夏野菜おでん

 これを「おでん」と呼んでいいものか否か。

 おでんらしい「煉りもの」は何一つ入っていないのです。笹蒲鉾くらい、入れておけばよかったなあ。

 でも、「塩味仕立ての夏野菜おでん」というつもりで作りました。

 ゴボウ、人参、大根は、そぎ切りに近いくらいの薄い乱切り、下ゆで。

 こんにゃくは薄いそぎ切りにしてゆでてアク抜き。高野豆腐は戻してそぎ切り。

 昆布と干しシイタケを勝たせたかつおだしを引いて、塩、酒、みりん、白醤油少々で潮汁よりも、少ししょっぱいくらいのお汁で一煮。

 冷たくしていただいても美味しいように、さつま揚げなどは入れるつもりなかった。ことこと長時間、煮込むつもりもなかったので、材料は全部薄く、うす〜くカット。

 出版パーちーの祝い酒に、素晴らしい日本酒をいろいろいただいちゃいました〜。質の良いウマい日本酒と塩(粟国の塩)で、シンプルに味付けする料理が大好きです。

(私、ガバガバと飲める酒は赤ワインだけ。他のお酒は、チビチビと、ほんの少しだけです。実は、ビールすらも、グラス半分で十分なのです。常日頃から、大酒呑みの飲んだくれと豪語し、あちこち吹聴している割には、多岐にわたる実力?が伴っていないのです)。

 塩という一番シンプルな根源的な調味料の素晴らしさと力を感じる料理。夏は、やっぱ、塩味が大事だな。

 こんな季節になると、パン種の不調を訴えてくる人が増えるのです。たいがいは、酵素活性の季節変化(変動)についていけずに、戸惑っている感じが多いです。ドロドロデレデレになりやすくなるのよね。

 アドバイスは。「中種を二つに分けて、一つは冷蔵庫に入れっぱなしで様子を見る。もう一つは、種継ぎをして保温でイカせて発酵状態を見る。二つの実験で種が、時間(放置)を欲しがっているのか、または、保温(手間掛け)を欲しがっているのか、比べて判断する」ということです。

 とどのつまりは、自分の自力で判断しなくてはいけないのです。たいがいは、二つのうちのどちらかで判断がつき、自力で改善策に向かえるようになります。

 あと、もう一つの方策は。

 元種を二つに分けて、一つは通常通りの維持法で、もう一つの方には「塩」(1%くらい)を混ぜて維持してみる、という方法もあります。

 ほんの少しの塩の配合が、酵素活性を抑制したり、グルの骨格になって気泡維持が堅固になったり、酸味や雑味を抑えたりします。

 もし、元種が「塩」を望んでいるのであれば、塩を加えた状態で維持すればいいのです。質の良い海塩(たとえば、粟国の塩)は、ナトリウム以外にも多種多様な元素を豊富に含んでいます。(つまり、ニガリです)。

 塩の持つミネラルバランスは、パン種の酵素に働きかけ、腐敗を防ぎます。塩という材料は、小さくても(少なくても)巨大な縁の下の力持ちです。

 このように、塩の底力を種維持に使うというのも、夏の知恵です。