暑い一日でしたね、梅干が美味しい

 週間予報では曇りか雨だったはずなのですが、晴れて暑い一日でした。教室の人たちが、常温ほったらかし二次発酵にして仕事に行っている間のブリオッシュ生地が心配だ。「19日は絶対に涼しくなるはずだ。大丈夫!パン生地なんか放うたかして安心して仕事にいきんさい。」と言うてしもた。発酵過多になっていたらゴメンナサイ。

 今週は梅加工の準備週間。じきに梅が出回るからねえ。5月下旬から6月初頭に出回る青梅は梅酒や梅シロップやカリカリ梅(固くて歯ごたえのあるもの)に、ぴったりだよ。期を逃さないように、先走りして前もってここに記すようにしますから。

 梅は究極のスローフード素材です。今年、仕込む分は1年後のためのもの。そのくらい気の長いスパンで仕込みます。長く置くほどに、滋養を深め、旨味をましてゆくのですから。時間だけが梅の力を強く引き出してくれる。時間に代わる、どんな人為的テクニックや工夫やアイディアもありません。時間というものは何時も誰にとっても平等なものです。

 私は今年、早春に「げろっ!ガンかもしれん!」事件を起こしてしまいました。かも?…、とか思うと、もー、先の約束とか予定とか全然たたないし見えないんだよね。誰とも何も先を約束したくないし、できないのよ。でもね、…。そんなときに、ふと思ったんだ。もし、私の命に何が起きても、仕込んでおいた味噌だの梅干だのソースだの、そんなものたちって、人間のドタバタになんか関与せず、(もし私が死んだって)ちゃんと美味しくできあがってくれるんだよなあ〜とか。

 で、そう思うとなんだか笑えてきちゃってね。生きてる(若い)生徒たちが「センセが仕込んで逝っちゃった美味しいもの」を形見代わりにうまそーに食ってくれるんじゃないか、とか。
 なんだか、死ぬ心構えに元気が出てきちゃってね!じゃあーもっと、美味しくなるように、もう少し手入れしとこーか、とかさあ。(アホ)。で、もっと前向きになっちゃって、たんすの中で眠っているTバックの黒いレースのパンツとかキャミソールとかも整理したりとかして。(しかし、なんで、梅干だの味噌だのと一緒に下着まで整理したんだろうなあ…。このへんが私の不思議な思考回路なんだよね。スローフードとTバックのパンツの相対性理論。)

 結局、ガンなどではなく、たんに生理が狂っていたせいだったんだけど…。ガンかも!騒ぎは、エーッ…とかいう、唖然とした(=呆れはてた)みんなの安堵と苦笑のうちに幕を閉じたのです…。

 で、どうでもいい話で前振りが長くなっちゃったね。梅干作りそのものは焦っちゃダメよ。梅が熟して旬真っ盛りになるまで待ちましょうね。青梅が出たからといって、張り切って仕込んじゃダメだよ。柔らかくふわ〜っつと作りたければ、梅が黄色や赤に色づくまでまたなきゃね。そのときにリアルタイムで作り方を掲載するからね。待っててね。写真は1年もの。昨年の6月仕込み。今はフワフワでトロ〜ッと柔らかいお味です。

 毎年、必ず梅加工の取材だの講師だのの仕事が春(まだ梅が出回らないうち)に入るので、前年仕込みのものを必ず6月くらいまで要注意保留物件扱いで、とっておくのです。撮影とか試食とかに必要なものですから。
もはや、梅加工品は完璧にお仕事扱いです。

 取材だの撮影だのが、ひとまず済んで、後は7月初頭の講演分を残すだけ。やっと、少し安心して食べ始めることができますね、梅干を…。 
 切り梅を混ぜたご飯が美味しい初夏の気温の本日です。ちょうど、今くらいから、梅干や梅漬けなどが美味しく感じられるようになりますね。

 今年、ご一緒に梅加工を楽しんでみませんか?