カレーソーセージ

 「カレーソーセージとレーナをめぐる物語」というドイツの小説がございます。61年前、敗戦直前のハンブルクが舞台です。これを読む前に、
「カレーソーセージって、どんなソーセージなの?」という強い疑問と興味が湧きました。ドイツのソーセージとカレーが、全く結びつかなかったのです。
 能天気な私はあれこれカレースパイスを肉に混ぜ込み、カレースパイス味のソーセージを作って「たぶん、こんな感じだろう…」と。

 やっと、その本を借りて読み、あぜ〜ん。カレーソーセージとは、焼いてぶつ切りにしたソーセージにトマトケチャップとカレー粉をぶっかけただけの、屋台の簡単な食べ物だった。で、なぜ、ドイツにカレーか?これは終戦と同時に勝戦国の英国からもたらされたカレー粉だったらしい。物資の不足する終戦直後、カレー粉もトマトケチャップも、入手は簡単ではなかったようです。敗戦地の屋台で売り出された「カレーソーセージ」。当時はソーセージの皮(豚の腸)も入手できなく、皮無しソーセージだったそうです。
 小説の内容はソーセージではなく、別のソーセージというか、なんというか、まあ、あれよ。40代の中年女性と24歳の脱走兵の切ない不倫物語なんですけどね。まりもっこりくんといい、本日のカレーソーセージといい、なかなか奥が深いですね。

豚ひき肉500g、塩小さじ2、ブイヨン75cc、みりん25cc、黒こしょう小さじ1、マドラスのカレー粉大さじ2、スリランカのカレー粉大さじ1、卵白小さじ1〜2(少々)

 これを熱を持たせないように、よーく捏ね上げて、腸詰めし、蒸し器で12分ほど蒸すと、終戦61年目の国分寺カレーソーセージの出来上がり。トマトソースを作って(パスタにも向くような味付けのソースに仕上げて)、ぶつ切りのカレーソーセージにぶっかけて食べてみた。旨い!
 そういえば、たこ焼きも終戦直後のドタバタから生まれた屋台の食べ物だったらしい。ドイツのカレーソーセージは日本のたこ焼きみたいなものだと、本の後書きに書いてあった。
 ドイツのカレーソーセージは、身分の高い人は食べないんですって。つまり、ビンボ人の食べ物らしい。野外の肉体労働者やホームレスのおじさんなどが、立ち食いしているんですって。ますます親身に感じます。
 でも、本場のカレーソーセージと、私のカン違いカレーソーセージと、いったいどちらが美味しいんだろうか?だれか、ドイツまで行ってカレーソーセージを試食してきてください。