ほっとビスケット

 夕方に帰宅して、午前中から放ったらかしで仕上げ発酵させておいたホットビスケットの生地を焼き上げました。(19度の室温で、8時間近く放置)。

 ウマいんだな、これが…。

 捏ねず、何の作為もせず、苦労もせずに、フードプロセッサーで材料をガーして、混ぜ合わせ、まとめただけの酵母パン生地。

 コテコテと頑張って手をかけたパンよりも、素直に小麦粉の味が全面に出ていて。

 久々に味わう、内麦らしい内麦の香り、旨味、粉味の濃さ。一瞬、感動して涙ぐみそうになった。(単に腹が減っていたせいかもしれん)。

 昨今は、猫も杓子もの「市販の国産小麦」。近年これに、本来的な内麦の旨味や個性を感じたことはありません。いろいろ改良(?)されて、内麦も、今やメジャー路線に進出してくれたものよね。ありがてーこってすわい。(昔の内麦は、キチガイ扱いされたものだけどね。こんなもので、パンは作れないとか言われてさ)。

 単純だけれど、定番の春の苺ジャムに合うパンを今週のパンにしたかったのよ、あたくし。

 やはり、苺ジャムにはシンプルな粉っぽい味のパンが合うね。イモムシ君ロールよりも、ホットビスケットのほうが、苺ジャムによく合うわ…。

 苺ジャム&イモムシ君の組み合わせなら、イモムシ君のパン味のほうが勝ってしまい、苺ジャムは不要…という味になるんです。

 いわば、パンの味なんて、メインを引き立てるものであればいいわけ。逆に、パンの味を勝たせたい場合もありますが。

 粉と酵母は使いようです。

 昔取った杵柄で、内麦の特性・性質の生かしようは、近年の若い国産小麦オタクなんかよりも、ずーっと良くわきまえている。リスペクトの仕方を知っているんだよ。

 (あの人たちの作り方は、内麦の本来を知っているやり方ではないね。みんなワンパターンの情報マニュアル頼りだね。自力の知恵の産物ではない。)

 国産ものの奥深さ、魅力は、マニュアル化できないところにあるんですけどね。

 この小さな国、四季変化の移ろいが不安定で激しい国。

 ここで大事に育まれている作物は、画一的にマニュアル化した作り方などでは、作物の方がが、こちらの作り手のことを相手にしてくれないんだよ。

 いろいろな農政のお陰様で、小さな麦畑がいじめられているわい。

 それでも、頑張って、大して儲けにもならない麦畑を続けている生産者が、まだおられる日本です。

 声高にではなく。正当論や、健康論ではなく。

 静かに。地味に。

 ありがたいことです。感謝すべきことです。大切にすべきです。

 大切なことを大事に、自力の範囲でもいいから、守り愛してゆける未来であればいいですね。

 自分の心とやり方で、ウソなくアホに愛すればいい。それだけでいい。

 みんな、アホになれ!