栗を使ったお菓子のレシピを作ろうと思い、初物の栗をゆであげました。
まあ、そこまでは、まともな人間のやることなのですが、あらぬことを思いついたのです。
「そうだ!これを焼けば、天津甘栗みたいに、皮離れがよくなって、簡単にむけるんじゃないの?」
やらなきゃいいのに、ゆで栗をわざわざオーブンで焼いてしまったのです。
高温のオーブンで加熱された栗は(今、思うと、当然のことながら)、ものすごい音をたてながら、爆発を連発し、炸裂しはじめました。
オーブンの中は、まるで最前線の激しい銃撃戦みたいでした。
あわてて加熱をストップし、事態が修まるのを待って、恐る恐る扉を開けました。
栗の中身は木端微塵に飛び散り、自爆して殻だけになった皮が、たくさん散乱していました。
こりゃ、確かに皮離れいいです。きれいさっぱり、皮だけになっている。でも、中身は使い物になりません。凄絶な惨状です。
かろうじて、自爆を免れた栗だけを取り出し、中身をスプーンでえぐり出しました。別段、皮離れがよくなったわけでも何でもありませんでした。
自爆栗だけが、気前よく中身を全部、飛沫させていました。しかも、使いようないほどに。
さて、無事な栗の実を使って、マロンシャンテリーを作り、シュー・アラ・クレームに仕立ててみようと思っています。
モンブランのように甘い栗のお菓子は嫌い。栗の味そのもののお菓子にしたいのです。裏ごし栗と生クリームを中に詰めたシュークリーム。絶対に美味しいはず!
が、しかし。栗の銃撃戦の後始末のせいで、お菓子の完成と撮影とレシピは、後日に延期となります。
世界に平和を、そして、我が家にも平和を…。