冬は麹菌の季節です

 自然発生した豆麹菌を種付けし、菌の増殖を図っている味噌玉には本日、コウジカビの初期の出芽である白いカビを確認。たぶん、成功してくれるであろう…(と、切望しておるのじゃが…・)。
 今まで、豆麹のコウジカビを自然発生させようと、いろいろ苦労したのです。種付けしていない味噌玉を干したり温めたり。それでも上手くいかなかった。どうしても、他のカビが生えてしまう。それなのに、放置していた酵母パンの底に、びっしりと(まるでコウジカビを生やした味噌玉みたいに!)コウジカビが自然発生していた。偶然に発生し、…神様からのプレゼント!とばかりに、自家採取できたコウジカビ。
 はっと気づけば、自然界では冬は麹菌が全盛期の季節なのです。麹菌の活躍は他の季節より精力的。ある意味、この時期に自然発生しても不思議はないのです。
 さて、写真は自然発酵してしまった「甘酒」です。こうなると、性格には元・甘酒だったもの、です。野生酵母が付いてしまい、ゴボゴボと発酵を始めました。米麹を作る道具とパンを作る道具が同じものなので、必然的に甘酒は発酵してどぶろくになってしまう。甘酒は自然発酵するとモロミ(米麹)が上に浮き上がってくるのです。(ワインなど、ほかの酒もそうです)。
 麹菌と酵母菌のアバンチュール。これがお酒。糖化した麹は野性酵母のエサになり、酵母菌たちの生活はアルコールを生み出します。アバンチュールと言うよりは、一種の食物連鎖と言うべきでしょうか。麹の糖化は同時に乳酸菌のエサにもなります。ほんのりとした甘酸っぱさは、まさしくお米のお乳です。
 私の田舎の親も冬になると甘酒を大きなカメに作っていました。甘酒とは呼ばずに「あまかい」(甘粥)と呼んでいました。「甘いおかいさん」という意味です。たぶんこれは北海道弁ではなく、母方が尾張藩の出なので(侍時代の生活を知っている大バアチャンが103歳まで長生きして、ずっと尾張弁を喋っていたので)尾張弁の名残言葉だと思う。私がときたま「さあ、みなさんやあ〜、行くぞよ」なんて変な言葉を使っちゃうのも、北海道弁なのではなくご先祖様の尾張弁がのり移っているのです。ちなみに、もっと因縁深いことを言っちゃえば、母の祖母の家内業は麹屋と豆腐屋でした。私が麹だの味噌だのといった発酵食作りが訳もなく好きなのは先祖の祟りなのかもしれんぞよ。血筋というものは菌の生態系のようにつながっているのかもしれん。
 本日はお教室でございます。今や我が家は督促状ハウス。いつ電気やガスが切られるのかも知れたものじゃなく、毎日びくびくとしておるのじゃ。スリルとサスペンスに富んだ日々である。下手なミステリーなんか読むより、よほどドキドキする。本日も無事に教室ができますように。神様!ついでに、ご先祖様!お願いいたします。(教室中にガスと電気が止まりませんように!)。笑うな!ン〜モー、人のことだと思って。