今シーズン初のせっけん作り

 ミキサーが直ったとたん…(壊れたときは「よく働いてくれたね〜ごくろうさま〜25年間も苦楽を共にした我がビジネスパートナーよ〜おおおおおっ!」と泣いて撫で回していたくせに…)、酷使に次ぐ酷使。鬼か、わしは!?
 パン生地を捏ねさせ、菓子生地を捏ねさせ、ソーセージの肉を捏ねさせ、味噌を捏ねさせ、パイ生地を捏ねさせ…・・そして、ついに、本日は石鹸まで捏ねさせているのだ。
 確かに、鬼に違いない。

 石鹸作りのめんどーなところはオリーブオイルと苛性ソーダをずーっと20分も休み無くかき混ぜ続けなければいけない段階です。これを手作業で行うと、マジ疲れる。ともかく人間の筋肉と精神力というものは同じ動作を同じペースで休み無く20分続けるということには不向きにできているのだ。この事実と肉体の限界を運動生理学的にも実感できるのです。
 ミキサーはエライ!モンクも言わず、不平不満ももらさず、ペースも落とさずに、じっと我慢の子で20分間、同じスピードで黙々と回転し続けるのでございます。その姿は、孤高の哲学者か、悟りを開いた禅僧のごとし。私には到底真似できぬ。ミキサーよ、あんたがやっておくれ。スイッチオン。
 その間、私はお茶を飲みながら煙草を吸い、鼻くそをほじったり、写真を撮ったりして、かいがいしく石鹸作りをお手伝いしているのだ。お手伝いと言えるのか否かは分からないが。20分後。石鹸生地は出来上がった。

 ミキサーはエライ!パンもお菓子も味噌も餅もソーセージも餃子もパイも作り、そして今日は石鹸まで作ってくれちゃった。
 今から仕込んでおけば、クリスマスプレゼントに充分間に合う。想定外のミキサー修理で、乏しい我が全財産を完全に枯渇させ、クリスマスプレゼントなんぞは買えるあてすらない。手作り石鹸で誤魔化そう。経済破綻の元凶のミキサーに、自ら落とし前をつけさせた。
 ミキサーはエライ!自分の落とし前を自分でつける。見習おう…。私もミキサーに負けない立派な人間になりたい。