百合根料理が始まります

 百合根が店頭に並ぶ季節です。

 百合根はアクがあるので、煮物や蒸し物に使う場合は先ず、ゆでこぼしを2回行うことを下ごしらえとします。麟片にした百合根を沸騰した湯に放ち、ザルに開ける瞬間、そこはかとない百合の花の香りが立ち昇ります。百合は花だけではなく、その根にも香りを宿しているのかと。…・。なんだか健気に感じてしまい(秋のセンチメンタリズムも手伝うのでしょうが)、ちょいと涙ぐんだりします。すんません。まあ、こんな話は料理とはあまり関係ない一言かもしれません。

 ゆですぎてはいけません。麟片が透明になるまでゆでこぼしてしまったら、百合根はマッシュポテトみたいなペースト状になってしまいます。そうなってしまっては、百合根の風味も吹き飛びます。ですから、透明になる前にザルに引き上げるのがポイントです。百合根はほっくり甘いじゃがいもと栗を混ぜ合わせたような優しい素材となります。(湯でこぼしの時間からすると、たかが数分です)。

 下ごしらえを済ませた百合根は、茶碗蒸し、ポテトサラダ、野菜サラダ、コロッケ、グラタン、うま煮などの煮物素材の一品にします。煮物にするときは、煮崩れしやすいので最後に加えます。また、和菓子、洋菓子の材料としても使えます。百合根をベースにした百合根餡は上品な甘味と柔らかな口当たりです。教室では3週目のアイテムの一品に百合根料理も入れています。(なにせ、毎年のことだけど、北海道からダンボール一箱も送ってもらったんだから)。

 下ごしらえした百合根と塩茹でしたインゲンをさっと和風ムニエル(醤油とみりんの調味で、さっと油いためするだけ、バターでもいいし、ごま油でもいいし、サラダオイルでもいい)にした簡単料理は、この季節の速攻料理の一品。速攻料理にするためには百合根の下ごしらえは欠かせません。