風とお日様の料理

 私が住む高台は風の丘です。多摩丘陵や秩父山系や富士山が展望できます。そのせいで、風の通り道になっている。これが、私の料理仕事の「調理道具」の役目を果たしているのです。
(引越しの家探しをする際に、一番重要となってくるのは間取りとか見栄えではなく…。庭とお日様と風なんです、私の場合。不動産やと大家に変人よばわりされて笑われるのですが、ある意味死活問題なのです。)

 干物乾物のほとんどは自家製です。車が通らない緑の中で、魚や肉や野菜を干します。ただし、野鳥に狙われるので、網のカバーは必要です。

 切り干し大根作り 

 切り干し大根作りは冬が本番ですが、乾燥していて風のある春でも充分作れます。
 冬の間の切り干し大根は葉も軽く塩茹でして細かく刻んで干します。緑豊かな大根葉を無駄にする気にはなれないので。干すとがさが減るし、常温保存も可能になります。味噌汁の具にしたり、切り干し大根料理のときに一緒に水で戻して使います。ですから、うちの切り干し大根の煮物って、大根葉も一緒に入っているんですよ。見た目もきれいで楽しいです。
 また、冬はぶり大根だのふろふき大根だのおでんだのと、大根を使う料理が多いですよね。皮が大量に出るでしょ。その皮も斜めに細く刻んで干します。大根って、実は皮に一番美味しさが詰まっている!これ、はりはり漬けにしても、歯ごたえや旨味が一味違います。
 風のある日なら、2〜3日でからからに乾きます。5mmくらいに棒状に刻み、ざるに薄く広げて外にだしておくだけです。干ししいたけも、外に生椎茸を放っておくだけでできます。市販品よりずっと美味しいし、戻しやすくて便利です。あ、ちなみに蕪の葉もお邪むしにされちゃうけど、さっと湯がいて刻んで干しておくと、緑の野菜が不足の日の料理に助かりますよ。
 庭がなければベランダでも充分干せます。爽やかな風やからっとした心地よい陽気を料理作りのエネルギー源にしませんか。もっと暖かくなり梅雨を迎える季節になるとできないことなので…。今がチャンス。使い残してしなびはじめている大根でも干してみましょう。

 写真の小さいざるは干しあがった切り干し大根と大根葉。大きなざるは干している最中の千切り大根です。