でジャーッと捨ててしまう人を見ると、逆に貧しさを感じるね。あ、この人たぶん、自分の家ではろくなものを使っていなし食べてもいないなあ…と感じる。もし、ホンモノのだしや調味料を使って食べているのなら、その手間隙や美味しさや高価さを身を持って知っているものです。そうすると、粗末になんかできないからね。

 オバサン臭く口はぼったく言ってもダメなんだよね。まずはホンモノの味を食べさせて、それが手間隙かかったものであることを知ってもらわなければ。だから、教室では絶対に小言や説教臭いことは言わないのよ。ただ、だまって、もくもくと作り、食わせるだけ。ちゃんとしたものを食べさせるだけで、たったそれだけで、人は食べ物を粗末にしなくなるのです。でも、たかがパン教室。ここまでやる必要はなかったのかもしれないと、虚しい気分にもなります。

 この10年、少人数体制とはいえ、たくさんの人たちがキッチンファミリーになっていった小さなパン教室。何の感傷も未練もなく終わらせます。

 そんなことより、私は今夜、醤油麹の勝負時なのです。

また、カビの写真に戻ります

 写真左が生えそろい始めた醤油麹です。右側が仕込んでまだカビが出始めないものです。カビがでたもののほうは豆をあまりつぶしていなかったので、カビの出芽状態の正常さを確認した撮影後、もう少し細かめにつぶしてみました。右側の「待機中」のもの(いざ、成功するか否か?)と、これからの旺盛な繁殖が来たいできる「イケイケ!ガンバレ中」のもの、どちらも今日明日中が勝負の峠です。
 先に成功した左側の豆を少し右側の待機中のものに混ぜ込んで発芽促進にしています。
 発芽して生えそろったものは安心して保温保湿に入っています。ともかく、左側のものは醤油に仕込むことが可能であることを確信しました。

パン教室 今週のパンはチョコクロワッサン

 画像なし。すみません。醤油麹の「カビ」を激写することに血道をあげていて、チョコクロワッサンの写真を撮るのを忘れていました。写真なんかなくてもチョコクロなんて誰でも想像つくでしょ。あれよ、あれですよ。
 いつもは捏ねた生地を一晩寝かせて低温発酵させたものにバターを折り込んでパイっぽいものにしています。でも、今回は捏ねた生地にすぐバターを折り込んで、それを一晩寝かせるというパターンの生地です。こちらのほうは、パイというよりは、むしろパンに近い生地になります。チョコレートのクロワッサンはパイ皮よりはフカフカのパンに近い生地のほうが食べ心地がよいのです。(プレーンなものは断然パイっぽいものの方が美味しいけれど。)

そう。高橋大輔クンも、ウチの麻衣ちゃんも大好きなチョコクロワッサン。これ、キョーシツでも作るの!!

 醤油のカビの出芽が正常であることを確認し、やっと保温保湿体制に突入できました。保温保湿したとたん、私の可愛いカビどもはモコモコと元気一杯に増え始めました。まるで、生まれたばかりのわが子の顔を日がな一日飽きることなくうっとりと眺めていた過去の日々を思い出します。見るたびに大きく育っていくのよねえー。そのうち、すぐに成長したカビたちを見せびらかすために画像添付しますからね。楽しみに待っていてください。とても元気な良い子たちです!

醤油作りの豆糀出芽

 醤油用の豆糀作りのために種付けしてから、なんと6日目。やっと正常カビが生え始めました。枯れ草菌にやられることもなく、乳酸発酵してしまうのでもなく、醤油麹の小さな赤ちゃんたちが生まれた!
 豆味噌などより格段に難しい醤油作り。この10年、何度も何度も失敗して、うまくいったのはたった二度だけでした。でも、手作りの自家製醤油の美味しさは、…もうーこればかりは筆舌に尽くしがたいものがあるのです。発酵食教室の開始に向けて、なんとか醤油仕込みも成功に持ち込みたいと念願していました。普通はもっと早く出芽するのですが、失敗を恐れて水分も湿度も温度も全て控えめに抑制して、待って待って待ち続けて、やっと「成功」を確信しました。この写真で見えますか?白や黄色のカビが。これが熟すと緑がかってくる。最後は全体が緑がかったカビに覆われるのです。全体が覆われるまで、あと2,3日かかります。豆味噌の菌とは別で、醤油用の菌が種です。でも、豆味噌の麹とよく似ています。本当はもっと大豆を潰さなければいけないのですが、これも失敗を恐れて潰しはかなり控えめ。普通はもっと豆が潰れています。(そのほうがカビの生え方も早くて盛大なので。)今回は全て抑制気味だったのが成功への方向性だったようです。今までは、なるべく早く、なるべくたくさんカビを生やそうとして、保温保湿に神経質になりすぎていたようです。

 醤油、味噌、酒、酢、パンなどを美味しく作り上げる元々の根源は、全て「カビ」なんですよ。カビと言っては気持ち悪いと感じる人が多いので、微生物と言っていましたけどね。
 カビが無ければ、塩か砂糖か油でのみの調理になります。私たちの美味しい食生活が、いかにカビたちの生命活動の上に成り立っているか。発酵要素のない料理のなんと味気ないことか。

 現在、味噌や醤油などの基本調味料(つまり発酵調味料)のほとんどは輸入材料に薬品と化学調味料を添加して2週間程度で作り上げてしまう速醸品で、本当の発酵食ではありません。きちんとまともな作り方をしている業者など、極わずかの少数派です。いうなれば経済社会の中では「あぶれもの」になっている。
 そのようなホンモノは簡単には入手できないので、日本人でありながらも、本当の日本の味、伝統調味料の美味さを全く知らない人がほとんどです。これって、とても残念なことだとは思いませんか?私はとても残念なんですけど。とてもヤバイことだと思っているんですけど。スーパーに並ぶ、発酵食ならざる速醸仕上げの味噌もどき、醤油もどき、みりんもどきの山々山々…。あのようなものを平気で口にしておきながら、一方で外国への「グルメツアー」ですって。

 貧しいよね。

 とは言うものの、醤油はなかなか手作り成功率が低かった。今年の晩秋には醤油絞りと、自家製醤油をふるまうことができると思います。
 目の前の辛さと格闘しつつも、来るべき時を夢見るのでございます。

味噌玉の乾燥2週間目です

 豆味噌作りの味噌玉乾燥からほぼ2週間がたちました。味噌玉を割ると、中には白と黄色のカビが育成しはじめました。このカビがもっと育つと、ウグイス色になります。それで乾燥OKです。豆糀の菌の増殖に成功しました。腐敗することもなく、他の雑菌に取り付かれることもなく、なんとも健気に豆糀菌はすくすく育ってくれて…ううっ!嬉しいよ、おっかさんは。ああ、こんなとき、おとっつあんがいてくれたらなあ〜。ああ、それは言わない約束でしょ。ホント、いつもすまねえなあ…。

 味噌玉はすでに、ぶっつけ合うと、怪我をするほどまでに硬くなっています。(暴力に使用してはいけません。)平和利用のために、後日、塩水に漬け込み「豆味噌仕込み」といたします。

 初回発酵食教室は今月25日(土)午後2時からです。今回のテーマは豆味噌ー日本のお豆さんー。そして味噌玉を由緒正しい菌玉に育て上げるレクチャーです。カビ世界の(パンの酵母もカビなんだよ)素晴らしさ、その生態系の偉大さ、そして、それが生み出してくれる美味しい世界をご紹介いたします!(と、一応、前向きなことを言いながらも、パン教室をやめてしまったとたんの経済破綻で金策に腐心して落ち込んでいる。)