作戦第二弾を開始します

 思い通りに売り上げが伸びない「たくや」。ったくや〜ねんでえー。もうこのさい「たくや」じゃなくて「なにや」にするべーということになった。
 弘子ちゃんの持ち駒、第二弾を開始する!ともかく、ディスプレーが下手。私は厨房で料理を作ることだけで手一杯なので、店のディスプレーまで手出しするヒマがないわけよ。でも、放っておくと、商品の料理はガラスのショーケースの中で「残り物」的様相を呈している。
 作りたての熱い料理は、先ず常温ケースに並べる。冷めたらガラスのショーケースにディスプレーする。減ってきたらパック詰めして、オープンのショーケースに並べる。教えたとおりの手順を一応みんなやるようにやっとなってくれた。(やっとだよ、やっと!そのくらいのこと、私に言われなくても思いついておくれよ〜よ言いたい)。

 ところが、この一番大事なオープンショーケース。開店前夜、店長の潤ちゃんから電話があり「どうやら、漬物やさんが使うやしくて、僕たちは使えないそうです」という信じられない話がきた。そして私は最大級にぶち切れた!最初と話が違うではないか!潤よ、おまえさん、一体何を騙されたのだ?ふざけんなよ!頭に来た私はスペースデザインのオトコに怒りの電話をかけた。最終決定図面をわたされたときは確かにオープンケースも我々のスペースになっていたのだ。「てめー、ふざけた嘘の図面を出しやがったな!どうしてくれるんだ!責任を取れ!今までの私の企画がメチャクソになってしまうではないか!!なんで、嘘のふざけたことをしやがるんだ!」怒鳴り散らしたら「い、い、いえ、騙したわけではなく、メビウスが…あの・・すみません。僕も仕事なので、しょうがなく…あの。ごめんなさい」。オロオロ。「バカヤロー!てめーらとなんか、二度と仕事をしたくない。二度とくるな!」と大爆発。
 となりの漬物やさん。その私の怒り具合を見て、漬物や自らが自主的に場所を空け渡してくれる申し出となった。(まあ、それでも私たちの怒りは収まらなかったのだが)。

 まあ、このようにして、すったもんだで何とか手に入れたショーケースのスペース。有効活用しなければ漬物やさんにも申し訳がたたないわけです。それなのに、ああ、それなのに。弱気の店長は沖縄物産商品をコソコソと並べているのですよ。「あほ!」

 オープンケーススペースは人通りの少ないレッドゾーン。勝負のしがいのある未開発スペースなのだ。
 私はそこをサラダとサンドイッチを並べるブランシェリーのデリカコーナーにすることに決めていたのだ。おフランスの惣菜屋さんみたいにしたかったのだ。「おーい、潤ちゃん。あの沖縄物産モノを引っ込めておくれよー」。
 私はいよいよ、我らが教室の自然発酵種の酵母パンを開始するのだ!自家製パンによるデリカのサンドイッチコーナーだ。サラダと和の弁当も並べる。焼きたてのクロワッサンも籠にもって並べたい。
 常温ケースはできたての熱い料理とお握り。ガラスケースは惣菜。そして、オープンケースは、どういうわけか、デリカとサンドイッチとパンなのだ!どーだ、文句あっか?ないない、ないよ、でも、なにやなの?…。いいじゃん、別にどうだって。売れるものは何でも並べて試してみようよ、ね、いいでしょ!?「あ、は、はい」。あくんまでも、従順な店長でございます。
 ところが、厨房にはオーブンはあるのだが、ホイロがない。発酵が思い通りに進まない。思い悩んでいたら、純子が大発見。「先生、オープンケースの裏から、すぐい熱気が出てきて温度があるんですよ」!!やった〜。そこをホイロスペースにするべー。これぞまさしく、資源の有効活用だ。電力を有効に無駄なく活用しよう。
 ところが、我らがアホンダラ店長。その「大切なホイロスペース」に沖縄特産のゴーや茶だのジュースだののストックダンボール箱を山積みにしている。「あほ」。さっさとどこかへ引っ込めておくれ。邪魔だ。オープンケースの裏は大事な「ホイロ」スペースなのだ!そこ以外に、保温場所はないのだ!いいか、一番勝負の難しいオープンケーススペースは、商品企画の鬼の林弘子に全てまかせろ。私がブランシェリーのデリカにしてみせる。和洋混在でいいのだ。特に地下一階にはサラダバーもパン屋もワンドイッチコーナーも無いのだ。他店にないものを並べるしかないのだ。沖縄物産店は全然売れていない状態の店がすでに一店あるのだ。沖縄一色の店が。
 売れない物産販売はその店に委ねておくがいい。私たちは地下1階にないものを始めるのだよ、いいか、分かるか、オマヌケな潤ちゃんよ。「はい」。よしよし、いい子だ。弘子ちゃんの言うことをちゃーんと聞けよ。今のままでは、あんたはつぶれるよ。

 このようなわけで、開店二週間目。ついに、私の本領発揮をおっぱじめることにしたのです。それにつけても、あの裏側のスペースの山積みダンボール箱。潤ちゃん、さっさとよけておくれよ。邪魔で邪魔でしょうがないんだから。しかし、よくもまあ、あんなに大量のお茶だのジュースだのをよく持ち込んだものですなあ。呆れ果ててものも言えなかったです。オープンケースを使ってもいいと話しが急に一転二転してしまったので、潤もあせって運び込んでしまったのでしょう。かわいそうといえばかわいそうなんだけど、話が違うことになぜに強く抵抗しなかったのだ?なぜに闘わなかったのだ?なぜ、言うことを聞いてスペースを前夜に諦めるなんていうことをしてしまったのだ?
 潤はメビウスの言いなりになった自分の責任で弘子先生には本当に申し訳ないことをしてしまったと謝っていたけど、別におまえさんが悪いわけではないのだよ。ともかく、変な話には弱気になってはだめだよ。「すみません。許してください。全部、ぼくが悪かったのです」。いやだ。私は絶対に許さない。スペースデザインの花井をぶんなぐりそうになったら、花井君もびびって、ずっと平謝りだったので、怒りは晴れないままだ。そのぶんの怨みもこめて、オープンスペースを花開かせるのだ。当面、ますますクソ忙しくなる。ルンルン!