開店4日目、店長は少々お疲れモード

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 本日で、立川ルミネ店「たくや」は開店4日目を迎えました。無事に迎えましたと報告したいところだけれど、…店に午前中に入った私は、またまた「ガーン!」。

 毎朝、7時半の早出で出てくる店長の新川、何をカン違いしたのか生米同然のボリボリ硬い米を炊いてしまい、従業員はそれでお握りを作って売り出してしまっていた。昌弘が「先生、今日のご飯、すごく固いんですけど…」と、私に開店一番に報告したのだけれど、私はあまり気にせずに放っておいたのです。多少、水加減を誤算したのだろう程度の感覚で。
 ところが、後から、その「硬いご飯」を一口食べてみてのけぞった!硬いなんていう生やさしいしいものではない。生米同然なのだ!よく、これでお握りが握れたなあ〜、うちのこたちは天才だ〜と、ミョーに感心してしまうほど、マジ、ホンマに硬い(というか、生)なのだ…。慌ててショーケースの「展示物」を回収するように指示する私。冷やさせが滲み出してくる。
 時間は昼に近いころにやっと気づいたのです。すでに「生米お握り」を売ってしまっていた。売ってしまったものは取り返しが付かない…・。やばい。
 厨房から店に走る私。惣菜のショーウインドウは、なんとなく貧相。そして、お握りは生米お握り。血の気が引いてくる。
 惣菜を盛り付けた器は、「残り物」然とした量の惣菜しか盛られていない。店の冷蔵庫に中にはストックの惣菜を入れておいたというのに。たぶん、店頭に並べたものを売り払ってから、次のものを盛ろうと考えていたのだろう。どこからどう見ても、「残り物のおかず」だ。
 先日にオープンショーケースのほうを「沖縄物産展」的品揃えにした店長に、物産展にしてはダメ、デッドスペースになってしまう、惣菜やご飯の詰め合わせパックを並べてと、指示したせいもある。惣菜やご飯の詰め合わせパック作りに時間を取られ、肝心要の惣菜ショーケースの中が、今度はおざなりになっていたようだ。惣菜のパック詰めをオープンケースに並べたとたん、脚の流れはちゃんとオープンケースのほうまで流れていった。そして、ちゃんと立ち止まって手にとってくれる。しかし、惣菜ケースの前を今度は素通りするようになっていたのです。これでは本末転倒!

 私は厨房での仕込みがメチャクチャ忙しい。店のほうにまで頻繁に目や手が回らない。目を離すと、店がとんでもない落ち度になっている。一日、厨房と店を何往復しているのだろうか。ほとんど運動会です。

 店のディスプレーを手直しして、走って厨房に戻り料理して、それを持って店へ走り、店の盛り付けを手直しして、また厨房へ走っていき料理する日々が続いています。
 今まで、けらけらと天真爛漫にどこか明るかった店長の潤ちゃんも、本日は心なしか顔色が悪く元気がないのです。かなり、今までの疲れがたまっているようです。この一ヶ月間、ほとんど一緒でしたが、彼は不眠不休に近い時間を過ごしてきたのです。私は彼の異常なまでのハードスケジュールをリアルに実感してきました。ハードに見せないのどかさと芯の強さがあるのだけれど、でも、やはりにんげん、疲れの限界はありますよねえ。昌弘が「新川社長、今日はどよよ〜んと何だか暗くなっているんですけど」と私に垂れ込む。潤ちゃんは私の前ではいつもニコニコ笑顔なんだけれど、昌弘の前ではサービス笑顔は見せないみたいだね。かわいそう。少し休ませてあげたいです。

 午後3時、やっとお昼ご飯を食べさせてさげる時間ができて店まで迎えに行ったのです。素直についてきたけれど、やっぱりどこか元気がない。中年女の意地とスケベ心で、ぎゅっと手を握ってみたのです。つないだ手を元気に振って厨房まで引っ張っていったのです。途中、潤ちゃんも一度だけ、ぎゅっと強く手を握り返してきました。でも、すごく恥ずかしそうでした。厨房の前で握っていた手を彼のほうからすっと離しました。
 お手ー手〜つないでーのみちを〜ゆーけえ〜ばー・・という懐かしい歌みたいに、店から厨房まで、二人でおててをつないで元気に歩いたのです。(ほかの店の人たち、さぞかしあきれたことでしょうね。ははははは!)
 お店を立ち上げて始めるということは、本当に本当に、大変なことです。とても、辛くて苦しいこともたくさんあります。でも、やるとなったら、あきらめてはいけない、小さな失敗でめげてもいけないし、そして、それに疲れた自分を自分で休ませてなぐさめてあげなくてはいけないのです。他の誰が代わってくれる苦しさではないですし、他の誰が慰めてくれるわけでもないからです。
 本当は、おててつないで〜ではなく、本当は、ぎゅーっと抱きしめてあげたかったのですがね。でも、そんなことをしたら、ルミネから追い出されるかもしれん。