なかなか温かくならないね

 昨日、玄米麹を取りに来るはずだった慧光寺のご夫妻。私が本屋に行っている昼の不在中に来ちゃったみたいで、麹を渡しそこねてしまった。
 まあ、それはそうと、夜に證善ちゃんから電話が来て、彼のお父様が、亡くなられたことを知らされた。数日前に少し快気されたようなことを聞いたので、安心していたのだが。
 お坊さんだけあって、平常と変わらぬ柔和な落ち着いた声だった。しかし、覚悟していたとはいえ、死とは急なもの。看取るほうも、さぞかしお疲れになっただろうに。
 桜の花に見送られ、召されて往かれたか…・と思うと、窓から見える桜の花が、なんだか偉大な哲人に思えてきた。
 證善住職、喪主と僧侶の一人二役であろうから、ここ数日間、ご夫妻は大変になるだろうなあ…・。ご無理なきように祈るのみ。
 味噌づくりどころじゃないですよ。里子に出す麹ちゃんたちは、彼らが少し落ち着くまでしばし我が家の冷蔵庫で寝かせておこう。

 ちなみに、出来上がった麹は冷蔵庫で1週間から10日間ほどは持ちます。ほかの保存手段としては、塩切り麹といって、塩を混ぜ込む方法。これは味噌作りのための麹保存法です。大豆の半分重量の塩を麹に混ぜ込んでおけば、発酵も腐敗もストップさせることができます。
 證善ちゃん「浸し大豆から芽が生えてきちゃった」と焦っていましたが、発芽大豆は発芽玄米と同様、健康には有用なものです。わたしなど、親に送る分の味噌の大豆はわざと発芽さて使うくらいです。(自分自身の不摂生は棚に上げておきます。親には少しでも長生きしてもらいたいですから)。
 発芽大豆にするときの注意点は、浸し水を何度か取り換えてあげること。浸しっぱなしでは、水が発酵して臭くなってしまいます。(かなりイヤな臭い。この臭いをつけてしまっては、大豆の風味が台無し)。

 もし、麹が余ってしまったら。甘酒作りなど、いかがですか。

 もち米を蒸すか煮るかして、さらに適量の水を加えて全粥くらいの水分量になるように煮ます。60度から70度くらいまで冷めたら、もち米と同量くらいの麹を混ぜ加えます。あとは、60−70度くらいの温度を8時間ほどキープするだけで簡単に出来上がります。保温は保温ビン(昔の言葉で魔法瓶とかジャーとか言う)に入れておくだけのことです。
 60度とは、なかなかの高温ですが、これは麹菌がぎりぎり熱死するくらいの温度。甘酒は「発酵」ではありません。麹の糖化力を使って米のでんぷん質を甘くする行為です。60度という高温と時間で全粥状だった米は甘い水分に変わります。これが、甘酒。
 甘酒を2週間くらい放置しておくと、シュパシュパと気泡を立てて「発酵」してきます。これは空中の野生酵母が住み着いて、甘酒の糖を乳酸発酵やアルコール発酵に導いたせいです。(乳酸飲料のお酒みたいで、なかなか美味しい)。これ、もっと時間がたつと、本当に「お○け」になちゃうのよね。(わざと作ると酒税法違反のものですが、「いやーん、できちゃったー!」ものは、…過ちなのですから…、しょうがないでしょう。)(経験をつむと、これも確信犯であるかもしれないが…・)。