ドングリパン

 土曜日の教室で半ば冗談でみんなで話していた「ドングリパン」。

 あれ、マジに作っちゃった…。

 日曜日、麻衣が来たので二人で国分寺跡の林の中に入ってね、たくさんドングリを拾ってきたの。そのドングリのアクを抜いて、砕いてパン生地に混ぜて焼き上げてみました。うん、悪くないね、すごく美味しいというほどでもないけれど。ドングリ35%配合です。少しリッチな生地配合にしてみました。(リーン配合ですと、ますます、それっぽく原始的になりそうで怖かったから)。

 で…・。アク抜きにすごく手間暇かかるんですねえ…。そんじょこそらの凝った料理作るよりも、もっと手も時間もかかる。しかし、まあ、費やした手間暇ほどのモノじゃあないねえ…。しょせん、ドングリはドングリでした。それ以上でもなく、それ以下でもない。(あたりまえか…。)

 縄文時代に生まれていなくてよかった。米や麦などの作物が渡来して来る前の主食はドングリだったらしいもんね。やだなあ。。。。あんなに手がかかる主食なんて。

 武蔵野の林はブナ科のコナラ属のドングリが多いらしいね。国木田独歩の「武蔵野」を探って、やっと何となく分ってきた。コナラって、ブナ林に混じって植えられているみたいだよ。だから、たぶん、シラカシとかアカガシとかのドングリが多いのかもね。ちなみに、カシ(樫)って、ブナ科のコナラ属の総称なんですって。知らなかったわ。

 たかが、ドングリパン作るために、ブンガクやってしもーたわ。アホ。 

 でも、私には、どーしてもドングリパンを作らなければいけなかった理由があるのです。

 麻衣が小さかった頃、「14匹の朝ごはん」という絵本が大好きでした。その中に出てくるネズミさんたちの作る「ドングリパン」を作ってほしいとせがまれたのです。
 しょうがないので、ドングリなんざあ使わずに、普通の小麦粉でパンを焼いて、その上に生クリームを絞りだしてチョコスプレーをぶっかけて「はい、ドングリパン!」と誤魔化したのだ。「ドングリパン、美味しい!」。喜ぶ幼子…。
 そりゃあ、美味しいよ。生クリームとチョコレートで誤魔化したんだからさあ。以降、折りあるごとに「ドングリパン食べたーい」。そのたびに、パンに生クリームとチョコスプレーをパラパラ。ドングリパンは麻衣ちゃんの大好物になりました。

 そんなある日。麻衣の部屋の床にたくさん小さな芋虫が転がっているのを発見しました。いくら掃除しても、毎日毎日、芋虫が湧いてくるのですよ…。「やばい。また、何か、やられた」。部屋を探る母。絵本の本棚近辺が、特に怪しい。芋虫だらけだ。…・。

 そして、私は世にも恐ろしいものを見てしまったのだよ。

 本棚の上に置かれた菓子箱の中には、たくさんのドングリが入っていました。そして、そのドングリから無数に湧き出して一丸となってうごめいている白い芋虫ちゃんたち。絶叫!

 あわれ、幼子は大好きなドングリパンの「原材料」(?)をどこからか調達してきて、後生大事に箱にしまいこんでいたのでした。ううっ…。

 本日は、「幼い子供を騙すとバチが当たる」という、大変ためになるお話でした。